《週刊金曜日:きんようぶんか「本」》
☆ 『それはわたしが外国人だから? 日本の入管で起こっていること』
安田菜津紀=著 金井真紀=絵と文 ヘウレー力 定価1980円(税込)
文聖姫(ムンソンヒ/編集部)
多様性の時代と言われるが、昨年6月に国会で成立した「改正入管法」は、外国にルーツを持つ人々にとって、より厳しいものになっていないか。難民申請中にも本国へ送還される可能性があったりするのだ。
そんな外国人の実態を詳細に描いたのが本書だ。日本以外の国籍を持つ、あるいは外国にルーツを持つ4人が登場する。
ガーナ国籍の両親のもと、日本で生まれたリアナさん、
英語教師になる夢を実現するため日本にやってきたスリランカ人のウィシュマさん、
トルコに暮らしている時に身の危険を感じて日本にやってきたクルド人のアハメットさん、
そして戦前から日本に住む朝鮮半島にルーツのある石日分(ソクイルブン)さんだ。
「4人の生きた道のりをたどっていくと、日本社会で暮らす日本国籍以外の人たちが直面する、さまざまな『壁』が見えてきます」と「はじめに」にあるとおり、4人はさまざまな壁に直面し、それに抗(あらが)ってきた。
その結果、ウィシュマさんは収容された名古屋にある出入国在留管理局の施設で亡くなった。
アハメットさんは結局、トルコに送還され、その後家族とともにニュージーランドに難民として受け入れられた。
本書は、多くの漢字にルビが振られていて、子どもたちにもわかりやすいが、ぜひ大人にも読んでほしい。金井真紀さんのイラストも素敵だ。
『週刊金曜日 1483号』(2024年8月2日)
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