☆ さらに進む「戦争準備」
防衛医大で「戦傷医療センター」新設へ(『紙の爆弾』【ニュース・レスQ】)
防衛省が8月31日に公表した2024年度予算概算要求(概要版タイトルは『防衛力抜本的強化の進捗と予算』)の防衛医科大学校(埼玉県所沢市。以下、防衛医大)の項に「戦傷医療に対応し得る医官・看護官を養成するため、『外傷・熱傷・事態対処医療センター(仮)』を新設。整備費2億5124万9千円」と記されている。
筆者が調べた限りでは、端緒は20年3月4日、「防衛医大における外傷・熱傷センターの設置について検討するため外傷・熱傷部門検討委員会を置く」との内容の、同校校長が医学教育部・防衛医学センター長ら宛の通達だ。
NPO法人・総研いのちとくらし発行の『研究所ニュース』23年8月31日号で、吉中丈志理事は新設を目指すセンターについて、4点を挙げ「医学、医療の戦争動員」だと批判している。
・23年版防衛白書は、「防衛力の人的基盤の強化と衛生機能の変革を進める」旨を明記。その中核にある防衛医大で育成する自衛隊医官(以下、医官)の役割を、これまでの「自衛隊員の健康維持や頑強な兵士の確保」から「実際の戦闘」で負傷した(重篤含む)隊員に対する戦傷医療の中核を担わせること」に重点を移すことに。
・救急医学の専門医から自民党衆院議員になった松本尚氏(61歳)は産経新聞23年2月22日付の正論欄で「防衛医大の卒業生は医官・看護官として自衛隊に配属される以上、他の医学部とは異なり戦傷医療の知識・技術を在校中から修得しておくことは当然」と主張していた。
・このように養成した医官・看護官に積極的に自衛隊外部での研修活動を行なわせ、大学や民間病院でも戦傷医療が担えるよう指導を行ない、民間の医療関係者にも戦傷医療チームとして後方待機させる方針。
・戦場では作戦の貫徹・成功が最優先し、必ずしも負傷者に対する救命行為は優先しないのが「戦傷医療」の考え方で、これは命の選別だ。
松本議員(千葉13区)は1期目ながら、今回の岸田改造内閣で防衛大臣政務官に就任。防衛省に初登庁し儀仗隊の栄誉礼を受けた、9月19日のX(旧ツイッター)には「木原稔防衛大臣より自衛隊衛生の強化について政策を進めるよう特に指示をいただきました」と投稿。
2日前には「平和安全法制をよく復習しておくことが先ずは重要」と投稿していた同氏の狙う、集団的自衛権を含む武力行使下での自衛隊員への戦傷医療を不要とするため、米国等の起こす戦争に加担しない、平和外交に徹する議会勢力を作っていくことが重要だ。
(軍事力に依らない平和の会・山田一彦)
『紙の爆弾』(2023年11月号【ニュース・レスQ欄】)
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