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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教職腐敗 (中)

2008年07月22日 | 平和憲法
 = 教職腐敗 (中) =
 ■ 異動で贈り物日常化
  大分教育界 幹部にも"以心伝心"


 大分県佐伯市宇目の「ととろ」地区に立つロッジ風の建物。山里に清流のせせらぎが響く。同県の教育関係者の間では「上司への接待場」と呼ばれていた。建物は、県教委義務教育課の元参事矢野哲郎容疑者(52)=贈賄容疑で再逮捕、懲戒免職=の自宅敷地内にある。
 二〇〇七年度の小学校教員採用試験で長女に便宜を図ってもらった見返りに、同江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕、同=ら二人に各百万円分の商品券を夫婦で渡した疑いがもたれている。
 室内には、この建物を訪れた県庁や教育界の幹部らの写真が飾られ、壁面の陳列台にはワインが並ぶ。矢野容疑者の趣味は狩猟。冬場にはイノシシ鍋が振る舞われたという。
 ある小学校幹部は、矢野容疑者から人事権を持つ県教委の幹部に近づく極意を指導されたことがあった。「必ず年賀状を送れ」「お中元とお歳暮を欠かすな」
 矢野容疑者は今春、児童生徒数が六人しかいない離島の小中学校校長から、県教委中枢に抜てきされた。周囲は「県教委幹部とのパイプの太さ」を見せつけられたと感じた。

■   ■

 玄関に、お中元の山ができた。

 約五年前まで同県教委の幹部を務めていた男性も県教委中枢の権限と地位の大きさをこう振り返る。

 当時、自宅を宅配業者が相次いで訪れた。送り主は県内の学校長ら七十数人。県議の名前もあったが、名前をみても顔が浮かばないほど付き合いの薄い人も含まれていた。
 「人事権があるポストに就くと贈り物が増える」とのうわさがあった。現実に幹部への贈り物が常態化していることに驚いた。
 「人事異動で便宜を図ってほしい」。狭く、閉鎖的な県の教育界に身を置いていると、送り主の意図を感じざるを得なかった。
 果物や缶ビールなどに交じって、商品券もあった。日持ちするものは返送したが、賞味期限が迫った果物などの生鮮食料品は同じ商品を購入して返した。百貨店への支払いは約四十万円に上った。

■   ■

 昨年八月、同県別府市内のホテル。
 長男と長女が受けた小学校教員採用試験で便宜を図ってもらうように求めた佐伯市立小学校長、浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴=も、菓子箱を入れた紙袋に百万円分の商品券をしのばせて、江藤容疑者に手渡したという。
 浅利被告は逮捕後、関係者に「長男を合格させたかった」と告白。長男と長女はともに合格し、浅利被告は謝礼として、さらに現金三百万円を江藤容疑者に贈ったとざれる。
 お中元、お歳暮に加えた接待。日常的な「贈り物」に慣らされた大分県の教育界では、罪の意識を感じながらも一線を越える人がいる。
 事件へのうしろめたさを隠せず、江藤容疑者に昇任への謝礼として五十万円分の商品券を贈ったことを県警に自ら申し出た小学校教頭は「商品券であれば、物のように抵抗感なく贈れるし、受け取ってもらえると思った」と話している。

『東京新聞』(2008/7/17)

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