◆ 遺骨と基地建設 (東京新聞【本音のコラム】)
沖縄戦で戦死した兵士や住民の遺骨が、沖縄辺野古の米軍新基地建設の下敷きにされる。想像に絶する歴史の悲劇がはじまろうとしている。
全島戦場となった沖縄で各地から召集された兵士が戦死した。未発見の遺骨が多く混じっている沖縄南部の土が、今度は米軍基地建設に利用される。遺族にとってどれほどの悲しみであろうか。
あす二十三日は、米軍に追い詰められて沖縄南部に敗走した、大日本帝国陸軍第三二軍の牛島司令官と長参謀長が自決、住民の四人に一人が殺された戦争が終結した「慰霊の日」。
会場の「平和の礎(いしじ)」がある糸満市平和祈念公園で遺骨収集ボランティアの具志堅隆松さんがいま、三月に続くハンストを実施している。
県知事が辺野古基地建設の設計変更を認めず、「遺骨混じりの土砂を使わせない」と明言してほしい、との要請である。
一九六〇年代に米軍により計画されたが、ベトナム戦争による財政逼迫(ひっぱく)で中止となった曰(いわ)く付きの基地。
その後、日本の資金で建設されることになったが、米シンクタンクでも「完成する可能性は低い」とされてきた。
海底がマヨネーズ状の軟弱地盤、総工費も当初の三千五百億円の約三倍の見通しになっている。
国家のために死んだひとたちが野ざらしにされ、今度は米軍基地の人柱にされる。その無念さを共感できないのは恥ずかしい。(ルポライター)
『東京新聞』(2021年1月1日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
沖縄戦で戦死した兵士や住民の遺骨が、沖縄辺野古の米軍新基地建設の下敷きにされる。想像に絶する歴史の悲劇がはじまろうとしている。
全島戦場となった沖縄で各地から召集された兵士が戦死した。未発見の遺骨が多く混じっている沖縄南部の土が、今度は米軍基地建設に利用される。遺族にとってどれほどの悲しみであろうか。
あす二十三日は、米軍に追い詰められて沖縄南部に敗走した、大日本帝国陸軍第三二軍の牛島司令官と長参謀長が自決、住民の四人に一人が殺された戦争が終結した「慰霊の日」。
会場の「平和の礎(いしじ)」がある糸満市平和祈念公園で遺骨収集ボランティアの具志堅隆松さんがいま、三月に続くハンストを実施している。
県知事が辺野古基地建設の設計変更を認めず、「遺骨混じりの土砂を使わせない」と明言してほしい、との要請である。
一九六〇年代に米軍により計画されたが、ベトナム戦争による財政逼迫(ひっぱく)で中止となった曰(いわ)く付きの基地。
その後、日本の資金で建設されることになったが、米シンクタンクでも「完成する可能性は低い」とされてきた。
海底がマヨネーズ状の軟弱地盤、総工費も当初の三千五百億円の約三倍の見通しになっている。
国家のために死んだひとたちが野ざらしにされ、今度は米軍基地の人柱にされる。その無念さを共感できないのは恥ずかしい。(ルポライター)
『東京新聞』(2021年1月1日【本音のコラム】)
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