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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

菅首相、79日ぶりの「記者会見」という名の問答集“朗読会”

2020年12月15日 | 平和憲法
  =たんぽぽ舎です。【TMM:No4099】【TMM:No4100】「メディア改革」連載第51回=
 ◆ “特高顔”(補)菅ネオファシスト政権に殺される前に反撃を
浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

◎ 菅義偉首相が国会閉幕(5日)前夜の4日午後6時から官邸で記者会見を開いた。菅首相の記者会見は、9月16日の就任挨拶の会見(30分)、初外遊先のジャカルタでの「内外会見」に続いて3回目。官邸での会見は内閣記者会(正式名・永田クラブ)の主催で、実に79日ぶりだった。
◎ 安倍晋三前首相でさえ、コロナ禍で2月末から6月まで9回の会見を開いていたのに、コロナ第三波が襲う中、菅氏が「記者会見」を避けてきたのは極めて異常だ。菅首相は官邸でのぶら下がり取材、グループ・インタビュー、パンケーキ朝食会などのオフレコ懇談会でにメディア対応しかしてこなかった。
◎ 内閣記者会は度々、官邸報道室を通じて会見の開催を求めてきようだが、官邸側は完全無視。国会では答弁できない時は、後ろに控える秘書官が答弁内容を手書きで差し入れしているが、記者会見では自助で対応するしかないのでやりたくないのだろう。
 菅首相には7人秘書官がいるが、国会答弁で頻繁に助け船を出す50歳前後の“影の首相”秘書官の氏名はいまだにわからない。
◎ 「国会閉幕で首相が会見するらしい」という情報は2日頃から流れていた。安倍首相時代では、官邸HPに報道室からの「会見取材申し込みのお知らせ」がアップされていたが、菅政権になってからなくなった。
 IWJ(岩上安身代表)によると、報道室が事前登録しているフリーランス記者にメールで連絡したのは、当日午前9時半ごろで、11時半が申込み期限だった。
◎ 官邸の首相、官房長官の会見にフリージャーナリストが自由に参加できると誤解している人が多いが、会見に参加できるのは報道室に登録している11人だけだ。11人は2012年ごろの民主党政権下で登録され、その後は一人も認められていない
 首相会見の席の数は4月7日以降、29席(内閣記者会常勤幹事社19席、それ以外の10席を専門紙・外国メディア・ネット・フリーランスなどで抽選)に制限されている。
◎ 4日の会見はNHKの中継で見た。NHKが午後6時44分に中継を終えたので、最後の方はネットで視聴した。官邸HPに動画と会見の記録がアップされている。
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2020/1204kaiken.html
 司会は、これまでの2回の菅会見と同様、山田真貴子内閣広報官。
 前総務審議官の山田氏は質問者には「社名と名前を」と要請するのに、自分は名乗らない。外国の首脳の報道官・広報官は必ず名前を出している。
 ◆ コロナ禍「Go To」5月まで延長を容認する御用メディア

◎ 会見ではまず、菅首相が18分、冒頭発言した。ずっと原稿を読んでいる。
 コロナ禍が緊急事態なのに、心に響く言葉がない。携帯料金値下げ、不妊治療補助、デジタル化など宣伝ばかり。
 これなら、演説のテキストを記者会に配ればいい。
 続いて、山田氏が質疑応答に移ると述べ、「質問のある方は、発声ではなく挙手を」と告げ、「慣例に従い、まず幹事社の方」と言って、TBSと毎日新聞の記者を指名した。
 その後、記者9人が質問したが、ほとんどが常勤幹事社の記者たちで、緊張に場面はなかった。
 山田氏は「それでは共同(通信)の吉浦さん」などと記者名をいう場合と、「毎日さん」「ロイター(通信)さん」などと媒体名を「さん」付けする場合がある。
 広報官に就任して2カ月半だが、記者の顔と名前をよく覚えている。アトランダムに指名しているように偽装しているが、事前に決まっていることがバレバレだ。
◎ 菅首相は記者の質問の時から、机に目を落として問答集(台本)を読んでいる。答える時も、ずっと下を向いて官僚が作った回答文を読み上げている。
 12人が質問したが、記者会メンバー10人の質問はすべて前取りされていた。官邸報道室と記者会の間で、「二の矢」「三の矢」の質問はしないという不当な取り決めがある。
◎ 記者たちはオフ懇談などで馴染みのLap Dog(愛玩犬)記者ばかりだから、菅氏は記者たちをなめ切っている。安倍前首相の会見と比べても、より閉鎖的で無味乾燥だ。海外では首脳の会見は、人民の知る権利を代表する記者たちとの真剣勝負の場だ。
◎ 菅氏の会見で、私がひどいと感じたことを挙げておきたい。
 吉村共同通信記者の「訪米、バイデン次期大統領との首脳会談の日程は」という問いに、菅氏は「先月、バイデン次期大統領との電話会談で、日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用など確認した」「訪米日程は調整する」と答えた。
◎ 本連載で前に書いたが、バイデン政権移行チームのHPによると、バイデン氏は電話協議(実質6分)で、「尖閣」という地名を言っていない
日本政府高官はジャパンタイムズ記者に「尖閣が適用対象というのは、日本側の理解だ」と述べ、バイデン氏が尖閣という地名を挙げていないことを認めている。
 キシャクラブメディアが「尖閣適用」のウソを報道しないから、菅氏は堂々とウソをついている
 ◆ 「(学術会議任命拒否で)反発あると思っていた」と笑って回答

◎ 京都新聞の国貞記者は「人文社会系の310の学協会が学術会議任命拒否の撤回を求める声明を出した。アカデミズムからの反発がこれほどまで広がると思っていたのか」と聞いた。
 菅氏は「内閣法制局の了解を経ているが、推薦どおり任命しなければならないというわけではない。学術会議そのものについて、これでいいのかと官房長官の時から考えてきた」と述べ、会員の選出方法を批判した。
 「縦割り、あるいは既得権益、悪しき前例主義を打破したい。学術会議もまた新しい方向に向かったほうがいいのではないかと判断した」
 こういった後、ニヤニヤして、「これで(反発が)大きくなるかどうかということだが、私はかなりなるのではないかなというふうには思っていた」と会見の中で初めて笑った。記者の方に目線を向けて、開き直ったのだ。ここは台本になかったようだ。
◎ 菅氏は「グループ・インタビュー」で、任命拒否の6人が入った推薦名簿は見ていないと断言。国会では、「6人のうち、加藤陽子先生(東大教授)以外は存じ上げない」と答弁している。こうした発言は大嘘だと分かった。
 菅氏は杉田和博内閣官房副長官(元神奈川県警本部長)らと6人の思想・活動歴を調べ、確信犯的に排除したことを自白した
◎ 菅氏は学問の自由に土足で踏み込む暴挙に対する学者からの抗議に、笑って答えた。この時、記者たちは、再質問して抗議すべきだった。
元参院議員の北沢俊美・元防衛相は5日の朝日新聞夕刊のインタビュー記事で、「政府が学者を調査していたとしたら、東条内閣の頃と同じだよ」と指摘しているが、まさに「特高顔」菅氏の怖さを思い知った。
 ※ 《事故情報編集部》より
  (補):「特高(とっこう)」
 特別高等警察(とくべつこうとうけいさつ)は、国事警察として発足した高等警察から分離し、国体護持のために無政府主義者、共産主義者、社会主義者、および国家の存在を否認するものを査察・内偵し、取り締まることを目的とした日本の秘密警察及び政治警察。 略称で「特高(とっこう)」とも呼称された。
   「ピクシブ百科事典」より
 詳しくはこちらを
https://dic.pixiv.net/a/%E7%89%B9%E9%AB%98 
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