☆ 『衰退途上国』日本の衰退っぷりがわかる3つの事実とは?
(cherish-media 2021年5月28日号)
日本は『衰退途上国』か。日本を取り巻く少子高齢化、財政赤字や諸外国との比較に見る日本の衰退。もうすでに”ものづくり”の日本ではなくなってしまったのか。使い捨てられる技術者、家電業界など製造業の市場縮小、国内総生産の減少など。『衰退途上国』日本を解説。
☆ 「衰退途上国」とは
先進国、発展途上国とも違う新たなワードである「衰退途上国」というものが話題になっています。
現在の我が国、日本の置かれた状況は少子化に高齢化の人口動態減少傾向に加えて財政の赤字、経済の競争力低下など。
これだけのことを言われているわけです。
そうした事実により日本が「衰退途上国」とカテゴライズされています。
やむなしなのかもしれませんね。
☆ すでに日本は衰退し「先進国」ではなくなった!?
「先進国」とは国民の生活水準が高く、高い技術によって工業化が進み経済がめざましく発展した国のこと。
日本は世界に比べて治安が良く、道路も整備されて高級住宅も建っている。
一見して「衰退途上国」と言われるように衰退しては見えないですよね。
だがしかし、日本を取り巻く環境と、世界の成長性を見ても衰退はないと言えるでしょうか。
事実①日本の初任給の倍額以上!?日本の衰退を意識する「ファーウェイ・ジャパン」の破格待遇
「ファーウェイ(華為技術株式会社)」は1987年に中国で設立されたプロバイイダー企業。昨今では通信事業の他にスマートフォンなどの開発としてよく耳にする会社ですね。
「ファーウェイ・ジャパン(日本支社)」がリクナビに掲載した2018年度の求人情報では学士卒の月給40.1万円。修士了だと月給43.0万円となっています。
衰退途上国と言われている日本の企業の初任給ではまずない額を「ファーウェイ・ジャパン」は提示しています。
週休も完全2日制かつ各種休暇も取り揃えています。
日本の使い捨てだと言われている技術者の待遇とはえらい違いです。こういった待遇面では明らかに日本の衰退傾向が見られます。
☆ 中国経済の著しい発展
2017年時点で世界第2位の経済大国
2017年上半期、中国のGDP成長率が+6.9%になりました。
中国の景気は持ち直し気味に推移しています。
また中国のインフラへの投資も前年の同時期と比べ23.3%増加しているようです。
不動産投資は9.3%増大と好調というデータもあります。
GDPを見ても日本の衰退を意識させられます。
☆ 世界第1位の人口大国
アメリカ合衆国国勢調査局によると2016年では中国の人口は13.79億人になっています。
世界の人口では中国が1位です。
それだけ人がいるということは技術者や革新的なアイディアを持つ人も多く輩出されるということでもあります。
☆ 事実②「世界不況」に見る他国の成長、日本の衰退
☆ GDP(国内総生産)
2017年度の日本のGDPはアメリカ合衆国、中国に次いで世界で第3位となっています。
GDP世界第3位だけを切り取ってみれば「衰退途上国」とは思えない、というのもわかります。
しかし、これからどんどんGDPなどが乱高下していく可能性も日本の現状を見ると考えられます。
☆ 日本の経済は伸び悩んでいる
住宅バブルから弾けたサブプライムローン問題によるリーマンショックで世界経済に大きな影響が及びました。
GDP上位10ヶ国を年度ごとに比較すると日本は2012年から大きく下降し2015年にはそのピークに達しています。
他の9ヶ国はほとんどが右肩上がりです。
特にアメリカ合衆国と中国の経済成長は凄まじいものがありますね。
日本の衰退途上国という事実を意識せざるを得ませんね……。
☆ 経済衰退に少子高齢社会
人口推移グラフ(略)
グラフは、赤が14歳以下の人口。緑が15?64歳の人口。青が65歳以上の人口です。
時代が進み、グラフは右に行くにつれて高齢者が増え14歳以下の人口が減っているのがわかると思います。
また全体の人口も減少傾向にあることがわかります。
経済以外にも人口にも日本の衰退が見られます。
子供が減ると社会で働く人材が減るということでもあります。
高齢者が増えるということは年金問題などもありますが医療関係なども問題になってきます。
このまま手を拱いていれば経済衰退は確実でしょうか。
☆ 事実③「若者の◯◯離れ」に見る日本の衰退
若者の◯◯離れは想像以上に多いようです。
最近の若者は無欲だと言われていますよね。
しかしそれは見栄を張らないのではなく、見栄を張れないだけなのだと思います。
時間的余裕も経済的余裕も今の若者にはないとデータをみれば明らかです。
需要によって供給が成り立つわけですが、供給先がなければ雇用は生まれません。そういった悪循環が日本の衰退を進行させます。
☆ 収入”減”
◯◯離れと言っても全く興味のない人ばかり、ということはないのでしょうが。車離れ、時計離れなどはよく言われていますよね。
また若者のみならず日本の一般的社会人全体に言えることですが。
日本の平均年収はピーク時の1997年の467万円から下がり続けていて平成27年度は420万円というデータがあります。
収入が少なければ支出が減るのは当たり前ですよね。
それに若者は給料アップもまだないですから、若者の年収は平均データよりもっと少ない可能性もあります。
☆ 残業
厚生労働省は月ごとの残業時間の統計を発表しています。
「所定外勤労統計調査」というのですがそれを見ますと、月間で10.2時間となっています。
しかしながら約6万8000件にも及ぶ日本の社員からの口コミ分析では月間の残業時間は47時間となっています。
個人的なことを言いますと私の家族も皆朝から晩夜遅くまで働いています……(しかも週休1日!)。残業月間10時間はまず”少なすぎる”という気がしますね。
動画ではドイツ出身の日本で働いている外国人が残業についてコメントしています。
それによると、残業は非効率であると言われています。日本の経済衰退はこういう昔からの悪しき伝統によるものも一因になっているのかもしれませんね。
☆ 衰退の原因か。日本の反世界
夫婦別姓問題、死刑制度廃止問題、男女平等参画などで度々国連と日本政府が反発し合っている。
この対立を一部では国連の反日と見ずに、日本の反世界(反国連)だとする人たちもいます。
様々なところで日本のガラパゴス化が進んでいるとされていて、世界のとりわけ先進国から取り残されているのではと懸念する見方もあるみたいです。
世界の動向を気にせず内向きが故に経済衰退が始まってしまった、という可能性もあります。
☆ 日本における家庭用ゲーム市場の縮小
世界的には家庭用ゲームの市場が拡大しつつも日本のみ家庭用ゲーム離れが続いています。
「ファミ通ゲーム白書2017」によると、日本国内でのゲームユーザー人口は4446万人に及び、そのうちの半数に登るゲームユーザーがアプリゲームを主にプレイしているとあります。
家庭用ゲームハードとソフトウェア市場規模は9年連続で縮小し続けているようです。
一番ゲームをするであろう若者も忙しすぎて家庭用ゲームをやる時間ないということなのでしょうか。
また家庭用ゲームをするにはまずハードを購入しソフトも購入しなければプレイできないという金銭面も一つの問題です。アプリゲームならスマホにインストールするだけで出来ますしアプリ自体無料であることも家庭用ゲーム離れを深刻化させています。
☆ 半導体製造シェア減少
半導体はトランジスターや集積回路などに使われる部品です。
ほとんど全ての電化製品などに必要不可欠で私たちの生活を支えているものとなっています。
1980年代あたりには日本の半導体売り上げシェアでアメリカを抜きました。その時の世界でのシェア数は50%越え。まさに”ものづくり”の日本ですね。
しかし、2015年には日本の半導体シェア数は8%と落ち込み衰退。アメリカや韓国など他国のシェア数に大きく差が出る形になっています。
これらは日米半導体協定などの影響も大きいそうです。
サムスン電子は半導体事業へ進出する際に日本から技術者を多くスカウトして技術力を伸ばしてきました。
日本にいる優秀な人材を高待遇で他国の企業が雇う。
現在を見ると”ものづくり”の日本は衰退しつつあるのが現状でしょうか。
☆ 製造業の市場縮小 他国に抜かれる製造業
グローバル経済の影響で、ものづくり日本の製造業メーカーは中国に追いつかれています。
日本の中で特に製造業メーカーは保守的で市場におけるニーズを軽視していると言われています。
家電業界では日本のメーカーはやはりシェアが減少しています。
最近では製造業である「シャープ株式会社」の経営危機に台湾の製造業メーカー「鴻海」と業務提携に至ったことが記憶に新しいですよね。
しかし2015年の「シャープ株式会社」希望退職者は3234人にも登りました。
PCやスマホ部品の中身は日本のものづくりによって支えられていると思い込んでいる人も多いですが、それは一昔前までの話。今では部品のほとんどが中国製、台湾製になっています。
私たちの身近にある製品一つをとっても日本の衰退を感じられます。
☆ 職業の多様化や少子化によって職人は後継者不足に
少子化のあおりは製造業の伝統ある職人にも及びます。
それは若者の後継者不足という形で代々受け継がれてきた伝統のものづくり技術を喪失させます。
「衰退途上国」には様々な問題が入り組んでいることがわかりますね。
伝統あるものづくり日本を取り戻すためには少子化をまず解決しなければ、ということでもないのでしょうが……。
現状の伝統工芸などの技術のために手を打とうとはしているみたいです。
伝統を守るために世界に日本の伝統技術をアピールし、それが定着するための仕掛けがどうなるのか重要になってきます。日本を衰退させないためにもこういった地道な活動が大切になってくるということでしょうか。
☆ 増えない農家にみる日本衰退
農林水産省によると、日本の農業を営む農家戸数は昭和25年に迎えたピークから減少が続いているそうです。
2007年には265.1万戸だった販売農家は2017年には196.3万戸になっています。実に10年で68万8千戸も農業は減少しているということになりますね。
☆ 農家離れ問題
離農(農業から離れること)
農業を営む人間の高齢化などで離農が起きているようです。
少子化や農家という枠組みで農業の後を継ぐ若い世代や、農業への新規参入者が減少しているということですね。
日本の農業は何世代にも渡って農家が伝統にしてきました。村ぐるみというのもあって色々と新規参入の問題が取りざたされています。
また日本の農業の保証は厳しいというのもあるでしょう。
さらに輸入品増加で農家の作物が売れない状態が日本の農業で起きているという話です。
☆ 使い捨ての技術者
これまで紹介した事例により、日本の技術者は安く買い叩かれて使い捨てられる傾向にあることがわかります。
その日本企業に使い捨てられた技術者を他国の企業が高待遇で雇い躍進して行き、それに取り残される日本。という構図ですね。
上のリンクは2008年のネットニュース記事ですがこの時からすでに使い捨てられた技術者の中国企業への流出が起こっているそうです。
ここでもやはり日本企業と中国企業の待遇の差などが比較されています。
また、東芝の半導体研究のデータがライバルの韓国企業へ不正に流出した事件(東芝研究データ流出事件)が2014年にありました。
不正流出を行った元サンディスク社員の杉田容疑者はサンディスク社の二倍の給料を受け取っていたことがわかっています。
☆ まとめ
「衰退途上国」日本が不景気であるとニュースなどではよく取り上げられます。
対して急成長を遂げている中国は「爆買い」なるワードでいかにお金を持っているかがわかるようになっています。
ファーウェイの求人でもそれは浮き彫りですね。
日本の少子化がこのままいけば日本の人口は2030年以降減少し続け先進国から脱落する可能性があると経団連シンクタンクは発表しています。
2050年には国内総生産GDPが世界第3位から4位になると予想されています。
半導体の製造業衰退もありましたし、技術者の使い捨て問題もあります。
これからの伝統ある”ものづくり日本”は果たしてどうなっていくのでしょうか。
閲覧ありがとうございました。
『Cherish』(2021年05月28日)
https://cherish-media.jp/posts/10441
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