◆ 2023年度卒・入学式の闘い
卒・入学式対策本部
1.卒業式処分
今年の卒業式では、「不起立」「不伴奏」などを現認された教職員を現時点では把握できていません。
10.23通達発出以来、「不起立」「不伴奏」などで処分された教職員が卒業式でいなかったのは、六度目です。
2.都教委要請行動の概略
1月24日、四者(予防訴訟をひきつぐ会、被処分者の会、解雇裁判をひきつぐ会、再雇用2次訴訟をかたりつぐ会)、東京・教育の自由裁判をすすめる会国際人権プロジェクトチームは、都教委に対して、10.23通達から21回目の卒業式を前に要請を行いました。
「10.23通達を撤回しろ」「職務命令を出すな」「卒業式処分をするな」「再処分を行うな」等という例年通りの内容に加えて、一昨年相次いで出された国際勧告に従うことも求めました。卒入学式対策本部からは口頭で、教員不足を引き起こしている現場の深刻な状況について、都教委の見解を求めました。
2月16日付で、教育庁総務部広報統計課長・坂井良充名の「回答」がありました(別紙参照:略)が、昨年と同じ内容を繰り返すのみの不誠実なものでした。
この回答を受けて、3月26日にも要請と質問を行いました。
3.今年の卒業式の状況
今年の卒業式は、新型コロナウィルス感染症5類移行後初の卒業式でした。
2020年度から毎年12月中旬に出されていた「令和○年度卒業式及び令和○年度入学式等の実施について(通知)」「新型コロナウィルス感染症対策を施した令和○年度卒業式及び令和O年度入学式等の実施について(通知)」という通知が、今年度は出されませんでした。
1月の校長連絡会、副校長連絡会では、例年配布されている「教育課程の適正な実施について」(・卒業式、入学式等における職務命令違反による懲戒処分の考え方・年次有給休暇の申請等について)という管理職止まりの文書が配られ、指導部課長より、職員会議での発言や同僚への働きかけの状況、個別的職務命令受け取りの状況を克明に記録し報告するようにという伝達確認がなされたと思われます。
「包括的職務命令は式の二週間前までに教職員を一堂に集めて行い、休みも確認すること」
「個別職務命令は式の一週間前から渡し、渡し終わったという報告もセンターにすること」
「あらゆる可能性を考えて、係分担の変更や個別職務命令の変更、CD・テープの準備などをしておくこと」
「送辞・答辞は管理職が事前に確認すること」
「当日の教職員の業務を明確化し、一人一人の着席時間を明示すること」
「校舎内外の警備を万全にし、チラシはセンターにFAXすること」
などの指示・説明も例年通りなされたと思われます。
都立学校の管理職は、卒業式の3週間前までに実施要項等を都教委に提出し、2週間前までに包括的職務命令を出し、1週間前から個別職務命令を渡すよう都教委から指導されています。
今年度、卒業式予行の要項に「君が代」を伴奏する教員名を入れるよう都教委から指導を受けたという事例が都立高校でありました。その高校では、結局校長交渉によって、予行での「君が代」伴奏はしなくてよいことになったそうです。
そもそも卒業式予行の実施要項は都教委に提出する必要はなく、多くの都立高校では、予行での国歌起立斉唱は行っていません。そうした事情を知らない副校長が卒業式だけでなく、予行の実施要項も提出してしまったため、都教委の指導を受けることになったのです。
しかし、特別支援学校では以前から予行でも国歌の起立斉唱が行われており、、不起立の現認が行われた教員もいました。都立高校でも、一部の学校では予行での国歌起立斉唱が行われているようです。今後教員の抵抗する力が弱まっていけば、都立高校でも全校で予行での国歌の起立斉唱が行われるようになる可能性がないとはいえません。
また今年、特別支援学校では、包括的職務命令発出の際、「強制しないでほしい」と発言した教員を数日後校長室に呼び出し、「今後、ああいう発言は個人的に言ってほしい」と校長が注意したという事例もありました。
2008年から多くの学校で、式の進行表の中に「不起立の生徒がいたら司会が起立を促す」という文言が入れられるようになり、2016年度からは、生徒の不起立に対する対応が書かれていないと、「司会は、起立していない生徒がいた場合『ご起立ください』という」という文言を入れるよう、都教委から強い指導を受けるようになっています。
(今年度卒業式でのある高校の例)
起立を確認し、不起立者が複数いる場合は、再度司会が生徒に、副校長が教員に、「御起立ください。」と起立を促す。
卒業式・入学式の進行表の中にある生徒の不起立に対する対応は、明らかに生徒への強制に他なりませんし、生徒の人権を侵害しています。
さらに今年度から、「開式の辞」の前の、「一同、ご起立願います。」の発声の後にも、不起立者への対応の文言が入れられることになったようです。
(今年度卒業式でのある高校の例)
不起立者がいる場合は、司会が「御起立ください」と促す。○○副校長が教職員の起立を確認し、○○副校長の合図にて司会が進める。
この対応には、参加者全員の起立を徹底させようという都教委の意図を感じます。
これまでも都教委は、2017年度に、ピアノ伴奏が出来なかった場合の対応を進行表に明記させたり、「卒業生入場」の前に全教職員の着席の確認についての記述を入れるよう指導を入れたりと新たな指示を加えてきました。細かい指示を徹底させることで、各学校の裁量をなくし、管理を徹底しようとする都教委の意図を感じます。
10.23通達が発出されてから20年になります。知事や教育長をはじめとして、通達が発出されたときの責任者は今や誰も残っていません。
通達だけが20年前から変わらず存在し続け、学校現場を縛り、東京都の教育を破壊し続けています。
沖縄の軍事要塞化、全国の空港・港湾の軍事拠点化・兵砧基地化が進められている中、3月15日には、自民、公明両党が次期戦闘機の第三国への輸出解禁を合意しました。
日本が戦時体制に入りつつあると感じさせる状況において、特別支援学校ではJアラートの避難訓練も実施されています。
学校の教室から戦争が始まらないように、生徒のための卒業式を取り戻すために、10.23通達を撤回させる取り組みは今かつてないほど重要になっています。
(卒入学式対策本部長・川村)
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