=自由権規約委員会第7回日本審査『総括所見』=
◆ 「思想、良心、信教の自由および表現の自由」
(東京・教育の自由裁判をすすめる会 国際人権プロジェクトチーム 仮訳)
※ 『総括所見』(「C.主な懸念事項及び勧告」パラ4~パラ45)は、日本政府報告に対する委員会の「見解」と、日本政府に対する委員会の「勧告」とが、ペアになっています。
36(委員会の見解)
当委員会は、思想・良心・信教の自由および表現の自由の権利の制約につながる恐れのある「公共の福祉」に関する曖昧で無限定な定義についてのこれまでの懸念を繰り返す。
また、特定秘密保護法において、機密扱いとされる事柄および機密扱いの一般的な前提条件について広義の定義がなされていることを懸念する。
当委員会は今日まで放送権が停止された事例はないという締約国からの情報に留意するが、特定秘密保護法に規定されている重い刑事罰、放送法および電波法によって国に与えられている放送局の操業を停止できる広範囲な権限は、ジャーナリストや人権擁護者の活動に委縮効果をもたらし、自己検閲へつながると懸念する。(18,19条)
37(委員会の勧告)
前回までの勧告を思い起こし、当委員会は締約国に以下のことをするためにあらゆる必要な措置をとるよう求める:
(a)「公共の福祉」の概念を明確に定義し、「公共の福祉」を理由とした思想・良心・信教の自由および表現の自由のいかなる制約も規約で許容されている制約と一致するものとすること。
(b)特定秘密保護法およびその運用が規約第19条の厳しい条件に合致し、とりわけ機密と規定される情報の範囲が厳密に定義され、情報を収集、受理、伝達する権利に対するいかなる制限も、合法性原則、比例性原則、および国の安全にとっての具体的で確認可能な脅威を防ぐための必要性原則に合致し、また国家の安全を脅かさない正当な公共の利益に関する情報を伝えることに対していかなる個人も罰せられることがないことを保証すること。
(c)メディアにおける意見の多様性を促進し、メディアおよびメディア関係者が国家の過度な干渉を受けることなく、自由に活動できることを保証すること。
(d)放送機関および許認可機関の独立が保証されるよう、必要なあらゆる措置を講じること。
(e)独立のジャーナリストやメディア関係者をいかなる脅迫からも効果的に保護することを保証し、公共の利益に関する批判的な報道を抑圧する道具として、過激思想条項や他の規制を含む民法および刑法の条項を用いることを控えること。
38(委員会の見解)
当委員会は締約国における思想良心の自由の制約に関するレポートに懸念を持って留意する。当委員会は学校の儀式において国旗にむかって起立し国歌を斉唱することに対する静かで破壊的でない不服従の結果、教師が最高6ヶ月の停職を含む処分を受けたことを懸念する。
更に儀式において生徒に起立を強制するために物理的な力が用いられたという申し立てに対しても懸念を抱く。(18条)
39(委員会の勧告)
締約国は思想良心の自由の実質的な行使を保障し、規約18条で許容された制約の厳密な解釈を越えてその自由を制約するいかなる措置をも控えるべきである。
締約国は自国の法律とその運用を規約第18条に適合させるべきである。
※パラグラフ38に言う「締約国における思想良心の自由の制約に関するレポート」とは、次の諸レポートを指すものと考えて良いと思います。
○ List of Issues パラ23(公共の福祉)へのNGO(すすめる会)レポート
○ List of Issues パラ26(10・23通達)へのNGO(すすめる会)レポート
○ 大阪ネット「大阪における公立学校での国旗国歌賛美の強制」
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