◆ 大企業の経常利益は過去最高、労働分配率は大幅低下
大企業ばかり潤わすアベノミクス転換し経済の好循環へ (井上伸 - 個人 - Yahoo!ニュース)
安倍首相が解散を表明した11月18日の記者会見で、「企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく、そして景気が回復していくという経済の好循環がまさに生まれようとしています」と言っていますが、現実のデータを見ると、正しいのは「企業の収益が増え」たということだけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/46/a6ea6d767481e930e791ea085821be3c.jpg)
上のグラフは、資本金10億円以上の大企業の経常利益と労働分配率の推移を分かりやすくするために私が作成したものです。元データは、財務省の「法人企業統計」からで、労働分配率は「労働者がつくった付加価値の中に占める人件費の割合」のことで計算式は次のようになります。
※ 労働分配率=人件費/付加価値×100。
※ 人件費=従業員給与・賞与+福利厚生費。
※ 付加価値=営業純益+人件費+役員給与・賞与+支払利息等+動産・不動産賃貸料+租税公課。
上のグラフを見て分かる通り、2009年度の大企業の経常利益17.8兆円から2013年度の34.8兆円へ1.9倍とほぼ2倍に増えているのに、労働分配率は同63.8%から55.1%へと8.7ポイントも低下しています。(※ちなみに資本金10億円未満の企業の労働分配率は同64.4%から62.6%へと1.8ポイント低下しています)
それから、安倍首相は「この春、平均2%以上給料がアップしました。過去15年間で最高です」とも記者会見で述べていますが、本当でしょうか? この点について、『しんぶん赤旗』は次のように指摘しています。
政府統計すら無視したごまかしです。例えば、「この春、平均2%以上給料がアップした。過去15年で最高です」―厚労省がまとめた今春闘の妥結結果ですが、集計したのは314社。全国413万社のうち0・008%にすぎません。しかも、314社とは、資本金10億円以上、従業員1000人以上、労働組合があって妥結額を把握できた企業です。実際は、「アベノミクス」による物価上昇によって実質賃金が15カ月連続で減少しています。(厚労省の毎月勤労統計)
出典:『しんぶん赤旗』11月20日付「首相会見のごまかし 検証」
また、「東京新聞」も11月18日の社説「GDPマイナス アベノミクスの失敗だ」の中で、次のように指摘しています。
アベノミクスは企業や富裕層を富ませる一方で、その滴は下層に浸透せず、トリクルダウンは幻想だった。
企業の経常利益はこのところ、右肩上がりで増える一方、雇用者の平均年収や正規雇用者数は逆に右肩下がりで減り続けている。
裏返せば、人件費コストを減らすことによって企業ばかりが潤ってきたのである。
(中略)消費活動を支えるのは本来、中間層である。だが、アベノミクスは格差を広げ、中間層を先細りさせる。GDPの過半を占める個人消費が伸びないのは当然の帰結である。行き詰まりを見せるアベノミクスは転換すべきだ。内部留保を積み増すよりも給与や一時金に回させる。法人税減税よりも所得税減税を実行する。そんな家計に直結する支援こそが成長戦略になる。
出典:『東京新聞』11月18日付社説「GDPマイナス アベノミクスの失敗だ」
「東京新聞」も指摘しているように「内部留保を積み増すよりも給与や一時金に回させる。法人税減税よりも所得税減税を実行する」ことが必要です。
2013年度の企業の内部留保は、509.2兆円にも上り、1998年度から300兆円近くも増加していて、1年あたりにすると20兆円近く増え続けています。
労働者の賃金(平均給与・賞与)の過去のピークは、1997年度390.9万円ですが、2013年度には361.2万円と29.7万円も減少しています。
このピーク時へ賃金を戻すためには、29.7万円の大幅賃上げが必要になりますが、これに必要な財源は1.19兆円で、内部留保509.2兆円のわずか2.3%に過ぎないのです。
今回の解散総選挙は、企業ばかりを潤わすアベノミクスを転換させ、本当の意味での「経済の好循環」をつくる選挙にする必要があると思います。
『官製ワーキングプアなくし、誰もが幸せになる行財政へ 井上伸 - 個人 - Yahoo!ニュース』(2014年11月23日)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20141123-00040935/
大企業ばかり潤わすアベノミクス転換し経済の好循環へ (井上伸 - 個人 - Yahoo!ニュース)
安倍首相が解散を表明した11月18日の記者会見で、「企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく、そして景気が回復していくという経済の好循環がまさに生まれようとしています」と言っていますが、現実のデータを見ると、正しいのは「企業の収益が増え」たということだけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/46/a6ea6d767481e930e791ea085821be3c.jpg)
上のグラフは、資本金10億円以上の大企業の経常利益と労働分配率の推移を分かりやすくするために私が作成したものです。元データは、財務省の「法人企業統計」からで、労働分配率は「労働者がつくった付加価値の中に占める人件費の割合」のことで計算式は次のようになります。
※ 労働分配率=人件費/付加価値×100。
※ 人件費=従業員給与・賞与+福利厚生費。
※ 付加価値=営業純益+人件費+役員給与・賞与+支払利息等+動産・不動産賃貸料+租税公課。
上のグラフを見て分かる通り、2009年度の大企業の経常利益17.8兆円から2013年度の34.8兆円へ1.9倍とほぼ2倍に増えているのに、労働分配率は同63.8%から55.1%へと8.7ポイントも低下しています。(※ちなみに資本金10億円未満の企業の労働分配率は同64.4%から62.6%へと1.8ポイント低下しています)
それから、安倍首相は「この春、平均2%以上給料がアップしました。過去15年間で最高です」とも記者会見で述べていますが、本当でしょうか? この点について、『しんぶん赤旗』は次のように指摘しています。
政府統計すら無視したごまかしです。例えば、「この春、平均2%以上給料がアップした。過去15年で最高です」―厚労省がまとめた今春闘の妥結結果ですが、集計したのは314社。全国413万社のうち0・008%にすぎません。しかも、314社とは、資本金10億円以上、従業員1000人以上、労働組合があって妥結額を把握できた企業です。実際は、「アベノミクス」による物価上昇によって実質賃金が15カ月連続で減少しています。(厚労省の毎月勤労統計)
出典:『しんぶん赤旗』11月20日付「首相会見のごまかし 検証」
また、「東京新聞」も11月18日の社説「GDPマイナス アベノミクスの失敗だ」の中で、次のように指摘しています。
アベノミクスは企業や富裕層を富ませる一方で、その滴は下層に浸透せず、トリクルダウンは幻想だった。
企業の経常利益はこのところ、右肩上がりで増える一方、雇用者の平均年収や正規雇用者数は逆に右肩下がりで減り続けている。
裏返せば、人件費コストを減らすことによって企業ばかりが潤ってきたのである。
(中略)消費活動を支えるのは本来、中間層である。だが、アベノミクスは格差を広げ、中間層を先細りさせる。GDPの過半を占める個人消費が伸びないのは当然の帰結である。行き詰まりを見せるアベノミクスは転換すべきだ。内部留保を積み増すよりも給与や一時金に回させる。法人税減税よりも所得税減税を実行する。そんな家計に直結する支援こそが成長戦略になる。
出典:『東京新聞』11月18日付社説「GDPマイナス アベノミクスの失敗だ」
「東京新聞」も指摘しているように「内部留保を積み増すよりも給与や一時金に回させる。法人税減税よりも所得税減税を実行する」ことが必要です。
2013年度の企業の内部留保は、509.2兆円にも上り、1998年度から300兆円近くも増加していて、1年あたりにすると20兆円近く増え続けています。
労働者の賃金(平均給与・賞与)の過去のピークは、1997年度390.9万円ですが、2013年度には361.2万円と29.7万円も減少しています。
このピーク時へ賃金を戻すためには、29.7万円の大幅賃上げが必要になりますが、これに必要な財源は1.19兆円で、内部留保509.2兆円のわずか2.3%に過ぎないのです。
今回の解散総選挙は、企業ばかりを潤わすアベノミクスを転換させ、本当の意味での「経済の好循環」をつくる選挙にする必要があると思います。
『官製ワーキングプアなくし、誰もが幸せになる行財政へ 井上伸 - 個人 - Yahoo!ニュース』(2014年11月23日)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20141123-00040935/
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