◇ 板橋卒業式事件最高裁判決報告集会 7月30日(土)13:30~板橋文化会館大会議室
◎ 梔子(くちなし)の香は甘く漂えど
~7・7最高裁報告(1)
「ヒドリガモ」 《撮影:佐久間市太郎(北海道白糠定、札幌南定、数学科教員)》
2011年7月7日、午後1時をまわると、最高裁南門前につぎつぎと支援の方々が集まり、最高裁のフェンスに沿って長い列をつくる。白い花が芳香を放っている。さほど広くない歩道は折しも演劇鑑賞の高校生の長蛇の列が通る。赤信号の都度立ち止まる彼らに話しかける支援者の方もいる。日差しは強い、だがこうした逆境に支援者は滅法強い。「応援する会」のマイクでの呼びかけがしばらく続けられる。
14時10分傍聴整理券が配布され、参加者が110名と知る。14時20分、抽選は47席分。程なく15人つつ誘導されて内部に入る。傍聴者待合いスペースのあるロビーは31歩×46歩の広さ。滞留した傍聴人は次に第一小法廷へ誘われた。
正面の裁判長席、左右に椅子の背もたれが見える。下の段に2人はすでに着席して、無表情に傍聴人の入室を見ている。弧を描くように弁護団の席がある。しかし藤田さんの席はなく、傍聴人席の側にその姿がある。きわめて不自然。
傍聴券に記された席番のところにほぼ全員が着席した頃、「帽子をおとり下さい」と促される。事務官だろう儀式めいた所作で進み出て、「裁判官が入廷してから2分間カメラの撮影を許可します。30秒前に撮影を終了して下さいと言いますから、報道カメラは退室して下さい」と発言して下がる。振り向くとカメラが6台、記者席は左右で15名。
15時、桜井龍子裁判長(九大法卒、労働省女性局長、大阪大学院教授を経て08年9月に現職)以下裁判官が入室。ほとんど同時に弁護士が起立、傍聴人も自然に起立。着席のまま思う。…ああ、あの時もそうだった、四女の卒業式の時、保護者席で…。
間髪をいれずに若い女性の書記官が「平成二〇年(あ)第1132号威力業務妨害事件被告藤田勝久に対する判決を宣告する」と甲高く読み上げた。呼び捨てされた藤田さんの心臓になにかコツンと当たった音が聞こえて、横顔を窺う。
裁判長「主文。本件上告を棄却する。理由。表現の自由は民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならないが、憲法21条1項も、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、他人の権利を不当に害するようなものは許されない。卒業式の円滑な遂行に看過し得ない支障を生じさせたものであって、被告人の本件行為をもって刑法234条の罪に問うことは憲法21条1項に違反するものではない。」
「事実誤認だ!」とするどい声が飛ぶ。続けてわき起こった傍聴人の「番犬!」など抗議の声の中、裁判長以下、背後の扉の向こうに消えた。なるほど梔子(くちなし)の花…。ここは民主主義を葬る墓地であったか。その南門ではみなが待機している。「不当判決」の抗議集会が始まった。
16時、社会文化会館でいくつかの作業が同時進行した。判決文の増刷りが出来ると報告集会が、別の部屋では弁護団による判決分析、抗議声明の作成が。
16時40分、声明文を手に、弁護団は司法記者クラブで設定されていた記者会見に向かう。応援する会から福井、賀谷、かわむらが同行した。記者は16名。抗議声明文(→クリック)が配布される。
(続)
『藤田先生を応援する会通信』(2011/7/10 第48号)
◎ 梔子(くちなし)の香は甘く漂えど
~7・7最高裁報告(1)
かわむらひさこ
「ヒドリガモ」 《撮影:佐久間市太郎(北海道白糠定、札幌南定、数学科教員)》
2011年7月7日、午後1時をまわると、最高裁南門前につぎつぎと支援の方々が集まり、最高裁のフェンスに沿って長い列をつくる。白い花が芳香を放っている。さほど広くない歩道は折しも演劇鑑賞の高校生の長蛇の列が通る。赤信号の都度立ち止まる彼らに話しかける支援者の方もいる。日差しは強い、だがこうした逆境に支援者は滅法強い。「応援する会」のマイクでの呼びかけがしばらく続けられる。
14時10分傍聴整理券が配布され、参加者が110名と知る。14時20分、抽選は47席分。程なく15人つつ誘導されて内部に入る。傍聴者待合いスペースのあるロビーは31歩×46歩の広さ。滞留した傍聴人は次に第一小法廷へ誘われた。
正面の裁判長席、左右に椅子の背もたれが見える。下の段に2人はすでに着席して、無表情に傍聴人の入室を見ている。弧を描くように弁護団の席がある。しかし藤田さんの席はなく、傍聴人席の側にその姿がある。きわめて不自然。
傍聴券に記された席番のところにほぼ全員が着席した頃、「帽子をおとり下さい」と促される。事務官だろう儀式めいた所作で進み出て、「裁判官が入廷してから2分間カメラの撮影を許可します。30秒前に撮影を終了して下さいと言いますから、報道カメラは退室して下さい」と発言して下がる。振り向くとカメラが6台、記者席は左右で15名。
15時、桜井龍子裁判長(九大法卒、労働省女性局長、大阪大学院教授を経て08年9月に現職)以下裁判官が入室。ほとんど同時に弁護士が起立、傍聴人も自然に起立。着席のまま思う。…ああ、あの時もそうだった、四女の卒業式の時、保護者席で…。
間髪をいれずに若い女性の書記官が「平成二〇年(あ)第1132号威力業務妨害事件被告藤田勝久に対する判決を宣告する」と甲高く読み上げた。呼び捨てされた藤田さんの心臓になにかコツンと当たった音が聞こえて、横顔を窺う。
裁判長「主文。本件上告を棄却する。理由。表現の自由は民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならないが、憲法21条1項も、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、他人の権利を不当に害するようなものは許されない。卒業式の円滑な遂行に看過し得ない支障を生じさせたものであって、被告人の本件行為をもって刑法234条の罪に問うことは憲法21条1項に違反するものではない。」
「事実誤認だ!」とするどい声が飛ぶ。続けてわき起こった傍聴人の「番犬!」など抗議の声の中、裁判長以下、背後の扉の向こうに消えた。なるほど梔子(くちなし)の花…。ここは民主主義を葬る墓地であったか。その南門ではみなが待機している。「不当判決」の抗議集会が始まった。
16時、社会文化会館でいくつかの作業が同時進行した。判決文の増刷りが出来ると報告集会が、別の部屋では弁護団による判決分析、抗議声明の作成が。
16時40分、声明文を手に、弁護団は司法記者クラブで設定されていた記者会見に向かう。応援する会から福井、賀谷、かわむらが同行した。記者は16名。抗議声明文(→クリック)が配布される。
(続)
『藤田先生を応援する会通信』(2011/7/10 第48号)
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