たんぽぽ舎【TMM:No2573】2015年8月27日(木)
転送歓迎
▼ 場当たりな修理で出力上昇へ 川内原発の危険な見切り発車転送歓迎
本来してはならない「検査停止抜きの運転強行」を選んだ九電
山崎久隆(たんぽぽ舎)
○事故はこうして拡大する
「せっかく動かしたので、何が何でも止めたくない」これが九州電力が今置かれた心理状態である。「事故はこうして拡大する」のだが、そういう教訓は原子力の世界ではどうやっても生かそうとは思わないのだ。
大きな事故は、ある日突然青天の霹靂のごとくに起きるとは限らない。大きな事故には予兆がある。例えば1989年1月に発生した福島第二原発3号機の再循環ポンプ損傷事故は、原子炉が止まる1月6日の前から振動警報が鳴っていた。それをだましだまし運転し、1月8日に迫る定期検査にまで持って行こうと無理をして、部品の落下事故にまで至った。
今回は、そうならないと誰が保証するのか。
福島第一原発事故ですら、予兆があった。一つはフランス、ルブレイエ原発の高潮溢水、もう一つはインドのマドラス原発の津波水没だ。加えて地震調査研究推進本部の長期評価で福島県にも15m級の津波襲来と組み合わせれば今日の事故は予見できた。(これが元東電3役の強制起訴の一つの論拠である)
川内原発は社内外の「再稼働維持」と「反対封じ圧力」により、本来してはならない「検査停止抜きの運転強行」を選んだ。こういうことが事故を引き起こす。
○2次冷却系破損の甘い対応
21日に出力を95%に上げる作業が延期されて明らかに焦りはじめた九電は、復水器の点検を急ピッチで行い、塩分濃度が上がった復水器の場所から、損傷配管を特定し、直径25ミリの細管の5本で漏えいが起きたことを突き止めたという。
その細管は栓をして海水漏れを止めるのだろうが、問題はその5本以外が健全かどうかを調べる方法が無いことだ。
「減肉」か「ピンホール」か、いずれが原因だろうか。部材を切り出して詳細点検をしなければ容易には分からない。しかし26日付け朝日新聞報道では気になる記事が載っていた。
破損を確認した細管は5本とも海水側ではなく外側から損傷していたという。つまり海から持ち込まれた貝などによる腐食ではなく、蒸気が流れる復水器の内部、復水器細管にとっては外から減肉しているらしい。
○原因は・・? 5本以外の細管は健全か? いくつも問題点!
記事によると「二次冷却水の不純物を除去するために高温の水を循環させた際に細管が損傷したとみられるという。」
すなわち蒸気流が細管に当たってすり減らした可能性があり、九電によれば2006年以来点検をしていない装置だそうだから、それ以来約10年間にわたり徐々にすり減っていった細管が、最後に高圧蒸気に晒されたことで大きく浸食が進んだものと考えられる。
これは美浜原発3号機で起きた二次系配管破断と同じ構図である。
蒸気流により、長時間掛けてすり減ったことが考えられるため、5本以外にも周囲の細管69本を施栓するという。
しかし他の細管は健全なのか、どうして特定の細管が減肉するようなことになったのか、蒸気流の偏流があったのではないか、そうだとしたら、少なくてもこの水室中の細管はかなりダメージを受けている可能性があるのではないか、など、いくつも問題点が湧くのである。
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