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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

マンションの携帯基地局を撤去させた事例

2012年10月18日 | 電磁波と基地局
 『シンポジウム「もう一つのヒバク~携帯電話基地局の健康被害を考える」』から
 ◆ 携帯電話基地局周辺における健康被害事例報告①
J.I.さん(横浜市)

 私たちのマンションには、平成20年11月に携帯電話基地局が設置され、直ちに稼働開始となりました。同年6月には、マンション管理組合の臨時総会があって、私は1年前に海外から帰国したばかりでしたが、基地局設置反対は私1人、保留6人、賛成105人で、設置を認める結論となりました。
 皆さん既にご存じと思いますけれども、基地局を作る時は、業者がこの基地にいくらお金を出すという裏取引みたいなものがあり、それ以外に、私たちの場合は、本来の土地賃貸契約による年間150万円、月々12.5万円という提示があったようで、当時の理事会メンバーは、何も収入源がないのだからこれ幸いと飛びつき、いろいろ交渉した結果、この金額になったようです。皆さんも被害が及ぶ事などには考えも及ばず、安易に賛成してしまいました。
 私が反対したのは、最近の日本の状況を知らなかったという、いわば強みでしょうか。それと、アメリカの西部では、だいたい家を買う時は、基地局や送電線から300m以上離れていたほうが良いと言われていて、そう言われて土地を探すと、確かにロス地方は雨があまり降らないので、送電線の下は開渠になっているか、或いは植木や草花の販売業者が育成・販売の仕事をしていることが多く、居住地はそういった地域より少し離れていました。
 もちろん過密都市のニューヨークや東部の街、また、日本ではたいへん難しいとは思いますが、300mが最低限ということが頭にありましたから、私は断固反対を貫きました。
 ◆ 管理組合理事の顔ぶれが方向を左右
 設置を決めた臨時総会での説明で、契約期間について質問しましたら、基地局を誘致した責任者は「5年ぐらいだと思う」と説明しました。しかし後日、議事録を見ると「契約期間は10年で、更新は5年ごと」という書き方をしていました。
 私は「議事録はでたらめを書いている。議事録の原本を見たい」と申しますと、「(残っている筈の記録を)清書した段階で消してしまったから、手元にその時の記録は残っていない」と言い逃れをしました。そもそも設置時の契約書は、20年9月に署名捺印されていましたが、私たちからは隠されていて、2年後に私が管理組合の役員になって、ようやく見ることができ、契約期間が20年8月から10年間となっていた事が分かりました。
 理事会の任期は、7月1日から翌年6月末迄の輪番制で、選ばれた役員のメンバーがどのくらい電磁波問題の知識を持っているか、又関心があるのかが、管理組合の方向を左右します。
 設置翌年度の理事会は、携帯電話会社から送られて来る収入をなくしたくないという意向で、基地局撤去には反対でした。また、初めから仲介を買って出た居住者が居り、健康影響を受けたという方々が苦情を言うと「それでは金銭で解決しようか」と言っていましたので、これは何か裏取引があるな--と推測せざるを得ませんでした。その翌年度は、理事長が女性に代わって、この方は電磁波問題市民研究会にもいろいろと相談したりして、問題解決に努めてくれました。
 ◆ 住民にいろいろな症状
 いろいろな症状を訴える方がたくさん出てきました。平成20年11月に試運転が始まった翌々日でしょうか、拙宅では、最初に家内がパタッといきまして、2日間ほど連続して寝てしまいました
 同時に、私は非常に感度が鈍いほうなのですが、11月27日、ちょうど娘が海外から帰って来た日でしたが、何もできずにバッタリいって、2日間寝てしまいました。
 率直に申しますと、その時点では、基地局との因果関係には気づきませんでした。その後、主たる被害区域と思われたA棟3、4、5階を戸別訪問し、被害の実態を確認しました。
 先程から新城哲治先生や皆さんがおっしゃったようないろいろな症状と、まったく同じような症状を、我々は身を以て体験しました。私の家内は、もろもろの症状と共に、特に耳がやられまして、電話がなっても、玄関のインターフォンにも反応しません。私は“聞こえない”状態を実感できませんでしたので、なんら反応しないことに腹立たしく思っておりましたが、昨今は、電話やインターフォンが鳴れば自分で飛んでいきます。
 23年7月から、私達が理事会を運営することになりました。契約書に契約期間短縮の条項があり、短縮は1年前に書面で提出しておけば、その間に交渉して1年後に解約できるようになるという項目です。
 誘致賛成派は「そんなことをしたら、ペナルティを取られる。いくら取られるか分からない」等と強調して廻り、契約破棄の妨害を図りました。
 しかし、健康に勝るものは有りませんので、断固突破するより外は無いとの信念で、理事会を担当する前からの三代に亘る理事会有志の方々や住民各位と共に、主張を曲げず、三度の管理組合総会での全面撤去賛成決議を盾に、三年間闘って参りました。
 ◆ 停波、撤去を実現
 漸く昨年10月に停波、そして、その後、KDDI側の人事異動や組織変更等があり、承認印がもらえない事態を経て12月になってしまいましたが、12月15日には全面撤去が完了しまして、現在は、基地局が無くなって、非常に喜ばしい状態ですが、個人差もあり、苦しんで来た症状からの脱却は、まだ時間を要する現状です。
 私の家内に残る耳の症状も、まだ完全には良くなって居りませんので、定期的な通院を余儀無くされて居ります。
 今までは、自分たちのマンションから出る電波、反射される電波で、近隣の方々に迷惑をかけていたのですが、これからは、周辺に建築中のマンションが3~4軒ありますので、そちらに基地局が建てられてこちらが被害を受けるようでは、これまた困るということで、新しく出来るマンションの管理組合ができましたら、そこへ乗り込んで、いろいろ説明したり、基地局を建てないように取り計らって頂くべく考えて居りまして、建築の進度に合わせて時々見廻って居るのが現状です。
 以上、簡単に申し上げましたが、電磁波は目に見えないだけに、皆さんには容易に認識し難い問題だとは思いますが、その影響は、非常に大きいと思いますし、健康は一朝一夕には回復致しません
 本日の皆さん方のお話を拝聴致しまして、やはり、と納得致しました。これからも、いろいろな面で、皆さん、そして私たちも闘いを継続していかなくてはなりませんけれども、その間、今まで大変お世話になり、御指導頂いて参りました電磁波問題市民研究会の方々に、大変有り難く、篤く御礼申し上げます。
『電磁波研会報 77号』(2012/7/29)

 ※動画 ↓ 『シンポジウム「もう一つのヒバク~携帯電話基地局の健康被害を考える」』
http://denziha.net/1203sympo.html
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