大阪「教職員の評価・育成システム」に関するアンケート調査「府教委まとめ」のデタラメ（１）

　☆ こんな「府教委まとめ」はでたらめでしょう （新勤評制度はいらない！全国交流会ニュース）
　※ アンケート回答（被評価者）の結果　→　府教委まとめ
　　　○ 自己申告票は役に立っていない６０．１％　→● 「有用だと認識している」（まとめ）
　　　○ 給与反映は意欲・資質向上につながらない５７．１％　→● 「概ね理解、定着」（まとめ）
　　　○ 授業アンケートの有用性は質問してない　→● 「有用と認識している」（まとめ）
　☆ 府教委へ公開質問書を提出しました
　府教委は昨年８月に、「教職員の評価・育成システム」に関するアンケート調査を実施し、そのまとめを今年２月６日に公表しました。それが「教職員の評価・育成システムに関するアンケート調査結果について」（以下「まとめ」と略記）です。
　その内容がいかにでたらめかについては、５月に交流会ニュースＮｏ１５でアンケートに書かれた教職員の自由記述を示しながら、指摘しました。
　また、市町村教育長の書いた評価育成システムに対する極めて厳しい意見（自由記述〉を取り上げ、これにどう答えるのかと府教委に公開質問状を突き付けました。（ニュースＮ。１５参照）。
　しかし、府教委は自らがアンケートを実施し、属性も教育委員会と書かせておきながら、「絶対に教育長が書いたとは断定できない」からと回答を拒否して逃げました。
　府教委のアンケートは設問自体が恣意的で自分に都合のいいことだけしか取り上げていないだけでなく、「まとめ」はそれに輪をかけて恣意的で公平さを欠いた解釈を施しています。
　見出しにも上げたように６０．１％の被評価者（教職員）が自己申告票は役に立っていないと回答しているのに、何の根拠もなく「有用だと認識している」と結論付けるありさまです。
　「システムが」
　　　①学校目標の共有につながっていない６６．８％、
　　　②意欲・資質能力の向上につながっていない６６．８％、
　　　③教育活動等の充実及び学校の活性化につながっていない７２，５％と、
　　　システムの最も根本的な部分について教職員の３分の２が否定しているのに、システムの制度の誤り・欠陥に原因があるとは考えず「システムへの理解をさらに促進する」としています。
　実施後１０年以上たって理解できない教職員が悪いというわけです。そんなことあるわけない。教職員は充分理解しているから「ノー」を突き付けているのです。
　またアンケートが意識的に避けた事柄の中で、現場教員からは「評価される」ために労働時間の長時間化、労働強化などを強いられるという過重労働の問題が指摘されています。
　システムが教職員の分断、協力を弱めるなどという指摘とともに、「給与反映」が引き起こす問題が浮かび上がってきています。
　被評価者側の教員だけでなく、評価者側からも大阪府教員の採用についての悪影響や、教員の事務量・作業量の増加、評価する対象者が多く管理限界を超えるなかでの評価の困難さや、評価が実質上相対評価になっているなどの問題が指摘されています。
　私たちが今回（９月５日付）提出した公開質問書は、４５００名余の教職員の声、自由記述に現れた現場の声を府教委にぶつけるものです。現場の生の声をできるだけ反映させたかったので非常に大部な質問書になりました。下の全国交流会のウェブサイトで閲覧できるようになっています。ぜひご覧ください。
　アンケート結果や自由記述にある意見から私たちは、「教職員の評価・育成システム」という成果主義での評価軸の精緻化など破綻しており、学校現場を混乱させるだけであり、給与反映の廃止こそが必要だと考えます。
　長時間労働の解消、パワーハラスメントなどがなく、ストレスの少ない職場、協力協働のしやすい職場、こういった教育諸条件を整えることこそが、教育行政本来の責務であるはずです。府教委は、私たちがまとめた多くの教職員からの質問に誠実に応えることを要求します。
　※ <新勤評制はいらない！全国交流会ウェブサイト>
http://www7b.biglobe.ne.jp/~kinpyo-saiban/
　府教委に対する公開質問書（９月５日付）だけでなく、府教委の「まとめ」、昨年実施のアンケート本文、結果と全教職員、校長・教育長の回答、自由記述を見ることができます。
『新勤評制度はいらない！全国交流会ニュース 第16号』（２０１８．９．１４）