日の丸・君が代処分撤回を求めて 2007/02/15
日の丸・君が代処分撤回裁判提訴報告集会に行ってきました。
2月9日金曜日、東京地裁に「日の丸・君が代」懲戒処分取り消し訴訟が提訴されました。弁護士会館から、弁護団長の尾山弁護士を真ん中にして横断幕を先頭に、原告団は東京地裁までの道のりを行進しました。昨年の9.21東京地裁難波コートでの判決以来、注目されている東京都教育委員会による処分者たち。今日はまもなく迎える卒業、入学シーズンを前に多くの報道陣が裁判所内の記者会見場に集まり、50社を超える盛況に狭い会場に入場できない人もいて、原告団のうれしい悲鳴と、用意した資料を増刷するというハプニングもありました。
原告団は、記者会見組と報告集会組とに別れ、報告集会は虎ノ門にある小さな会議室をやっと手当てでき、そこで行いました。記者会見組も後から合流しました。
そこで明らかにされたのは、この訴訟の提起は、被告を東京都と東京都教育委員会、都内の自治体の教育委員会にしていますが、教育基本法が改正(改悪)された今、学校教育法、地方教育行政、そして教育指導要領の全面改訂よる国家の教育への介入強化がめざすものを炙り出す戦いであり、経団連の御手洗ビジョンから見出される競争格差社会への助長発言と、愛国教育などは国家の教育への介入ばかりでなく、一般の労働者市民への思想信条、内心・良心の自由にまで言及してくる問題であるということを、一般の人たちに知らせる役目を持っているということでした。
問題を広げてきたのは、こちらではなく、総資本の側だということです。そういう意味で教育関係者だけでなく一般市民にもこの訴訟の意味を、重大さを訴えて行きたいということでした。この戦いに負けるわけには行かないことが、確認されました。
この裁判は、2003年の周年行事(創立記念行事)と04年春の卒業・入学式で「君が代を立って歌え!」とか「君が代のピアノ伴奏をしろ!」などという、これまで考えもしなかったような「職務命令」を受けた教職員が、自らの信念に照らして、その命令に背いたところから始まったことでした。労働組合員の分断化によって孤立無援の戦いを強いられた人もいました。処分者たちの中にこの処分に納得できないという共通の思いはあっても、なかなか地方公務員法という壁もあって、裁判に訴えるということに踏み切れないでいました。東京都という巨大な自治体を相手に分けも分からずに、戦いを挑まざるを得ない状況に追い込まれていったのでした。あるものは個人で、処分を不服として東京都人事委員会に訴えましたし、また集団で処分の取り消しを人事委員会に求め、審査を求めた人たちもいました。
04年から始まったこの闘いは、個別の闘いから、徐々に処分を受けた人たちが集まり、弁護士の人たち、人事委員会の審理を応援してくれる市民の人たちも加わって、戦いの肉付け、深みのある戦いへと変貌して行ったのでした。どうして命令なんか出すのだろう。そんな素朴な疑問から始まり、再度自分の良心に問うことをやってきた人たちが、ここに結集したのでした。
息苦しくないかい、こんな命令って教育基本法の不当介入に当たるんじゃないの? 憲法の思想信条の自由、内心・良心の自由が侵されているんじゃないの?
今そんな疑問を持った教師集団が、都の人事委員会から裁判所にその戦いの場を移して、戦う決心をした人たちが、ここに集いました。原告団137名。弁護団は、家永教科書裁判以来の67名の大弁護団です。
団長:尾山宏弁護士 副団長:澤藤統一郎弁護士、菊池紘弁護士 幹事長:加藤文也弁護士 事務局長:白井剣弁護士 事務局次長:雪竹奈緒弁護士
教育裁判にはおなじみの顔に加え、昨年弁護士になった若手も加わっています。
原告団事務局 事務局長:近藤徹(葛西南)
本訴訟は、処分取り消しを請求する抗告訴訟と処分発令に伴って被った精神的損害に対する賠償(金55万円相当)を請求する国家賠償請求訴訟(国賠訴訟)の2つの請求内容を有する訴訟です。なお懲戒処分による経済的損失は、処分取り消しと同時に補償されるもので、国賠請求の内容には含まれません。
原告173名のうち、172名は上記の2つについてあわせて行いますが、1名については、人事委員会審理を行わなかったため、国賠請求のみに限定して、請求を行います。構成は、所属の教育委員会との関係でやむなく都立学校関係者だけで原告団を結成しています。
都の人事委員会審査請求団体 被処分者の会、都障教組、都障労組、東京教組、都教組八王子支部、アイム89、都高教有志連絡会の7団体連絡調整会議、通称大同団結会議で審理進行の情報交換や協議を行ってきました。特に7団体共同で共通証人として近藤精一元指導部長、臼井勇 前人事部長 の証人採用を強く要請し、2006年5月17日都民ホールで7団体合同の口頭公開審理を開催するに至り、人事委員会審理闘争において、画期的な多数のマスコミ取材も入る大規模な審理となりました。
その意義は(1)7団体の強力で都教委幹部(人事部長、指導部長)の証人尋問を実現したこと。(2)審理の会場を審理室の外の大会場へと移し、審査員全員を臨席させた審理運営上の改善を得たこと。(3)大多数の参加により処分撤回闘争の強化を図れたこと。(4)各団体の弁護団が一堂に会したことによって、弁護団どうしの交流と、情報交換が進んだことがあげられ、この延長線上に今度の提訴があります。
昨年9月21日の予防訴訟東京地裁判決(難波裁判長)で、君が代斉唱の義務、君が代伴奏の義務の不存在が確認され、処分をちらつかせた強制は、教育基本法(1947年法)の第10条の不当な支配に当たるとし、また日本国憲法が保障した思想信条の自由、良心の自由を侵すものであると憲法違反の判決を下し、また君が代、日の丸の戦時中に果たした役割についても言及していました。東京都は控訴しましたが、この判決が、励みになっています。
提訴にあたっての声明の最後は、「私たちの提訴は、恐怖と恫喝で教育の自由を圧殺してきた石原都政下での異常な東京都の教育を、再び都民の手に取り戻し、教育の良心を守り抜くための戦いです。教職員、生徒、保護者、市民と手を携えて、裁判に勝利し、不当な処分を撤回させるまで戦うことを改めて表明いたします。ご支援を訴えるものであります」と結んでいます。
今年は、東京都知事選挙の年でもあり、この裁判を支援し、注目して行きたいと考えています。
(宮内秀忠)
JANJANニュース
http://www.janjan.jp/government/0702/0702109789/1.php
日の丸・君が代処分撤回裁判提訴報告集会に行ってきました。
2月9日金曜日、東京地裁に「日の丸・君が代」懲戒処分取り消し訴訟が提訴されました。弁護士会館から、弁護団長の尾山弁護士を真ん中にして横断幕を先頭に、原告団は東京地裁までの道のりを行進しました。昨年の9.21東京地裁難波コートでの判決以来、注目されている東京都教育委員会による処分者たち。今日はまもなく迎える卒業、入学シーズンを前に多くの報道陣が裁判所内の記者会見場に集まり、50社を超える盛況に狭い会場に入場できない人もいて、原告団のうれしい悲鳴と、用意した資料を増刷するというハプニングもありました。
原告団は、記者会見組と報告集会組とに別れ、報告集会は虎ノ門にある小さな会議室をやっと手当てでき、そこで行いました。記者会見組も後から合流しました。
そこで明らかにされたのは、この訴訟の提起は、被告を東京都と東京都教育委員会、都内の自治体の教育委員会にしていますが、教育基本法が改正(改悪)された今、学校教育法、地方教育行政、そして教育指導要領の全面改訂よる国家の教育への介入強化がめざすものを炙り出す戦いであり、経団連の御手洗ビジョンから見出される競争格差社会への助長発言と、愛国教育などは国家の教育への介入ばかりでなく、一般の労働者市民への思想信条、内心・良心の自由にまで言及してくる問題であるということを、一般の人たちに知らせる役目を持っているということでした。
問題を広げてきたのは、こちらではなく、総資本の側だということです。そういう意味で教育関係者だけでなく一般市民にもこの訴訟の意味を、重大さを訴えて行きたいということでした。この戦いに負けるわけには行かないことが、確認されました。
この裁判は、2003年の周年行事(創立記念行事)と04年春の卒業・入学式で「君が代を立って歌え!」とか「君が代のピアノ伴奏をしろ!」などという、これまで考えもしなかったような「職務命令」を受けた教職員が、自らの信念に照らして、その命令に背いたところから始まったことでした。労働組合員の分断化によって孤立無援の戦いを強いられた人もいました。処分者たちの中にこの処分に納得できないという共通の思いはあっても、なかなか地方公務員法という壁もあって、裁判に訴えるということに踏み切れないでいました。東京都という巨大な自治体を相手に分けも分からずに、戦いを挑まざるを得ない状況に追い込まれていったのでした。あるものは個人で、処分を不服として東京都人事委員会に訴えましたし、また集団で処分の取り消しを人事委員会に求め、審査を求めた人たちもいました。
04年から始まったこの闘いは、個別の闘いから、徐々に処分を受けた人たちが集まり、弁護士の人たち、人事委員会の審理を応援してくれる市民の人たちも加わって、戦いの肉付け、深みのある戦いへと変貌して行ったのでした。どうして命令なんか出すのだろう。そんな素朴な疑問から始まり、再度自分の良心に問うことをやってきた人たちが、ここに結集したのでした。
息苦しくないかい、こんな命令って教育基本法の不当介入に当たるんじゃないの? 憲法の思想信条の自由、内心・良心の自由が侵されているんじゃないの?
今そんな疑問を持った教師集団が、都の人事委員会から裁判所にその戦いの場を移して、戦う決心をした人たちが、ここに集いました。原告団137名。弁護団は、家永教科書裁判以来の67名の大弁護団です。
団長:尾山宏弁護士 副団長:澤藤統一郎弁護士、菊池紘弁護士 幹事長:加藤文也弁護士 事務局長:白井剣弁護士 事務局次長:雪竹奈緒弁護士
教育裁判にはおなじみの顔に加え、昨年弁護士になった若手も加わっています。
原告団事務局 事務局長:近藤徹(葛西南)
本訴訟は、処分取り消しを請求する抗告訴訟と処分発令に伴って被った精神的損害に対する賠償(金55万円相当)を請求する国家賠償請求訴訟(国賠訴訟)の2つの請求内容を有する訴訟です。なお懲戒処分による経済的損失は、処分取り消しと同時に補償されるもので、国賠請求の内容には含まれません。
原告173名のうち、172名は上記の2つについてあわせて行いますが、1名については、人事委員会審理を行わなかったため、国賠請求のみに限定して、請求を行います。構成は、所属の教育委員会との関係でやむなく都立学校関係者だけで原告団を結成しています。
都の人事委員会審査請求団体 被処分者の会、都障教組、都障労組、東京教組、都教組八王子支部、アイム89、都高教有志連絡会の7団体連絡調整会議、通称大同団結会議で審理進行の情報交換や協議を行ってきました。特に7団体共同で共通証人として近藤精一元指導部長、臼井勇 前人事部長 の証人採用を強く要請し、2006年5月17日都民ホールで7団体合同の口頭公開審理を開催するに至り、人事委員会審理闘争において、画期的な多数のマスコミ取材も入る大規模な審理となりました。
その意義は(1)7団体の強力で都教委幹部(人事部長、指導部長)の証人尋問を実現したこと。(2)審理の会場を審理室の外の大会場へと移し、審査員全員を臨席させた審理運営上の改善を得たこと。(3)大多数の参加により処分撤回闘争の強化を図れたこと。(4)各団体の弁護団が一堂に会したことによって、弁護団どうしの交流と、情報交換が進んだことがあげられ、この延長線上に今度の提訴があります。
昨年9月21日の予防訴訟東京地裁判決(難波裁判長)で、君が代斉唱の義務、君が代伴奏の義務の不存在が確認され、処分をちらつかせた強制は、教育基本法(1947年法)の第10条の不当な支配に当たるとし、また日本国憲法が保障した思想信条の自由、良心の自由を侵すものであると憲法違反の判決を下し、また君が代、日の丸の戦時中に果たした役割についても言及していました。東京都は控訴しましたが、この判決が、励みになっています。
提訴にあたっての声明の最後は、「私たちの提訴は、恐怖と恫喝で教育の自由を圧殺してきた石原都政下での異常な東京都の教育を、再び都民の手に取り戻し、教育の良心を守り抜くための戦いです。教職員、生徒、保護者、市民と手を携えて、裁判に勝利し、不当な処分を撤回させるまで戦うことを改めて表明いたします。ご支援を訴えるものであります」と結んでいます。
今年は、東京都知事選挙の年でもあり、この裁判を支援し、注目して行きたいと考えています。
(宮内秀忠)
JANJANニュース
http://www.janjan.jp/government/0702/0702109789/1.php
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