岸田さん裁判控訴審第２回で結審

　☆ 控訴審判決日：７月１９日（火）１：１５～　東京高裁５１１法廷
　　＝コントラタック２０７６＝
　◎ 岸田さん裁判控訴審第２回
　　　２０１６年５月１７日　５１１法廷１４：００～

「君が代」不当処分撤回を求める会（事務局：東京都公立学校教職員組合内）
千代田区一ツ橋２－６－２

～～～～～～～～～～～～～岸田静枝さんから～～～～～～～～～～～～～～

　「君が代」修正処分の控訴審第二回目です。ほんの数分の法廷ですが、時間も空間も、そして何よりも「一緒に闘っている」思いを共有できることに、感謝をしています。ありがとうございます。
　東京都からは、準備書面（２）と準備書面（３）が立て続けに届きました。その筋違いな内容に対して、高橋拓也弁護士さんが、正攻法で溜飲が下がる反論をしてくださいました。
　私からは、陳述書を提出しました。陳述書の「職務命令について」「修正処分について」で、私の気持ちを書きました。
　「天皇制とキリスト教について」では、佐治孝典さん（元・神戸女学院大学及び松陰女子学院大学非常勤講師）の著作『植民地・戦争・天皇制』の第八章「天皇制国家と日本のキリスト教会」から、一部を抜粋させてもらいました。
　以下は、陳述書の最後の部分です。

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　私は、憲法を、自分の身体の中を通して、日々の生活の中で使ってゆきたいと思っています。どんなに素晴らしい憲法でも、使ってこそ憲法の力が発揮されるのだと思っています。
　前掲の佐治孝典さんの著書からの抜粋にもあるように、生活のあらゆる部分が象徴天皇と無関係ではありません。
　「日の丸」が掲げられている時、「君が代」が流れている時、キリスト者である私にとっては、それが単なるハタとウタではなく、天皇制とキリスト教との関係から、どのような行動を選択したらよいのか、悩み、深刻に考え込むことが少なくありません。
　私は戦争を知らない世代ですが、歴史を学べば、「君が代」の「君」は天皇のことであると判ります。いや、そうではない、天皇のことではなく主権者である国民のことを指しているのだと、無邪気な解釈に置き換えることなど、できません。
　「日の丸・君が代」は天皇制と深く結びついている、と私は考えています。「日の丸・君が代」については、他にもさまざまな考え方があるでしょう。私は私とは違う考えも尊重するから、私の考えもつぶさないで、一つ以外は認めないときっぱり言い切ることは止めてほしいと訴えているだけです。
　キりスト教の信仰は、私の生き方です。この国に住んでいる私の生き方を認め、守っているのが、憲法第２０条です。
　かつての教育実践の経験は、今現在の目の前の子どもたぢ、周りの友人たちや仲間たちに、形を変えて、発展的な関係を創りだしているなと感じることがあります。大切なのは過去の栄光ではなく、現在の流されない姿勢です。流されてしまった時に、率直に認め、やり直す勇気です。
　最後に、石垣りんの第一詩集『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』（１９５９年１２月）から、「雪崩のとき」の部分を引用して陳述を終えたいと思います。
　貴裁判所におかれましては、私が近時の社会状況に強い不安を感じており、改めて日本国憲法の基本原理である基本的人権の尊重は「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」（憲法第１２条）との思いを強くしていることを、ぜひご理解下さるよう切にお願いします。

　◎ 「雪崩のとき」
人は
その時が来たのだ、という
雪崩のおこるのは
雪崩の季節がきたため、と。

（中略）

それも過ぎてみれば束の間で
まだととのえた焚木もきれぬまに
人はざわめき出し
その時が来た、という
季節にはさからえないのだ、と。

雪はとうに降りやんでしまった。

降り積もった雪の下には
もうちいさく野心や、いつわりや
欲望の芽がかくされていて
”すべてがそうなってきたのだから
仕方がない”というひとつの言葉が
遠い嶺のあたりでころげ出すと
もう他の雪をさそって
しかたがない、しかたがない
しかたがない
と、落ちてくる。

鳴呼、あの雪崩、
あの言葉の
だんだん勢いづき
次第に拡がってくるのが
それが近づいてくるのが

私にはきこえる
私にはきこえる