パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

東京「君が代」裁判第3次訴訟・控訴審一部勝訴判決・原告団弁護団声明

2015年12月05日 | 日の丸・君が代関連ニュース
◎ 声 明

 1 本日、東京高等裁判所第21民事部(中西茂裁判長)は、都立学校の教職員50名(以下、「原告ら教職員」という)が「日の丸・君が代」強制にかかわる懲戒処分(戒告25件、減給29件、停職2件)の取消しを求めていた事件について、東京都教育委員会(以下、「都教委」という)の控訴にかかる原告ら教職員5名に対する原審における「減給、停職処分の取消」を維持して都教委の控訴を棄却したものの、他方で戒告処分については裁量権の逸脱・濫用には当たらないとして原審を維持し、原告ら教職員の請求を棄却する判決を言い渡した。
 原告ら教職員は、各校長による卒業式等の国歌斉唱時に起立斉唱あるいはピアノ伴奏を命じる職務命令に従わなかったとして懲戒処分を受けたものであるところ、原審の東京地裁民事第11部2015年1月16日判決(佐々木宗啓裁判長)は、これらの懲戒処分のうち、減給及び停職処分については裁量権の逸脱・濫用に当たり違法であるとして、これを取消す原告ら教職員一部勝訴の判決を言い渡していたが、本判決は、この原審の判断を基本的に維持したものである。
 2 都教委は、2003年10月23日通達(以下、「10・23通達」という)及びこれに基づく職務命令により、卒業式等における国旗掲揚・国歌起立斉唱を教職員に義務付け、命令に従えない教職員に対し、1回目は戒告、2、3回目は減給(1~6ヶ月)、4回目以降は停職(1~6ヶ月)と、回を重ねるごとに累積加重する懲戒処分を繰り返す「国旗・国歌の起立斉唱の強制」システムを実施してきた。
 2012年1月16日、最高裁判所第一小法廷は、これらの懲戒処分のうち、「戒告」は裁量権の逸脱・濫用とまではいえないものの、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては、本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要となる」とし、実際に下された「減給」及び「停職」処分は相当性がなく、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱・濫用しており違法であるとした。
 3 原審判決は、この最高裁第一小法廷判決の内容に従い、減給以上の処分を取消したものであるところ、都教委は減給以上の処分の取消された26名のうち5名についてのみ控訴していたが、本判決は、「減給以上の処分の相当性を基礎づける具体的な事情は認められない」として、都教委の控訴を棄却した。
 原告ら教職員の受けた処分の半数近くを占める「戒告」が裁量権の逸脱・濫用にならないとしたことは遺憾であるが、最高裁そして原審判決に引き続き、減給以上の処分を違法としたことは一定の評価ができるものの、「同様の非違行為を行った場合には、その非違性の程度は、後者の方が重いことは明らかであるから、定型的に処分を加重するという基本方針自体は不合理とはいえない」と判示し、都教委の過重な処分体制を諫めるものとはなっていない。
 更に本判決は、戒告処分は裁量権の逸脱・濫用に当たらないとしたが、2006年度の規則改訂により、2006年以降に戒告処分を受けた原告教職員らは、それ以前に減給処分を受けた場合以上の金銭的な損害を受けているのであり、その実質的な検討をしないまま、形式的に2012年最高裁判決に従った判断を下したことは真に遺憾である。
 4 本判決は、10・23通達・職務命令・懲戒処分が、憲法19条、20条、23条、26条違反及び改定前教育基本法10条(不当な支配の禁止)に該当し違憲違法であるという原告ら教職員の主張については、従前の判決を維持し、これを認めなかった。
 また、不起立行為が軽微な非違行為とはいえず、本件処分時点で減給以上の処分を選択することが裁量権の範囲を超えるものとの見解が一般的であったとはいえないなどとして国家賠償請求も棄却した。
 これらは事案の本質を見誤るものであり、きわめて遺憾というほかはない。

 5 都教委は、この司法判断を踏まえて「国旗・国歌強制システム」を見直し、教職員に下した全ての懲戒処分を撤回するとともに、将来にわたって一切の「国旗・国歌」に関する職務命令による懲戒処分及びそれを理由とした服務事故再発防止研修を直ちにやめるべきである
 都教委は2013年12月に、最高裁が裁量権の逸脱・濫用として減給処分を取消した7名の現職教職員(本訴原告2名を含む)に対し改めて戒告の再処分を行い、次いで2015年3月末から4月にかけて、原審判決によって減給処分の取消しが確定した原告ら教職員26名のうち現職の教職員9名に対し再処分を行ったが、これらは最高裁の苦言を無視した暴挙というべきであり、到底許されるものではない。
 都教委は直ちに10・23通達を撤回して職務命令の発出をやめ、教育現場での「国旗・国歌」の強制と、「国旗・国歌」強制に象徴される教職員に対する管理統制をあらためるべきである。
 わたしたちは、今後も「国旗・国歌」の強制を許さず、学校現場での思想統制や教育支配を撤廃させて、児童・生徒のために真に自由闊達で自主的な教育を取り戻すための取組を続ける決意であることを改めてここに宣言する。
 2015年12月4日
東京「日の丸・君が代」処分取消訴訟(三次訴訟)原告団・弁護団

コメント    この記事についてブログを書く
« 政治家の暴言2015 | トップ | 「君が代」第3次訴訟・控訴... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日の丸・君が代関連ニュース」カテゴリの最新記事