◆ 婚外子差別、最高裁が見直しへ
選択的夫婦別姓制度の導入や婚外子差別を撤廃する民法改正は、1996年に法制審議会から答申されながら、今日に至るまで実現していない。
このため、民法の夫婦同氏姓規定や婚外子相続分規定の違憲性を問う裁判が提起されている。また、国連の主な人権委員会は、民法改正をたびたび日本政府に勧告している。
政府は法制審議会の答申を受けて改正案の提出を模索したが、当時の与党・自民党の反対で頓挫。民法改正をマニフェストでうたった民主党政権は、閣内不一致で法案提出が見送られた。
法制審議会の答申や国連委員会の勧告が無視されるなか、昨年末の総選挙で憲法24条(両性の平等)の改正を目論み、夫婦別姓反対を公約に掲げる自民党が政権に復帰した。
このため、国会での民法改正をめぐる議論が後退することが懸念されている。
一方で最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は2月27日、結婚していない男女の間に生まれた「非嫡出子」の遺産相続分を「嫡出子」の二分の一と定める民法の規定が、法の下の平等を保障する憲法に反するか否かが争われている2件の家事審判について、審理を大法廷(裁判長=竹崎博允長官)に回付した。
最高裁は新たな憲法判断や、判例変更をする場合などに審理を大法廷に回付することから第一小法廷の今回の決定によって、相続差別を合憲と判断した95年の大法廷判例が見直される可能性がある。
婚外子差別の民法規定を合憲とした95年の最高裁大法廷決定は、15人の裁判官のうち5人が違憲の反対意見を述べている。
その後、小法廷は5回の合憲判断をしてきたが、いずれも違憲の反対意見を述べる裁判官がおり、賛否は拮抗している。
一方、下級審では2011年8月の大阪高裁判決が、「わが国の婚姻、家族生活、親子関係の実態の変化や国民意識の多様化など、平等化を促す事情が多く生じている」として違憲判断を示し、確定している。
民法改正論議と男女共同参画に関する情報を発信するメディアの「mネット」は国際女性デーの3月8日、衆院第二議員会館で「憲法24条、女性差別撤廃条約を遵守!民法改姓を求める院内集会」を開き、市民や弁護士、国会議員ら133人が参加した。日弁連が共催した。
集会では日弁連の小川恭子副会長が主催者挨拶、立命館大学の二宮周平教授が、「家族と法-憲法24条の意義について」講演、弁護士の大谷美紀子さんが国際人権基準について解説、民主、社民、共産、公明の4党の法務政策担当者が法改正へ決意を表明した。
また、夫婦別姓訴訟の榊原富士子弁護団長、旧姓使用裁判原告の宮脇隆志さん、住民票訴訟原告の菅原和之さんが裁判の経過や意義を報告。
最後に「夏の参院選で人権政策を重視する議員が多数を占め、早期改正が実現するため、一人ひとり力を結集しよう」とのアピールを採択した。
『週刊新社会』(2013/4/2)
選択的夫婦別姓制度の導入や婚外子差別を撤廃する民法改正は、1996年に法制審議会から答申されながら、今日に至るまで実現していない。
このため、民法の夫婦同氏姓規定や婚外子相続分規定の違憲性を問う裁判が提起されている。また、国連の主な人権委員会は、民法改正をたびたび日本政府に勧告している。
政府は法制審議会の答申を受けて改正案の提出を模索したが、当時の与党・自民党の反対で頓挫。民法改正をマニフェストでうたった民主党政権は、閣内不一致で法案提出が見送られた。
法制審議会の答申や国連委員会の勧告が無視されるなか、昨年末の総選挙で憲法24条(両性の平等)の改正を目論み、夫婦別姓反対を公約に掲げる自民党が政権に復帰した。
このため、国会での民法改正をめぐる議論が後退することが懸念されている。
一方で最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は2月27日、結婚していない男女の間に生まれた「非嫡出子」の遺産相続分を「嫡出子」の二分の一と定める民法の規定が、法の下の平等を保障する憲法に反するか否かが争われている2件の家事審判について、審理を大法廷(裁判長=竹崎博允長官)に回付した。
最高裁は新たな憲法判断や、判例変更をする場合などに審理を大法廷に回付することから第一小法廷の今回の決定によって、相続差別を合憲と判断した95年の大法廷判例が見直される可能性がある。
婚外子差別の民法規定を合憲とした95年の最高裁大法廷決定は、15人の裁判官のうち5人が違憲の反対意見を述べている。
その後、小法廷は5回の合憲判断をしてきたが、いずれも違憲の反対意見を述べる裁判官がおり、賛否は拮抗している。
一方、下級審では2011年8月の大阪高裁判決が、「わが国の婚姻、家族生活、親子関係の実態の変化や国民意識の多様化など、平等化を促す事情が多く生じている」として違憲判断を示し、確定している。
民法改正論議と男女共同参画に関する情報を発信するメディアの「mネット」は国際女性デーの3月8日、衆院第二議員会館で「憲法24条、女性差別撤廃条約を遵守!民法改姓を求める院内集会」を開き、市民や弁護士、国会議員ら133人が参加した。日弁連が共催した。
集会では日弁連の小川恭子副会長が主催者挨拶、立命館大学の二宮周平教授が、「家族と法-憲法24条の意義について」講演、弁護士の大谷美紀子さんが国際人権基準について解説、民主、社民、共産、公明の4党の法務政策担当者が法改正へ決意を表明した。
また、夫婦別姓訴訟の榊原富士子弁護団長、旧姓使用裁判原告の宮脇隆志さん、住民票訴訟原告の菅原和之さんが裁判の経過や意義を報告。
最後に「夏の参院選で人権政策を重視する議員が多数を占め、早期改正が実現するため、一人ひとり力を結集しよう」とのアピールを採択した。
『週刊新社会』(2013/4/2)
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