パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

梅原裁判、逆転勝訴判決の報告

2021年12月28日 | 日の丸・君が代関連ニュース
  《大阪ネットニュースから》
 ◆ 再任用拒否国賠訴訟 控訴審で勝利判決!
元府立高校教員 梅原聡

 ◆ これまでの経過

 卒業式での「君が代」斉唱時の起立斉唱の職務命令違反で二度の戒告処分を受けたことと、「今後、卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱の職務命令を含む上司の職務命令に従いますか?」という意向確認に答えなかったことを理由に、定年時に再任用を拒否され、国賠訴訟を起こしました。
 一審大阪地裁は府教委側の言い分を丸呑みするような不当判決を出し、私たちはすぐに控訴しました。
 控訴審では、一連の最高裁判決を大幅にコピペした地裁判決を批判し、次の2点を中心に主張しました。
 一点目は「意向確認」がキリシタンの踏み絵と同様のもので、思想良心の自由を侵害するということです。
 二点目は、私の再任用の時点での情勢においては再任用における裁量権は一定の制約を受けるものであり、府教委の判断は裁量権の逸脱・濫用にあたるということです。
 およそ1年をかけた審理の末、12月9日、大阪高裁で勝利判決を勝ち取りました。
 判決を十分に検討できていないところもありますが、簡単に報告させていただきます。
 ◆ 逆転勝利の高裁判決

 判決では、総務副大臣通知が出されるなど雇用と年金の接続を求める社会的要請があったことや、再任用希望者のほぼ全員が採用されている実情などから、再任用されることへの合理的期待が生じ、その期待は法的保護に値するものに高まっていて、他の再任用希望者と平等な取り扱いを受けることについて強く期待する地位にあったことを認めています。
 その上で、不起立で戒告処分を受けた私が再任用を拒否される一方、同年に体罰で減給という重い処分を受けたA氏が再任用に合格している状況については、合理性を欠くと判断しました。
 加えて、私の勤務実績についての校長の内申がすべて「適」であったことや過去の「日の君」の最高裁判例を引いて「事案の性質等を踏まえた慎重な考慮を必要とする」こと等々をあげ、府教委の判断は客観的合理性や社会的相当性を著しく欠くもので、裁量権の逸脱・濫用にあたり、違法であると断じました。
 このように、高裁判決は裁量権については私たちの主張を反映させ、私に対する再任用拒否を裁量権の逸脱・濫用にあたるとして府教委の賠償責任を認めました。
 一方、私たちが最も強く訴えてきた「意向確認」の問題についてはほとんど触れることなく、ほぼ原判決を維持して、「意向確認」は違憲・違法とは認められないとしてしまいました。
 私たちとしては、「意向確認」が違憲であるとまでは言えなくても、それを使って再任用を拒否することには問題があるという程度のことは言えるのではないかと考えていましたが、それさえもなく非常に残念に思います。
 ただ、「意向確認」が私たちの運動の結果で文言の変更を余儀なくされたことや、私たちが「意向確認」の問題点にポイントを絞って追及したことが、裁判官自らに考える契機になったのではないでしょうか。
 一審のように「日の君」の問題については結論ありきで、判例のコピペで判決を書いてしまうことなく、結果として、裁量権の逸脱濫用を認める判決を書かせたのではないかとも思えるのです。
 この判決で、「君が代」不起立者を再任用から排除することがはっきり違法とされ、また、これまで府教委が不起立処分者を差別的に取り扱ってきたことが明確になったわけです。
 今回の勝利判決を受けて、ご支援下さった皆さんと、歓びを分かち合い、今後の運動を進めていく上での大きなカにしていきたいと考えています。
『大阪ネットニュース 24号』(2021年12月19日発行)

コメント    この記事についてブログを書く
« 梅原再任用裁判大阪高裁勝訴... | トップ | 日本の少女のリプロダクツヘ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日の丸・君が代関連ニュース」カテゴリの最新記事