《東京新聞【本音のコラム】から》
◆ 内閣の新手ロ
たまたま国会中継を眺めていた。
自民党政調会長の稲田朋美さん、憲法九条二項について、「現実に合わなくなっている。立憲主義の空洞化だ」と質問した。
安倍さん、得たり賢しとばかり「そういう状況をなくすべきだ、という考え方もある」と婉曲な間接話法。
三日朝、衆院予算委員会の初っぱな。「いきなり本丸にきた」とわたしは驚いた。
東京新聞は夕刊一面四段、翌朝刊一面トップなどで扱った。
首相の九条改憲表明は歴史的大事件のはずだが、どうしたことか、他紙は地味な扱いだった。
安倍内閣の初期は、九六条の改正手続きの垣根を低くする迂回作戦だった。
が麻生太郎財務相の「ナチスの手口に学んだらどうかね」のひと声で変わった。
平和憲法に「緊急事態条項」を加憲して、「何人も国その他公の機関の指示に従わなければならない」などと、ドサクサに紛れて基本的人権を制限するからめ手から改憲を目指した。
と、思いきや今回は一気に攻める正面突破作戦。
自衛隊を違憲というなら、その条文を切って捨てろ、まるで鏡に写った顔が気に食わない、と鏡を壊す暴君ぷりだ。
九条があるから戦争をしないのではない。
殺し合いは人間の道に反するから、私たちは戦争はやめようと決意したのだ。
殺し合いをするために憲法を変えるのは、人権主義に反する、あべこべなのだ。
『東京新聞』(2016/2/9【本音のコラム】)
◆ 内閣の新手ロ
鎌田 慧(ルポライター)
たまたま国会中継を眺めていた。
自民党政調会長の稲田朋美さん、憲法九条二項について、「現実に合わなくなっている。立憲主義の空洞化だ」と質問した。
安倍さん、得たり賢しとばかり「そういう状況をなくすべきだ、という考え方もある」と婉曲な間接話法。
三日朝、衆院予算委員会の初っぱな。「いきなり本丸にきた」とわたしは驚いた。
東京新聞は夕刊一面四段、翌朝刊一面トップなどで扱った。
首相の九条改憲表明は歴史的大事件のはずだが、どうしたことか、他紙は地味な扱いだった。
安倍内閣の初期は、九六条の改正手続きの垣根を低くする迂回作戦だった。
が麻生太郎財務相の「ナチスの手口に学んだらどうかね」のひと声で変わった。
平和憲法に「緊急事態条項」を加憲して、「何人も国その他公の機関の指示に従わなければならない」などと、ドサクサに紛れて基本的人権を制限するからめ手から改憲を目指した。
と、思いきや今回は一気に攻める正面突破作戦。
自衛隊を違憲というなら、その条文を切って捨てろ、まるで鏡に写った顔が気に食わない、と鏡を壊す暴君ぷりだ。
九条があるから戦争をしないのではない。
殺し合いは人間の道に反するから、私たちは戦争はやめようと決意したのだ。
殺し合いをするために憲法を変えるのは、人権主義に反する、あべこべなのだ。
『東京新聞』(2016/2/9【本音のコラム】)
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