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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

昭和シェル労組 東京高裁で逆転勝訴

2010年05月31日 | 格差社会
 ★ 昭和シェル労組 東京高裁で逆転勝訴
   組合差別を認定 2億円超の支払い命ず


 組合活動を理由に昇格・賃金で差別があったとする中労委の救済命令に対し、救済命令を取り消した東京地裁判決(難波孝一裁判長、07年)を不服とした全石油昭和シェル労組(東京)が取消しを求めた控訴審で、東京高裁は5月13日、地裁判決を取り消し原告組合員ら6人の逆転勝訴を判決した。
 昭シェル労組は、①資格・賃金と一時金の是正、②バックペイ支払い、③謝罪文の手交という中労委命令が維持され、5月現在2億2550万円の支払いを受けることになる、としている。
 原田敏章裁判長は「会社側の考課表は信用できず、6人の勤務成績や能力が劣っていた根拠はない」として「低い評価は組合活動が原因と推認される」と指摘した。
 さらに「裁判所は、労働委員会の救済命令の内容の適法性が争われている場合には、労働委員会の裁量権を尊重し、その行使が不当労働行為の趣旨、目的にてらして是認される範囲を超え、また著しく不合理であって濫用にわたると認められるものでない限り、当該命令を違法とすべきではない」とし、中労委命令について「濫用にわたるとは認めることができないから、本件命令を違法とすることはできない」と結論付け、原判決を取り消した。
 判決によると、6人は1989年、別労組の組合員との格差是正を訴え、大阪府地労委に不当労働行為救済を申し立て、府労委が2000年に救済を命じ、中労委も支持したため会社側が提訴した。
 07年の一審東京地裁判決は「組合活動を理由とする不利益な取り扱いは認められない」として、会社側の請求を認め、救済命令を取り消していた。
 組合は「これは現在裁判・労働委員会にかかっている現役女性差別事件、大阪二次事件、東京都労委事件など全てに共通して争われている。もはや会社は女性差別事件を含めた全ての係争事件を一括解決するしか道はない」との見解を明らかにした。
 既に労働委員会に救済申し立てをして以降21年以上が経過した。組合は、会社が今回の高裁判決を真摯に受け止め、組合間差別・女性差別を速やかに且つ自主的に是正し、38年に及ぶ労使紛争を一日も速く解決する決断を行なうよう強く要求する、としている。
 『週刊新社会』(2010/6/1)


◎ 東京高裁判決に関する組合見解

 5月13日、東京高裁(第8民事部原田裁判長)より賃金昇格差別の大阪一次事件(大阪支部、対象6名)および兵庫事件(対象1名)の控訴審判決が出された。
 兵庫事件に関しては、一審に続き控訴は棄却された。2007年5月28日 東京地裁が中労委命令の取消を命じた大阪一次事件については、中労委の判断手法には問題がないとした上で、地裁判決を取消す判決が出された。
 これにより①資格・賃金と一時金の是正(差別されている組合員を除いて算出した額)、②バックペイ支払い、③謝罪文手交を命じた中労委命令が維持された。
 2000年1月の大阪地労委命令時点で、差別是正総額は組合員6名で金利分を除いて約6,000万円、2010年5月末現在では、金利分を含んで約2億2,550万円にものぼる。
 会社は、16年に及ぶ大阪地労委、中労委で主張をし尽くし、証拠も提出し尽くしたはずであるが、行政訴訟において提出を拒否していた考課表などの証拠を出した。東京地裁難波裁判長はわずか1回の証人調べで、不当労働行為の立証責任を組合側に押し付け、なおかつ会社の考課表を鵜呑みにし、中労委命令を取り消したのである。
 しかし今回、東京高裁は
 ① 活発な組合活動を行っていた6名が同期・同性・同学歴者の中で著しく低い職能資格等級と賃金におかれている場合には、経験則上、組合活動をおこなっているがゆえに不合理な人事考課がされたとの推認が働き、(中略)その反証が成功しない場合には・・・組合活動を行っていたことのゆえに不合理な人事考課を受けたとの事実が認定されるものである。
 ② 6名の勤務成績が特に劣っていたなどの個別的事情が存在しない限り、人事考課査定が合理的に行なわれていたとは考えにくく、考課表に記載されているという一事から直ちにそのまま無批判的に信用することはできないと言うべきであり、個別的事情を検討した中労委の判断手法は正当なものとして是認できる。
 ③ 被控訴人会社の職能資格制度の実際の運用においては・・・少なくとも平成5年度までは、少なくとも新卒採用者については「職能資格滞留年数」と題する書面と同様の基準にもとづいて昇格管理を行なっていたことが認められる。
 などの判断基準を示し、なおかつ
 「裁判所は、労働委員会の救済命令の内容の適法性が争われている場合には、労働委員会の裁量権を尊重し、その行使が不当労働行為の趣旨、目的にてらして是認される範囲を超え、また著しく不合理であって濫用にわたると認められるものでない限り、当該命令を違法とすべきではない」とし、中労委命令について「濫用にわたるとは認めることができないから、本件命令を違法とすることはできない」と結論付け、原判決を取り消したのである。
 2004年8月大阪二次命令、同年9月都労委命令でも会社は厳しく断罪されており、兵庫事件に関して組合主張が採用されず控訴棄却となったからと言って、いささかも会社の違法行為が許されることにはならない。
 昭和シェル石油は「法令遵守」を掲げているが、初審命令に対して前新美春之会長は「浮世離れした先生方の考え方」と発言し、さらには野崎光枝さんに対する女性差別裁判で労基法4条違反断じた高裁判決が確定してもなお、差別はしていないと開き直るなど、労働法、労基法については「法」とも思わず、不当労働行為・差別を繰り返している。
 今回判決においても[職能資格滞留年数]により年功的昇格管理が行なわれていたことが認められた。会社は今なお「あれはサンプル調査をまとめたもの」と強弁しているが、またしても昇格基準であったと認定されたのである。
 これは現在裁判・労働委員会にかかっている現役女性差別事件、大阪二次事件、東京都労委事件など全てに共通して争われている。もはや会社は女性差別事件を含めた全ての係争事件を一括解決するしか道はない。
 既に労働委員会に救済申し立てをして以降21年以上が経過した。組合は、会社が今回の高裁判決を真摯に受け止め、組合間差別・女性差別を速やかに且つ自主的に是正し、38年に及ぶ労使紛争(引用者注;6人のうち1人は亡くなり、5人は定年を過ぎ、うち1人だけが再雇用という)を一日も速く解決する決断を行なうよう強く要求する。
 2010年5月14日
全石油昭和シェル労働組合 中央闘争委員会

http://www.zenrokyo.org/fax/faxdata/1390.pdf

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