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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

最高裁判決は教育現場の上空をかすめ通るばかり

2012年02月03日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◇ 2月9日(木)予防訴訟・最高裁判決(13:30~最高裁第1小法廷)
《2・1予防訴訟をすすめる会による最高裁要請行動から》
最高裁判所第一小法廷裁判官殿
 ◎ 最高裁判決は教育現場の上空をかすめ通るばかり
上告人兼申立人 片山むぎほ

 私は今、上告した最高裁で、弁論が開かれないまま、2月9日に判決が出されると知り、目まいがするほどの大きなショックを受けています。
 2004年1月30日に東京地裁に提訴して以来、私たちは8年間、学校の苦悩を訴え続けてきました。予防訴訟は都立学校の概ね400人にのぼる教職員が原告として訴えた裁判です。都教委や石原都知事を裁判で訴えるようなことをしたら、目の敵にされ、様々な不利益を被るのではないかと心配する私のような小心者のごく普通の教職員が訴訟に加わったからこそ、集まった400名です
 学校現場における職務命令は、それほど異常な事でした。定年間近の教職歴35年という方も、10.23通達発出以前に、職務命令など受けた経験はありませんでした。当然私自身もそうですし、それまで職務命令を受けたという教職員に会ったこともありませんでした。教育というものは、生徒の自主性を引き出しながら、教員が自主的に行うもので、上司の命令で教育活動を行うなどということはあり得ないというのが、学校現場の常識でした。
 第1審東京地裁の難波判決が指摘したように、今なお「国民の間で宗教的、政治的にみて日の丸、君が代が価値中立的なものと認められるまでには至っていない状況」のもとで、都教委が出した10.23通達とそれに基づく職務命令は、最高裁宮川裁判官が指摘したように、「歴史観ないし世界観及び教育上の信念を有する教職員を念頭に置き、その歴史観等に対する否定的評価を背景に、不利益処分をもってその歴史観等に反する行為を強制しようとしたものです。
 予防訴訟の原告たちは、様々な考え方や意見の違いがある教職員の集まりですが、価値中立ではないものを、一定の価値観に基づいて、学校という場で命令というかたちで強制が行われて良いはずがない。このような不公正を容認してはならない。裁判所はそのような教育行政の不公正を容認するはずがないと確信したからこそ、400名にのぼる教職員が裁判所に訴えたのです。
 しかし、全都立高校の現場では、卒業式入学式だけでも8年間で各校16回、それ以外の周年行事などでも毎回各校長から職務命令が出され、8年間の経過の中で、異常が日常化してきてしまいました。
 1月16日の最高裁判所第一小法廷判決は、過去3回の不起立行為による懲戒処分の処分歴のみを理由として課された停職処分や過去の1回の不起立行為と同様の行為による処分歴のみを理由として累積加重して課された減給処分を「社会観念上著しく妥当を欠き,懲戒権者としての裁量の範囲を超えるものとして違法の評価を免れない」と判断して、上記の停職処分と減給処分を取り消しました。
 しかし、1月17日付の毎日新聞は「都教育長人事部の担当者は・・今後については『処分はこれまで通り(不起立の)回数や状況を考慮して判断していくやり方に変わりはない』と話した」と報道しています。そして、都教委は1月24日、臨時会を開催して、1.16最高裁判決でも、職務命令が「合憲」と判断されたと強調し、「入学式、卒業式等の適正実施」に向けた都立学校長宛の通知を発出し、翌25日に臨時校長会を招集して、これまで通りのやり方で職務命令を出すようにとの締めつけを図っています。
 1月26日の同最高裁判決の櫻井裁判官補足意見では、最後に、「教育現場においてこのような紛争が繰り返される状態を一日も早く解消し、これまでにも増して自由で闊達な教育が実施されていくことが切に望まれるところであり、全ての関係者によってそのための具体的な方策と努力が真摯かつ速やかに尽くされていく必要があると締めくくられていますが、私たちがこれまで縷々訴えてきたように、従わなければ処分という上からの職務命令による強権的なシステムが出来上がってしまった学校現場では、櫻井裁判官の勧告は、教育現場の上空をかすめ通るばかりで、紛争解決の具体的な方策も努力も実行されていきません
 このように強権で教職員が抑圧されている学校では、自由に自分の意見を述べることができなくなり、教職員が萎縮し、ただただ保身のためにへつらい『ゴマすり』を行うような不健全な状況が生まれてきます。こんな環境のもとでは、正義感を持った生徒が健全に成長することなど期待することができません
 最高裁裁判官におかれましては、このような学校現場の深刻な状況を見据えて、最高裁の良心に基づき、紛争解決に有効な最高裁判決を出していただくよう、憂いの涙と共に、最後のお願いを致します。

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