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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

2012年5月7日 授業していたのに処分?裁判第一回口頭弁論 意見陳述

2012年05月14日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◎ 授業をした理由
 ~生徒のために授業をしていた教員に懲戒処分を下す都教委に「生徒の学習権」を語る資格なし
原告 福嶋常光

 私は生物の教員です。都立学校で教育にたずさわり、ちょうど30年目で、今回の「授業をしていたのに懲戒処分を受ける」という目にあいました。
 私は、2005年3月、2003年10月23日通達に基づく職務命令に違反したとのことで、卒業式での「君が代」斉唱時の不起立行為を職務命令違反として減給1/10・1月の懲戒処分を科されました。その処分にともなって「再発防止研修」の受講を命じられました。
 「再発防止研修」のうち「基本研修」を夏休み中に受講しましたが、「専門研修」は二学期に入ってから、しかも授業を5時間受け持っていた火曜日に設定されました。私は日程変更を求めましたが、認められることはありませんでした。
 校長からは授業を取りやめて自習にして、「研修」を受講するよう命じられましたが、5時間の授業のすべてを自習にすることはできず、研修当日やむなく学校で授業をしていたところ、職務命令違反として減給1/10・6月の懲戒処分を科されました
 この処分についても新たに「服務事故再発防止研修」を2回科しています。まず、10・23通達以来、国歌斉唱時に起立斉唱しないと「職務命令違反」として懲戒処分の対象とされるようになりましたが、繰り返し職務命令に違反すると、処分内容が急激に重くなっていきます
 私がなぜ「再発防止研修」を受講せず、学校で授業をしていたのかを説明します。
 減給処分以上の処分が科された者に対する「再発防止研修」は「基本研修」と「専門研修」の2つを受講することが命じられます。この年、私は減給1/10・1月の処分を受けていましたので、まず7月21日に「基本研修」の受講を命じられ受講しました。
 その翌日に、校長から「専門研修」の日程が9月13日の火曜日であることを知らされました。私は火曜日は授業が5時間ある日であることを告げ、5時間ある授業のうち、少なくとも3時間は他の曜日の授業との入れ替えはできないものであることも校長に説明しました。
 校長は授業のことは全く念頭になかったようで、私の指摘に「困りましたね」と言いながらも「9月9日に変更するよう要請します」と約束しました。9月9日は金曜日です。金曜日には私は授業の予定はあませんでした。9月9日には、他の学校の教員の「専門研修」が予定されていました。
 ところが8月に入った頃、校長から「日程変更は認められなかった」と伝えられました。そこで私は8月中旬に「専門研修」の事前課題を都教委に提出する際に、あわせて「日程変更のお願い」の文書を送りました。私の授業がない金曜日の9日と30日、文化祭の代休の20、21、22日ならば何の問題もなく行ける、その他の日でも授業に支障がなければ行くようにするので連絡が欲しい、との内容でした。ところが都教委は、日程変更を一切認めませんでした
 私は、生物の教員として経験を積むほどに学校教育の中での授業の大切さを感じるようになりました。医学医療の進歩により生命倫理の問題も一般市民の身近な問題になっています。環境問題も皆が考えなければならない問題です。生徒には基本となる事柄をできるだけ多く知って欲しい、そして各人なりに普遍性のある宇宙観・生命観・人生観を構築してほしい、そのために生徒に直接語りかける授業の時間が教師としての本分だと思ってきました。
 2005年2学期の1年の基礎理科の授業は、中間考査までのクラスによる差は1時間でした。9月13日に「研修」に行くとその差が2時間になり、クラスによる進度の調整が難しくなります。
 3年の選択生物Ⅱには生物系の大学進学希望者が2名、看護系の進路希望者が4名ほどいました。3年生は3学期にはほとんど授業ができませんから、2学期末までに一通りは終わらせたいのです。
 勤務していた福生高校の生徒は、部活動や行事では自主的に活動できる生徒が多いのですが、こと勉強については自学自習は苦手なタイプが多い学校でした。初めての用語なども多く出てくることもあり、自学自習で理解するのは難しいのです。定期考査の前ならば復習的な課題を与えるということも可能でしょうが、2学期が始まったばかりです。私が説明しなければまるまる無駄な自習時間になってしまいます。ですから生徒達のことを考えたとき、私は教師として、5時間の授業をとりやめて「研修」に行くという選択をすることはどうしても出来ませんでした
 教員の休暇などで授業ができないときは、教務の時間割担当者がその時間に授業のない教員を監督者として割り振る、ということは多くの学校で行われています。自習が1日に3時聞程度までなら監督をお願いするのはそれほど難しくはないのですが、それを超えると手配は難しくなります。教員は授業のない、いわゆる空き時間も次の授業の準備だけでなく、分掌の仕事、クラスや部活動の準備など、さまざまなことを予定しているからです。そもそも5時間も他の人に割り振ると学校全体としてかなりの無理があるのです。
 私が「研修」に行かずに授業をしていた9月13日の夕刻6時半を過ぎた頃、学校を出たときに、教務主任の方とたまだま一緒になりました。教務主任は「福嶋さんに学校で授業をしてもらって助かった」とのことでした。休暇をとった教員が2名いて、その自習監督者を捜すだけでも大変だった、教務担当の2名の教員は授業と監督とを合わせて5時間教室に行くことになった、ほかの方にもかなり無理をお願いした、とのことでした。もし私が「研修」に行っていたなら、監督がどうにも割り当てられないクラスがでた、ということでした。
 教師の職務は生徒の教育です。授業は学校教育の中心的な活動です。私は、いつもと同じように授業をして、教師としての職務を全うしていただけです。それによって学校はなんの混乱も支障も起きていません。
 10・23通達関連の訴訟で、都教委は繰り返し、生徒の学習権を保障するための職務命令だ、と言っていましたが、「研修」の日程変更すら認めず、生徒のために授業をしていた教員に懲戒処分を下す都教委に「生徒の学習権」を語る資格があるとは思えません
 裁判所にはこの減給処分を取り消すという判断だけでなく、10・23通達以後の学校現場の実情を知っていただき、学校が日本国憲法の精神に基づく民主主義社会のモデルであるように、生徒の人権が守られ、そのためにも教師の人権が守られる場であるように、そして生徒間、教師間、生徒・教師間の自由闊達な意見交換ができる場であるように、賢明な判断をお願いします。
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