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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

NOCによって異なる管轄領域を共通に呼ぶ呼称を、オリンピック憲章では「カントリー」と定めている

2019年04月25日 | こども危機
 ◆ <質問への回答>『五輪憲章』では選手団派遣単位を「country」としているか?
   皆さま     高嶋伸欣です


 1 昨日の「都教委の『10・23通達』は、同教委による副教材『五輪読本』に明示された国旗掲揚ルールに違反!」という私のメールに関し、質問を頂きました。
 2 メールの中にある「このため五輪憲章では、選手団派遣の単位地域として『country カントリー(国・地域)』を用いています」の部分について
 「多少は英語の知識を持つものとして疑問を覚えています」「このような言葉が国際的な公式文書の用語として使われたことは寡聞にして知りません」とのことで、典拠となる「五輪憲章」の条文を示すように求められました。
 3 まず、とりあえず現行版(2017年度版ですが)『五輪憲章』の該当部分の抜粋を<添付資料1(略)>にまとめましたので、御覧ください。
 *日本語訳は「国旗国歌法」成立以後、文科省(旧・文部省)等の顔色を伺って「country=国」とのみ訳していますので、信用できません。<添付資料2-A(略)>を参照してください。
 4 ちなみに、私(高嶋)が「五輪憲章」では選手団派遣の単位地域を「country」と表現していると知ったのは1994年の秋です。
 5 1980年に『五輪憲章』が改正されて、それまで「選手団は国旗と国歌を用いる」とされていたのが、「選手団を派遣するNOCが組織委員会に登録して承認された旗と歌で、それらが国旗・国歌と同じであっても五輪の場では国旗・国歌とはみなさず、あくまでも選手団の旗と歌でしかないとすることによって、国旗・国歌と異なる旗・歌が登録されたケースと同等に扱うものとする」とされたはずでした。
 6 けれども、新聞報道や教科書記述などでは、相変わらず五輪の表彰式について「国旗・国歌」を連発していることに、私は強い不満を感じていました。
 7 そうした時に、定期購読していた広島の『中国新聞』が、「広島アジア大会(1994年)」に向けて、スポーツ面でコラム「広島ア大会ミニ百科」の連載をスタートさせ、そこに「国旗ではなくNOC旗」「国歌ではなくNOC歌」という解説が登場したのです(添付資料2-B).
 8 驚いて『中国新聞』編集部に電話をして事情を尋ねました。すると次のような事情が判明しました。
 9 「広島アジア競技大会組織委員会」が、首都の都市以外で開催される初めてのアジア大会でもあるので、地方都市でもやれることを示したい、と意気込んでいた。
 それに、県庁や民間企業などからも人手を出してもらい寄り合い所帯で運営することになるので、何よりも手違いで混乱を起こさないようにする必要がある。
 そこで、早くから関係者の研修に着手し、大元の『五輪憲章』や用語などについて、東京のJOCから講師を招いて何度も学習を重ね、「基礎知識」「用語集」などの資料集を次々に作成した。
 10 その事前学習会に記者たちも参加し、資料などを入手して大会本番に備えていたところで、自分たちも意外と思った話題をコラムで読者向けに紹介した。
 11 以上のような事情が分かったので、大会が終了するのを待ち、94年の11月21日(月)に広島へ行き、同「組織委員会」を訪問して取り組みの様子を伺うとともに、残部となっていた様々な事前研修資料等を頂きました。
 12 その中の一つ『アジア大会実務のための基本知識 1983年4月』は、ワープロで作成しホッチキスで綴じてある正に手作りの資料集でした。
 13 同『基本知識』の「用語解説」に「カントリー(country)」があって、次のように説明されていました(添付資料2-A)。
カントリー(COUNTRY)
 1つのNOCを構成する単位としての『国・地域』を指す。それぞれのNOCが管轄する領域は、単一の国家(NATION)の場合もあれば、ある国の一部をなす区域(TERRITORY)の場合もある。このように、NOCによって異なる管轄領域を共通に呼ぶ呼称を、オリンピック憲章では「カントリー」と定めている。この語を単純に『国』と訳すのは誤りで、日本語にするときは『国・地域』としなければならない。」
 14 こうした「COUNTRY」の規定が五輪憲章に何時から登場したのかについては、わかりません。
 どなたかご存知の方がおいででしたら、教えて下さい。

 15 なお<添付資料2-C(略)>は、NEW YORK TIMES が2018年冬季五輪でのドーピング問題について詳しく扱った記事の一部分です。
 かつて米ソが五輪ボイコットを相互に行ったことに言及し、その時にボイコットしたNOCの数を almost 70 countries と表現しています。
 英字紙では、これまでも五輪への参加NOCの数〇〇countriesと普通に表現していたのではないかという気がします。
 16 現在までのところ、比較的良心的と思われる日本のメディアでも五輪参加NOCの数を「〇〇カントリー」としたり、「国・地域」を「カントリー」としている事例はほとんどないように思われます。
 結局のところは、マスコミは「国・地域」と言い続けることで「ナショナリズム」「愛国心」を煽り、五輪を商業的利益獲得の場にする体質からの脱却は二の次とし、教育でもそうした思惑に便乗した政治的意図によって思想弾圧に「国・地域」表現が悪用され続けられそうです。
 17 この事態に黙っていられないで行動しているのが「都教委を訴える会」です。
以上 疑問を提起されたのを機とした参考資料の紹介です

文責は 高嶋です          拡散・転送は自由です 


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