◆ 障害者雇用率ランキング、トップは5%を超えたヒューリック、2位はリヒトラブ
《『CSR企業総覧』注目データランキング》(東洋経済オンライン)
http://www.toyokeizai.net/business/management_business/detail/AC/de16afbbb7fc4f27adc4f3a2c824ba8b/page/2/
金7個を含む過去最高の38個のメダルを日本選手が獲得し、国内でも大きな盛り上がりを見せたロンドンオリンピック。これに続いて29日から開幕するのが障害者の世界最高峰のスポーツイベントであるロンドン・パラリンピックだ。障害を持ちながら高いレベルの競技を見せてくれるパラリンピックでも、オリンピック同様、日本選手の活躍を期待したい。
さて、障害者が輝くのはパラリンピックという特別な場だけではない。近年、障害者を積極的に採用する企業は増えつつあり、各自の能力に応じて生き生きと働く障害者は珍しい存在ではなくなった。
まだ補助的業務に就くことが少なくないが、障害者が働きやすい職場環境が整備されていけば、将来は各企業を支える金メダル級の人材が続々と出てくることも予想される。そのための第一歩として多くの障害者が企業の中で働く経験を積むことが必要になるだろう。
そこで、今回は『CSR企業総覧』2012年版掲載1117社の中から、2010年度で障害者を5人以上雇用している698社を対象に障害者雇用率をランキングしてみた。障害者を積極的に採用している企業はどこなのか見ていこう。
http://lib.toyokeizai.net/public/image/2012082701006442-2.jpg
1位は不動産業のヒューリック(12年7月の昭栄と合併前の旧ヒューリック)で雇用率は5.71%(障害者6人)だった。08年度2.10%、09年度2.03%から急激に数字がアップし、対象企業の中で唯一5%を超えている。
この雇用率アップは会社分割で全体の従業員数が減少したことが最大の要因。とはいえ、同社はもともと障害者雇用に積極的な企業として知られている。
たとえば、08年5月に障害者が働きやすい職場を目指し、「ヒューリック杉並オフィス」を開設。ダイレクトメール発送等の業務を行ってきた。こうした取り組みが評価され、10年9月には「東京都障害者雇用優良企業」の認定も受けている。今回の高い数字を、ぜひ今後も持続してほしいところだ。
2位はリヒトラブの4.36%(同14人)。事務用品中堅の同社は09年度3.93%、08年度3.77%と高い水準を維持している。
3位はTOHOシネマズの3.37%(66人)。映画館の運営などを行う同社は障害者雇用にも積極的。大半がトライアル雇用を経て、映画館アルバイトスタッフとして勤務している。さらに、採用担当者対象の研修を年1回程度実施。特別支援学校の職場実習受け入れも行うなど幅広い取り組みを行っている。
以下、4位星和電機3.31%(20人)、
5位帝都ゴム3.30%(9人)、
6位ツムラ3.19%(87人)、
7位日清製粉グループ本社3.18%(10人)、
マミーマート3.18%(25人)と続く。
9位吉野家ホールディングス3.11%(120人)、
10位伯東3.07%(20人)、
11位資生堂3.02%(108人)
までが3%を超えている。
この3%超の上位11社の中で雇用者が100人を超えているのが吉野家ホールディングス120人と資生堂108人。両社とも特例子会社を設立するなど積極的に障害者の雇用拡大を推進している。
続いて業種別の集計を紹介しよう。こちらは10年度の障害者雇用率を開示している877社が対象。全体の平均は1.62%で法定雇用率の1.8%を下回る。今回の集計対象はCSR活動に積極的な企業が多いが、それでも全体では法定には達していないのが現状だ。
業種別で雇用率が高いのは、ゴム製品2.01%(10社)、電気・ガス業2.00%(11社)、保険業1.97%(10社)など。
一方で低いのは、証券、商品先物取引業1.04%(10社)、倉庫・運輸関連業1.07%(9社)などだ。
全体的に社数が多くないため、はっきりとは言えないが業種による差はありそうだ。
一般に障害者採用の開始当初はたいへんな苦労があるという。しかし、その後、「潜在的な能力の高さを知った」という声もよく聞かれる。経験を積むことで「障害者」を戦力と考える企業は確実に増えている。
これまで1.8%だった民間企業の障害者の法定雇用率は13年4月から2.0%に引き上げられる。
これを「義務だから仕方ない」と考えるのか。あるいは「優秀な障害者をさらに受け入れるよい機会」と考えるのか。どちらの企業から将来、職場で活躍する障害者従業員が生まれてくるかは明らかだろう。
(岸本吉浩 =東洋経済オンライン)
『Finance GreenWatch』(August 29th, 2012)
http://financegreenwatch.org/jp/?p=16658
《『CSR企業総覧』注目データランキング》(東洋経済オンライン)
http://www.toyokeizai.net/business/management_business/detail/AC/de16afbbb7fc4f27adc4f3a2c824ba8b/page/2/
金7個を含む過去最高の38個のメダルを日本選手が獲得し、国内でも大きな盛り上がりを見せたロンドンオリンピック。これに続いて29日から開幕するのが障害者の世界最高峰のスポーツイベントであるロンドン・パラリンピックだ。障害を持ちながら高いレベルの競技を見せてくれるパラリンピックでも、オリンピック同様、日本選手の活躍を期待したい。
さて、障害者が輝くのはパラリンピックという特別な場だけではない。近年、障害者を積極的に採用する企業は増えつつあり、各自の能力に応じて生き生きと働く障害者は珍しい存在ではなくなった。
まだ補助的業務に就くことが少なくないが、障害者が働きやすい職場環境が整備されていけば、将来は各企業を支える金メダル級の人材が続々と出てくることも予想される。そのための第一歩として多くの障害者が企業の中で働く経験を積むことが必要になるだろう。
そこで、今回は『CSR企業総覧』2012年版掲載1117社の中から、2010年度で障害者を5人以上雇用している698社を対象に障害者雇用率をランキングしてみた。障害者を積極的に採用している企業はどこなのか見ていこう。
http://lib.toyokeizai.net/public/image/2012082701006442-2.jpg
1位は不動産業のヒューリック(12年7月の昭栄と合併前の旧ヒューリック)で雇用率は5.71%(障害者6人)だった。08年度2.10%、09年度2.03%から急激に数字がアップし、対象企業の中で唯一5%を超えている。
この雇用率アップは会社分割で全体の従業員数が減少したことが最大の要因。とはいえ、同社はもともと障害者雇用に積極的な企業として知られている。
たとえば、08年5月に障害者が働きやすい職場を目指し、「ヒューリック杉並オフィス」を開設。ダイレクトメール発送等の業務を行ってきた。こうした取り組みが評価され、10年9月には「東京都障害者雇用優良企業」の認定も受けている。今回の高い数字を、ぜひ今後も持続してほしいところだ。
2位はリヒトラブの4.36%(同14人)。事務用品中堅の同社は09年度3.93%、08年度3.77%と高い水準を維持している。
3位はTOHOシネマズの3.37%(66人)。映画館の運営などを行う同社は障害者雇用にも積極的。大半がトライアル雇用を経て、映画館アルバイトスタッフとして勤務している。さらに、採用担当者対象の研修を年1回程度実施。特別支援学校の職場実習受け入れも行うなど幅広い取り組みを行っている。
以下、4位星和電機3.31%(20人)、
5位帝都ゴム3.30%(9人)、
6位ツムラ3.19%(87人)、
7位日清製粉グループ本社3.18%(10人)、
マミーマート3.18%(25人)と続く。
9位吉野家ホールディングス3.11%(120人)、
10位伯東3.07%(20人)、
11位資生堂3.02%(108人)
までが3%を超えている。
この3%超の上位11社の中で雇用者が100人を超えているのが吉野家ホールディングス120人と資生堂108人。両社とも特例子会社を設立するなど積極的に障害者の雇用拡大を推進している。
続いて業種別の集計を紹介しよう。こちらは10年度の障害者雇用率を開示している877社が対象。全体の平均は1.62%で法定雇用率の1.8%を下回る。今回の集計対象はCSR活動に積極的な企業が多いが、それでも全体では法定には達していないのが現状だ。
業種別で雇用率が高いのは、ゴム製品2.01%(10社)、電気・ガス業2.00%(11社)、保険業1.97%(10社)など。
一方で低いのは、証券、商品先物取引業1.04%(10社)、倉庫・運輸関連業1.07%(9社)などだ。
全体的に社数が多くないため、はっきりとは言えないが業種による差はありそうだ。
一般に障害者採用の開始当初はたいへんな苦労があるという。しかし、その後、「潜在的な能力の高さを知った」という声もよく聞かれる。経験を積むことで「障害者」を戦力と考える企業は確実に増えている。
これまで1.8%だった民間企業の障害者の法定雇用率は13年4月から2.0%に引き上げられる。
これを「義務だから仕方ない」と考えるのか。あるいは「優秀な障害者をさらに受け入れるよい機会」と考えるのか。どちらの企業から将来、職場で活躍する障害者従業員が生まれてくるかは明らかだろう。
(岸本吉浩 =東洋経済オンライン)
『Finance GreenWatch』(August 29th, 2012)
http://financegreenwatch.org/jp/?p=16658
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