パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ ヒューマニティに欠けるわが国の外国人労働者政策

2023年05月11日 | 格差社会

  =沈思実行(146) 週刊新社会=
 ☆ 「技能実習生」の暗闇

鎌田 慧

 外国人労働者の永住者を拡大する、との方針を政府が発表した。
 外国人労働者は今年2月末現在、14万6千人いる。在留期間は最長5年、家族帯同はできない、いわば出稼ぎ労働者である。
 これは飲食料品製造、農業、介護など12分野ではたらく「1号」労働者といわれるひとたちだ。

 在留期間の制限がない「熟練した技能が必要」、現場統括などができる「2号」労働者は、建設と造船現場だ。たった10人、という差別的な政策だった。
 永住させると「事実上の移民」になる、とのおっかなびっくりの自民党なのだ。ところが、労働力不足が激しくなって、これから製造業やビルクリーニング、宿泊、農漁業などへ、資格の制限を緩めようとしている。

 そこで思いだされるのは、かつて労働者派遣法を制定して、身分不安定な派遣労働者を導入したとき。
 はじめは「専門職」などと制限していたが、その後工場労働者へ拡げた歴史がある。
 それが現在の非正規労働者が全労働者の4割を占める、半失業者の大群をつくりだした。

 それでいて、いま、「労働力確保」掲げ、低賃金の外国人労働者を拡大しようとしている。
 将来、人口が減って労働力不足となるが、それは結婚できない非正規労働者が大量に発生しているからだ

 外国人の永住を拡大させると言いながら、「入管法」を改悪する。
 難民保護の思想がない。「不法残留」として、「送還忌避者」の難民申請を受け付けず、強制送還を可能にする法改正を図っている。
 このように、ヒューマニティに欠ける、ご都合主義、利用主義政治が罷り通っている。
 外国人労働者への視線は、「大日本帝国主義」時代のままだ。

 これまでも労働者がたりないと、ブラジルから「戸籍謄本」持参の日系人を呼びよせ、不況になったら一斉に帰国させている。
 労動力は欲しい。が、永住されては困る。
 日本人より安い労働者をすこしだけ永住させる、といっても、やがて日本は世界の低賃金国となって、見向きもされなくなる。相手のことを考えない利用主義は、罰当りだ。

『週刊新社会』(2023年5月10日)

 


コメント    この記事についてブログを書く
« ☆ 人権後進国ニッポンの赤裸... | トップ | ★ 中年世代が驚く最近の歴史... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

格差社会」カテゴリの最新記事