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「もの言える自由」裁判 不当判決

2008年03月29日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ♪ 「もの言える自由」裁判 ♪不当判決

声 明 文

2008年3月27日
平成18年(ワ)第3833号
弁護団

 本日、東京地方裁判所は、東京都立高校の教諭である原告が、前任校の卒業式に来賓として招かれ出席し、来賓紹介の際に述べた祝辞に対し、都教委が調査を行い「不適切な発言である」と指導決定を行ったこと等が違憲・違法であるとして、国家賠償法に基づく損害賠償請求(慰謝料請求)を求めた裁判に対して、原告の請求を棄却する判決をしました。

 本件は、卒業式・入学式に対する都教委の制約が強まる中で、週休日に来賓として出席して行った発言に対して、都教委が理由となるべき理由も示さずに指導決定という措置を行ったという重大な憲法上の権利侵害がなされた事案です。
 もともと、原告は、来賓として招待を受け、かつて学校生活を共に過ごした思い出深い生徒たちの卒業を心から祝福したいと思い、週休日でもあったことから、卒業式に出席し、卒業していく生徒達に餞、励ましになるような言葉を一言添えたいという気持ちで、「おめでとうございます。色々な強制のもとであっても、自分で判断し、行動できる力を磨いていってください。」という祝辞を述べたにすぎません。
 原告が述べた祝辞は、来賓紹介という場面にふさわしい短いものであり、式の進行も何ら妨げていません。かつ、その内容も、同高校の「教育目標」にも掲げられている「自主・自律」の精神に即して、社会に出る生徒達が、社会に出てから色々な強制を受ける場面があっても、同高校で培った、自分で判断し行動できる力を磨いていってほしいという、卒業式の餞にふさわしい内容のものでした。

 しかし、都教委は、この祝辞を「不適切な発言」「教員公務員としてふさわしくない」として、指導決定を行った上、本件訴訟においても、不適切とする理由については、ただ「意味不明」「祝意ととれない」などとし、それ以上理由を明らかにしようとはしませんでした。
 このように、餞として述べた祝辞を、理由なく「不適切」と決めつけられ、調査・指導の対象とされ、さらに公表されたことは、原告に不名誉なレッテルを貼り、自らの人間性そのものを踏みにじられたに等しい精神的苦痛を与えるものであって、およそ私人として行う行動が、都教委によりすべからく監視の対象となり、理由もなく制約されることに対する強い恐怖心を感じさせるものです。

 都教委が報告・調査・指導の対象とした一連の行為は、原告の言論・表現の自由(憲法21条)及び思想・良心の自由(憲法19条)、私的領域に干渉されず自律的に自ら決定する権利、名誉権(憲法13条)を侵害し、また、原告の勤務関係上の権利ないし法的利益を侵害するものです。
 このような措置が許されるとすれば、今後も、都教委は、独自に恣意的に「不適切」と判断すれば指導等の制約をなしうることになり、教育公務員が、私的な場面で発言をすること自体に対して、著しい萎縮効果をもたらすことになります。
 これでは、公権力(都教委)が、明確な基準・根拠を示さずとも、公務員の私人としての行動をおよそ一般的包括的に、恣意的に制約しうることになり、表現の自由等憲法上の権利保障を無に帰するに等しいものと言わざるをえません。
 にもかかわらず、本判決は、週休日に原告が来賓として行った発言に対する指導決定について、違法性・違憲性の判断を行わず、原告の請求を棄却しました。弁護団は、裁判所が、本件が重大な憲法上の権利侵害であることを看過し、都教委の暴走を許すが如き判断をなしたことに対し、強く遺憾の意を表します。
以上

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