《(千葉高教組)ひのきみ通信から》
★ 2022年度末の千葉県立高校の卒業式の状況
千葉高教組「日の丸・君が代」対策委員 石井 泉(天羽高校分会)
昨年の流行語の一つが夏の甲子園優勝校の仙台育英野球部監督のインタビュー「青春って、すごく密なので」だったように、今年3月の卒業生は、新型コロナウイルス感染症に翻弄された高校3年間を過ごした。
私の高校でも、1・2年次は文化祭などの学校行事は全て中止、昼休みの自席黙食も義務づけられた。昨年も、年初めの第6波・夏の第7波・年末の第8波と感染拡大が繰り返し、「最後の一年もまた我慢の高校生活か」と心配した。
しかし、3年次は短時間など制限された形ではあるが、体育祭・文化祭などの学校行事や延期していた沖縄修学旅行も何とか実施できてホッとしていた。そんな特別な高校3年間を過ごした生徒たちの最後の締めくくりが、2023年3月の卒業式だった。
今回は2020年2/28の当時の安倍首相による全国一斉休校要請から4回目の卒業式だったが、いずれの年も東京や大阪のような教育委員会による「国歌斉唱」或いは「国歌清聴」などの通知は、千葉においては出ることがなく、「君が代」を含む式歌の実施や方法は各学校の判断に任された。
組合による「君が代」の実施状況調査は一部の学校しかできず、参考資料にしかならないが、結果は次の通りである。
調査高校数 「君が代」実施状況
2020年卒業式 29校 斉唱4校、ピアノ演奏5校、CD演奏13校、なし7校
2021年 〃 調査未実施 ほとんどがCDかピアノ演奏、なしの学校もあり
2022年 〃 15校 斉唱1校、ピアノ演奏3校、CD演奏11校
2023年 〃 24校 斉唱5校、独唱1校、ピアノCD演奏17校、なし1校
2023年の調査によると、在校生の参加については、「なし」10校・「2年のみ」3校・「1・2年」11校と分かれた。
保護者の参加については、「人数制限なし」11校・「人数制限あり」12校・「不明」1校で参加させない学校はなかった。
また、マスクについては、文科省や県教委が「生徒・教職員は式全体で外すことを基本とする」「マスクの着脱は無理強いしない」「来賓や保護者には着用を求める」と通知したため、実際には各学校で様々な卒業式風景となった。
教職員が全員はずした学校、教職員と生徒がほぼ全員着用した学校、式歌斉唱の時は着用させた学校などがあり、全体的に式でマスクしない生徒は少なく、ほとんどの生徒が着用したままという学校が多かった。
今年5/8には新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられ、感染対策も緩和された。それに伴い、学校生活も制限なしの形に戻す動きが加速している。
しかし、卒業式については「国歌斉唱」が復活するのか?さっそく気になる新聞記事を目にした。
「君が代暗記市教委調査 大阪吹田全小中学校対象に」(6/15朝日新聞)。
市教委が、市議会で自民党市議から暗記状況を聞く質問があったため、各校に学年毎に暗記している人数の回答を求め、集計して割合を市議に伝えたという。
担任が子どもに挙手させたり、音楽担当教諭に大まかな数字を聞き取りして全54校が回答していた。
「日の丸」や「君が代」の歌詞を教えることには私も大賛成である。ただし、もちろん意味や歴史、特に天皇崇拝や軍国主義の確立・侵略戦争の推進に利用された負の歴史を教えることが不可欠・大前提である。
それを教えず負の歴史を隠し、「ただ暗記して歌え」は「天皇陛下万歳」の戦前と同じである。
「日の丸・君が代」の本当の意味や歴史を、一人でも多くの生徒に知ってもらいたいと思う。そして、「思想良心の自由」の問題についても学ぶ必要があるだろう。
その上で、国旗や国歌としてふさわしいか、卒業式での掲揚や斉唱がふさわしいかを生徒自身に考えてもらい、自分が起立して歌うかどうかを決めてもらいたい。
『(千葉高教組)ひのきみ通信 第238号』(2023年7月1日)
http://hinokimitcb.web.fc2.com/html/23/238.htm#%E5%8D%83%E8%91%89
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