2回に分けて、4/5公表の文科省教科書検定結果の分析を紹介します。
「日教組教育新聞」2005.6.1から
質問者:染谷幹夫広報担当
回答者:高橋睦子教文局次長
◆今回の教科書採択の特徴はどうなっていますか。
中学校9教科で計103点の申請があり、最終的にはすべてが合格しました。文科省が修正を求めた検定意見は、合計4854件となっています。検定結果を見るといくつかの特徴があげられます。
「発展的内容」の扱いは、ぺ-ジ数は9教科平均で2.7%ですが、理科7.0%、数学4.2%と多くなっています。現在は高校の教科書に載っている内容が中学の「発展的内容」として掲載されているケースもあります。「学力問題」に対応したものと考えられますが、現場での活用の仕方について検討が必要となります。
社会科では、竹島(韓国名・独島)について申請8社中、4社で取り上げられています。また、検定では「領有権について誤解のおそれがないように」との意見がつきました。文部科学大臣は「執筆者が政府の見解に沿って記述内容を変えてきたということ」「執筆者・編集者の考えに基づいたもの」とコメントし、あくまでも執筆者・編集者側の意図によるものとの考えを示しています。
また、8社すべての歴史教科書から「慰安婦」の用語が消え、1995年検定ではすべての教科書にあった「強制連行」の記述は2社となりました。その理由は、学校現場の声として「慰安婦は中学生に教えにくい」や、強制連行の「強制」について「本人の自由意思で日本に渡ってきた人もいる」というものでした。
「慰安婦」については1社のみ「戦時中、慰安施設に送られた女性」との表現で戦後補償に関して触れているだけとなっています。
また、ジェンダー・フリーという表現が消え、「ジェンダー」の言葉も1社のみとなりました。
全体的に教科書会社の自主規制が強まっています。今後の検定の動きとして注視していく必要があると思います。
検定結果は、4月中旬から7月にかけて名地の教科書センターで公開されていますので、多くの人に実際にどのような検定がなされたか見てほしいと思います。
◆「新しい歴史教科書をつくる会」主導で編集された社会科(歴史・公民分野)教科書は、どこが問題となっているのですか。
01年の高校教科書検定において、「つくる会」主導の教科書に、各方面から批判の声があがりました。
その、日本の植民地支配・侵略を肯定し、戦争責任を否定した記述が中国・韓国などアジア諸国との深刻な外交問題に発展しました。
今回の「つくる会」主導の教科書にも同じような問題があります。
歴史の教科書では、日本の植民地支配と侵略を肯定して日本の戦争責任を根本から否定し、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」としてアジア解放を目的とした「正義の戦争」だったかのように描いています。
また、戦争による加害、被害の記述が少なく、原爆による犠牲者数も記述されていません。
その一方で戦争に献身した人を賛美するような記述があります。
公民の教科書では「自衛隊の活動」「世界中で活躍する日本人「我が国のこころと伝統」「公共の利益」「家族の価値」などを取り上げ、自衛隊の存在意義国家への誇り、奉仕と忠誠、国防などを強調する記述となっています。
また、巻末に資料として様々な法律や条約の一部が掲載されていますが、「子どもの権利条約、世界人権宣言、国際人権規約、フランス人権宣言」「女性差別撤廃条約」「男女雇用機会均等法」「男女共同参画社会基本法」など、人権・共生に関するものが掲載されていません。
平和を希求し、アジア諸国との友好・発展を願う立場から批判的にならざるを得ません。
「日教組教育新聞」2005.6.1から
質問者:染谷幹夫広報担当
回答者:高橋睦子教文局次長
◆今回の教科書採択の特徴はどうなっていますか。
中学校9教科で計103点の申請があり、最終的にはすべてが合格しました。文科省が修正を求めた検定意見は、合計4854件となっています。検定結果を見るといくつかの特徴があげられます。
「発展的内容」の扱いは、ぺ-ジ数は9教科平均で2.7%ですが、理科7.0%、数学4.2%と多くなっています。現在は高校の教科書に載っている内容が中学の「発展的内容」として掲載されているケースもあります。「学力問題」に対応したものと考えられますが、現場での活用の仕方について検討が必要となります。
社会科では、竹島(韓国名・独島)について申請8社中、4社で取り上げられています。また、検定では「領有権について誤解のおそれがないように」との意見がつきました。文部科学大臣は「執筆者が政府の見解に沿って記述内容を変えてきたということ」「執筆者・編集者の考えに基づいたもの」とコメントし、あくまでも執筆者・編集者側の意図によるものとの考えを示しています。
また、8社すべての歴史教科書から「慰安婦」の用語が消え、1995年検定ではすべての教科書にあった「強制連行」の記述は2社となりました。その理由は、学校現場の声として「慰安婦は中学生に教えにくい」や、強制連行の「強制」について「本人の自由意思で日本に渡ってきた人もいる」というものでした。
「慰安婦」については1社のみ「戦時中、慰安施設に送られた女性」との表現で戦後補償に関して触れているだけとなっています。
また、ジェンダー・フリーという表現が消え、「ジェンダー」の言葉も1社のみとなりました。
全体的に教科書会社の自主規制が強まっています。今後の検定の動きとして注視していく必要があると思います。
検定結果は、4月中旬から7月にかけて名地の教科書センターで公開されていますので、多くの人に実際にどのような検定がなされたか見てほしいと思います。
◆「新しい歴史教科書をつくる会」主導で編集された社会科(歴史・公民分野)教科書は、どこが問題となっているのですか。
01年の高校教科書検定において、「つくる会」主導の教科書に、各方面から批判の声があがりました。
その、日本の植民地支配・侵略を肯定し、戦争責任を否定した記述が中国・韓国などアジア諸国との深刻な外交問題に発展しました。
今回の「つくる会」主導の教科書にも同じような問題があります。
歴史の教科書では、日本の植民地支配と侵略を肯定して日本の戦争責任を根本から否定し、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」としてアジア解放を目的とした「正義の戦争」だったかのように描いています。
また、戦争による加害、被害の記述が少なく、原爆による犠牲者数も記述されていません。
その一方で戦争に献身した人を賛美するような記述があります。
公民の教科書では「自衛隊の活動」「世界中で活躍する日本人「我が国のこころと伝統」「公共の利益」「家族の価値」などを取り上げ、自衛隊の存在意義国家への誇り、奉仕と忠誠、国防などを強調する記述となっています。
また、巻末に資料として様々な法律や条約の一部が掲載されていますが、「子どもの権利条約、世界人権宣言、国際人権規約、フランス人権宣言」「女性差別撤廃条約」「男女雇用機会均等法」「男女共同参画社会基本法」など、人権・共生に関するものが掲載されていません。
平和を希求し、アジア諸国との友好・発展を願う立場から批判的にならざるを得ません。
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