2015年4月15日
東京都教育委員会教育長 中井敬三様
個人情報保護条例を活かす会(神奈川)
共同代表 外山喜久男 中森圭子
共同代表 外山喜久男 中森圭子
◎ 田中聡史さんに対し「処分」「服務事故再発防止研修」を行わないことを要請します
東京都教育委員会は今春行われた都立板橋特別支援学校の卒業式において、「君が代」斉唱時に不起立であった田中聡史さんに対し3月30日付けで減給処分、さらに、4月3日には服務事故再発防止研修を実施したと聞きます。また、異動後の都立石神井特別支援学校の入学式における田中さんの不起立に対しても、すでに事情聴取が行われたとのことです。これらについて抗議するとともに、処分撤回及び服務事故再発防止研修の中止を強く求めます。
毎年実施される卒業式と入学式の度に田中さんへの処分が繰り返されていますが、それでもなお彼が不起立を続けるのは、不起立がまさに彼の「思想・信条」に基づく行為であるからです。
最高裁判決でも、不起立行為は個々人の世界観、歴史観に基づく行為と判じています。これらの事情も承知の上で、不起立行為を罰し、それが依拠する世界観や歴史観の転向を強引に迫る都教委こそ、憲法19条違反に問われるべきではないでしょうか。
田中さんに対しては戒告3回、減給10分の1、1月の処分が5回もくり返されております。服務事故再発防止研修も昨年は半年で合計19回にも及んでいると聞きます。「思想・信条」に基づきただ不起立であったというその行為に対して、教育委員会が総掛かりで一人の教員を攻撃している姿はとてもまともな行政の姿とは思えません。
一人の例外も許さないという統制こそ、戦争を準備する今の安倍政権の方向性と符合するものがあります。いや、歴史的にはむしろ率先してその方向を都教委は牽引してきたともいえます。
旧三国同盟のうちドイツ、イタリアは当時の国旗を変更しました。日本では、かつての侵略戦争のシンボルである「日の丸・君が代」が変更されないどころか、教育の場においてその同じシンボルに敬意を持て、態度で示せと強制が進み、都教委のように、従えない教職員を大量に処分し、多くの裁判が争われる事態になっています。最近では都教委による自衛隊との接近が図られており、「日の丸・君が代」の生徒への強制も危惧されます。
学校は多様な価値観をもつ生徒や教職員で構成され、さらに保護者に見守られています。都教委のやるべきことは、ひとつの価値観を一人残らず徹底的に押しつけることではなく、多様な価値観を認めあえる社会を実現するにはどうすればよいのか腐心しつくすことです。
そのためには、田中さんの不起立という行為を思想信条に基づく行為としてきちんと受け入れ、これまでの処分を取り消し、謝罪するべきだと考えます。間違ってもこれ以上の処分や「転向」を迫る服務事故再発防止研修を実施することのないよう強く申し入れます。
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