《緊急特集JALの不当解雇を許すな『労働情報』》から
◇ 組合つぶしが目的の整理解雇
職場復帰で安全運航を確立する
昨年大晦日に日本航空が強行した165名(客室乗務貝84名、運航乗務員81名)の不当解雇の撤回を求めて、146名(客室乗務員72名、運航乗務員74名)が原告となり1月19日、東京地裁に提訴しました。
客室乗務貝の被解雇者の内、キャビンクルーユニオン(以下CCU)の組合員は71名で、53歳以上のベテランが57名、14名は病気休業等による人選基準案で対象とされた乗務員です。1名は原告になれませんでしたが、労使協調路線のJAL労働組合(以下JALFIO)所属で被解雇者となった中から2名が原告に加わり、72名が地位確認と全員の職場復帰を求めて提訴しました。
原告に加わった2名は、「12月31日の解雇によって組合員でなくなった」とJALFIO執行部から告げられ、裁判で闘う決意をする中で、CCU組合員となり原告に加わりました。
昨年6月7日に、会社より発表された更生計画による客室乗務員の削減目標数は573名となっていました。
その削減方法として希望退職の募集が行われ、当初は一次(9月19日~24日)と二次(10月1日~10月22日)の2回の計画でした。客室乗務員の募集対象者は、管理職が55歳以上、一般職が45歳以上(国際線先任資格保有者は52歳以上)とされ、年齢制限が設けられていました。
一般職を45歳以上とした会社説明は、「若返りをはかり筋肉質の体制にしたい」という露骨な年齢差別の考えを示していました。昨年5月末を退職日とした特別早期退職措置では、管理職も含め35歳以上が募集対象者で、応募者数は約1千370名となっています。
この募集で退職しなかった客室乗務員は、その後も出来る限り乗務する選択をした人たちです。なかでも高経験者は定年まで続けるという気持ちをもっていました。そういう状況は会社自身も把握していた事です。しかし、敢えて9月の希望退職の年齢を絞り込んだ会社の狙いは、高経験者が多いCCU組合員を狙い撃ちにしていたからです。一次募集で573名の目標が達成できない事は、当然の結果で、応募者は193名に止まりました。
そこで、会社は二次募集を開始する前段でとった策は、整理解雇を行わなければならない状況にあるという発表と、各労働組合に提示した整理解雇の人選基準案(9月27日)でした。加えて、573名の目標達成も困難な中で、客室乗務員のみ削減目標数を更に90名も上積みし、頭数で662名(一桁の数字は国会質疑を経て共産党穀田議員から資料の提出を求められ会社が示した数字)とし、稼働数という新たな概念の目標数として606人という数字を持ち出しました。
この稼働数は会社しか知り得ないカウント方法による欺瞞的手法でした。例えば、休職者や深夜免除措置をとっている乗務員は頭数に入れずゼロで、路線や時間の乗務制限をしている乗務員は0.5としかカウントしないという数値設定でした。
それでも12月9日まで継続された希望退職で762名(頭数)が応募しました。しかし、稼働数ではまだ60.5人が未達とされ、108名が整理解雇の通告を宣告されました。
整理解雇の人選基準案は①病気休業等による基準、②人事考課による基準、③年齢による基準、によって解雇するという案ですが、①の対象者は幾ら希望退職に応募してもほとんどがゼロカウントとなり、目標数を達成するための整理解雇者は、結局③の年齢による基準の対象者になっていくという仕組みです。年齢は高い者からとされていたため、CCU組合員がターゲットになるという基準でした。
整理解雇対象とされた53歳以上のCCU組合員には、現役執行委員や組合役員経験者が多く含まれています。整理解雇でCCU組合員を減少させると同時に役員経験者を一掃し、CCUの組合破壊と弱体化を謀る事が人員削減の大きな目的となっていたのです。
多くの原告が30年以上に亘って乗務してきました。過去の悲惨な事故や史上最悪の犠牲者が出た御巣鷹山事故を経験してきたベテラン乗務員は、事故の歴史を共有し、励まし合い、後輩に伝え、JALの安全巡航を支えてきました。航空会社の社会的使命が安全運航の確立であることを身をもって体験してきた乗務員です。更生会社となっても、依然変わらない分裂労務政策でこうしたベテラン乗務員を切り捨てたのです。
職場に残った乗務員は将来に不安を抱えています、また、自由に物が言えない状況に置かれています。私たち原告が一日も早く職場復帰を果たさなければ、悪化した職場環境が更に深刻化していく状況です。
不当解雇撤回の闘いは、安全運航を確立する闘いであり、利用者、国民が期待する真の再建を果たす闘いです。原告72名の客室乗務員は、74名の運航乗務員と共に不当解雇撤回まで闘い抜く決意です。
『労働情報』808号(2011/2/1)
◇ 組合つぶしが目的の整理解雇
職場復帰で安全運航を確立する
内田妙子●キャビンクルーユニオン委員長
昨年大晦日に日本航空が強行した165名(客室乗務貝84名、運航乗務員81名)の不当解雇の撤回を求めて、146名(客室乗務員72名、運航乗務員74名)が原告となり1月19日、東京地裁に提訴しました。
客室乗務貝の被解雇者の内、キャビンクルーユニオン(以下CCU)の組合員は71名で、53歳以上のベテランが57名、14名は病気休業等による人選基準案で対象とされた乗務員です。1名は原告になれませんでしたが、労使協調路線のJAL労働組合(以下JALFIO)所属で被解雇者となった中から2名が原告に加わり、72名が地位確認と全員の職場復帰を求めて提訴しました。
原告に加わった2名は、「12月31日の解雇によって組合員でなくなった」とJALFIO執行部から告げられ、裁判で闘う決意をする中で、CCU組合員となり原告に加わりました。
昨年6月7日に、会社より発表された更生計画による客室乗務員の削減目標数は573名となっていました。
その削減方法として希望退職の募集が行われ、当初は一次(9月19日~24日)と二次(10月1日~10月22日)の2回の計画でした。客室乗務員の募集対象者は、管理職が55歳以上、一般職が45歳以上(国際線先任資格保有者は52歳以上)とされ、年齢制限が設けられていました。
一般職を45歳以上とした会社説明は、「若返りをはかり筋肉質の体制にしたい」という露骨な年齢差別の考えを示していました。昨年5月末を退職日とした特別早期退職措置では、管理職も含め35歳以上が募集対象者で、応募者数は約1千370名となっています。
この募集で退職しなかった客室乗務員は、その後も出来る限り乗務する選択をした人たちです。なかでも高経験者は定年まで続けるという気持ちをもっていました。そういう状況は会社自身も把握していた事です。しかし、敢えて9月の希望退職の年齢を絞り込んだ会社の狙いは、高経験者が多いCCU組合員を狙い撃ちにしていたからです。一次募集で573名の目標が達成できない事は、当然の結果で、応募者は193名に止まりました。
そこで、会社は二次募集を開始する前段でとった策は、整理解雇を行わなければならない状況にあるという発表と、各労働組合に提示した整理解雇の人選基準案(9月27日)でした。加えて、573名の目標達成も困難な中で、客室乗務員のみ削減目標数を更に90名も上積みし、頭数で662名(一桁の数字は国会質疑を経て共産党穀田議員から資料の提出を求められ会社が示した数字)とし、稼働数という新たな概念の目標数として606人という数字を持ち出しました。
この稼働数は会社しか知り得ないカウント方法による欺瞞的手法でした。例えば、休職者や深夜免除措置をとっている乗務員は頭数に入れずゼロで、路線や時間の乗務制限をしている乗務員は0.5としかカウントしないという数値設定でした。
それでも12月9日まで継続された希望退職で762名(頭数)が応募しました。しかし、稼働数ではまだ60.5人が未達とされ、108名が整理解雇の通告を宣告されました。
整理解雇の人選基準案は①病気休業等による基準、②人事考課による基準、③年齢による基準、によって解雇するという案ですが、①の対象者は幾ら希望退職に応募してもほとんどがゼロカウントとなり、目標数を達成するための整理解雇者は、結局③の年齢による基準の対象者になっていくという仕組みです。年齢は高い者からとされていたため、CCU組合員がターゲットになるという基準でした。
整理解雇対象とされた53歳以上のCCU組合員には、現役執行委員や組合役員経験者が多く含まれています。整理解雇でCCU組合員を減少させると同時に役員経験者を一掃し、CCUの組合破壊と弱体化を謀る事が人員削減の大きな目的となっていたのです。
多くの原告が30年以上に亘って乗務してきました。過去の悲惨な事故や史上最悪の犠牲者が出た御巣鷹山事故を経験してきたベテラン乗務員は、事故の歴史を共有し、励まし合い、後輩に伝え、JALの安全巡航を支えてきました。航空会社の社会的使命が安全運航の確立であることを身をもって体験してきた乗務員です。更生会社となっても、依然変わらない分裂労務政策でこうしたベテラン乗務員を切り捨てたのです。
職場に残った乗務員は将来に不安を抱えています、また、自由に物が言えない状況に置かれています。私たち原告が一日も早く職場復帰を果たさなければ、悪化した職場環境が更に深刻化していく状況です。
不当解雇撤回の闘いは、安全運航を確立する闘いであり、利用者、国民が期待する真の再建を果たす闘いです。原告72名の客室乗務員は、74名の運航乗務員と共に不当解雇撤回まで闘い抜く決意です。
『労働情報』808号(2011/2/1)
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