◆ 「生かそう!東京都こども基本条例~その成果と今後の課題~」緊急報告会
きみがき圭子(生活者ネット)2021年4月12日
1989年に国連で子どもの権利条約が採択され、1990年に発効。その後子どもへの虐待などが深刻化することを重く捉え、生活者ネットワークは子どもの救済機能を備えた子どもの権利条例の制定をめざし、都議選においても条例制定を都に求めることを重点政策の柱に掲げ、活動してきました。
条例制定を求める10万筆を超える署名も集まり、都議会に提出しましたが、2001年1月の厚生委員会で継続審議の扱いとなってしまいました。その20年後にようやく実を結びました。
3月29日、東京・生活者ネットワークで今回の条例制定にも関わってこられた森田明美さん(東洋大学社会学部教授、子どもの権利条約総合研究所監事、こども福祉研究所代表、子どもの権利条例東京市民フォーラム事務局長)をお呼びして「生かそう!東京都こども基本条例~その成果と今後の課題~」緊急報告会がおこなわれ、参加しました。
◆ ネットの山内れい子都議から今回成立に至るまでの経過報告
生活者ネットワークはこれまで東京都に子どもの権利条約に基づいた子どもの権利条例を作りたいと取り組んできた。議会の情勢と都知事の考え方など色々なものが相まって機を見ながらきたが、なかなか動かなかった。
そのような中、東京都の長期計画「『未来の東京』戦略ビジョン」において「子どもの施策を第一に挙げる」ということが示され、子ども未来会議が開催されたこともあり、チャンスでもあった。
今年の都議会第1回定例会で東京都こども基本条例(案)が議員提出議案として厚生委員会に付託され、ネットも共同提案者。
3月15日の厚生委員会では修正案について様々議論されたが、最終的にまとまり、26日の本会議で全会派一致で可決された。
◆ 森田明美さんから成果と今後の課題について
本来ならば条約ができてこの32年間、本気で子どもの権利の具体化に大人の責任として向かっていかなければいけない。
20世紀の終わりに大きな問題になったのが虐待。
子どもの権利の視点がなかったら様々な政策、様々な事業の方向性がゆがむ。東京都が条例を作ったときに基礎自治体はどうするのか。キャッチボールをしていくことが大事。
児童相談所が各23区につくられるときに、少なくとも誰が児相の評価をしているかにもよるが、そこで子どもの権利侵害をしているかもしれない。その時に東京都が子どもの権利をきちんと監視し、時には各自治体に指導勧告できるくらいの権限をもつことで、具体的に子どもを救済したり、事業の変更を迫ることができる。
今コロナの問題もあるが、21世紀に入って少子化、子どもたちの虐待、ひきこもり、不登校を含めたくさんの問題が子どもたちに襲いかかっている。だからこそ各自治体が児童相談所を持つ。
しかし残念ながら子どもの施策に関しては子ども自身が権利の主体にならない限りは子どもが「間違っている」ということすら言うことができない。子どもコミッショナーというしくみをこの中に活かすことが大きな課題。
子どもたちは「あれもこれもダメ」と言われ必死になってこの青年期に爆発したい気持ちを押さえている。こんな時に彼らの発言がこれほど大事な時はないと思うが、何も聞いてもらえない、何の説明も受けられないという状況の中で疎外されている、大人社会の言うがままにしなければならない。
一番大事なのは子どもたち、若者たちが今を生きているパートナーであり、未来を作り出していく私たちのパートナーでもあるという基本的な考え。
真っ先にやることはこの条例を子ども若者たちに伝え、子どもたちとともにこの条例を活かす方法を考えること。
条例を今まで頑張ってくれている若者たちや子どもたちにひとつのお礼のあかしとして渡して欲しい。
そしてこの条例を活かすかどうかは結局都議会がどうするかということと、各自治体の政治家、行政、市民がこれをどう使うかにかかっている。
ようやくできた「東京都こども基本条例」。
「つくって終わり」ではなく、これから練馬区でどう活かしていくか、子どもや若者と一緒に考え意見を聞き、課題について条例の付則にある「3年後の見直し」にも反映できるよう活動していきます。
https://kimigaki.seikatsusha.me/blog/2021/04/12/9036/
令和3年第1回定例会
こどもは、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である。
社会の宝であるこどもは、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がある。
こどもの権利条約(児童の権利に関する条約をいう。以下同じ。)では、こどもに対するあらゆる差別の禁止、こどもの最善の利益の確保、生命・生存・発達への権利及びこどもの意見の尊重を一般原則としている。
全てのこどもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならない。
「こどもを大切にする」視点から、こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもの目線に立った政策を推進していくことは、様々な人が共に暮らす、多様性に富んだ国際都市東京の使命である。
また、新型コロナウイルス感染症は人々の生活に大きな変化をもたらし、とりわけこどもへの影響は顕著である。いかなる状況下においても、こどもの幸福を追求していくことが何より重要であり、東京都がなすべき責務を明らかにしなければならない。
こうした認識の下、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取り組むべき施策の基本となる事項を定め、こどもの健やかな成長に寄与することを目指し、この条例を制定する。
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/bill/2021/download/crights.pdf
『東京都議会議会局管理部広報課』
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/bill/2021/crights.html
≪「東京都こども基本条例」制定の日の都議会の様子を伝える報道≫
※ 都議選見据えた「子どものけんか」 午前4時の条例案可決、全会一致も怒号飛ぶ
『東京新聞』(2021年3月23日 21時19分)
きみがき圭子(生活者ネット)2021年4月12日
1989年に国連で子どもの権利条約が採択され、1990年に発効。その後子どもへの虐待などが深刻化することを重く捉え、生活者ネットワークは子どもの救済機能を備えた子どもの権利条例の制定をめざし、都議選においても条例制定を都に求めることを重点政策の柱に掲げ、活動してきました。
条例制定を求める10万筆を超える署名も集まり、都議会に提出しましたが、2001年1月の厚生委員会で継続審議の扱いとなってしまいました。その20年後にようやく実を結びました。
3月29日、東京・生活者ネットワークで今回の条例制定にも関わってこられた森田明美さん(東洋大学社会学部教授、子どもの権利条約総合研究所監事、こども福祉研究所代表、子どもの権利条例東京市民フォーラム事務局長)をお呼びして「生かそう!東京都こども基本条例~その成果と今後の課題~」緊急報告会がおこなわれ、参加しました。
◆ ネットの山内れい子都議から今回成立に至るまでの経過報告
生活者ネットワークはこれまで東京都に子どもの権利条約に基づいた子どもの権利条例を作りたいと取り組んできた。議会の情勢と都知事の考え方など色々なものが相まって機を見ながらきたが、なかなか動かなかった。
そのような中、東京都の長期計画「『未来の東京』戦略ビジョン」において「子どもの施策を第一に挙げる」ということが示され、子ども未来会議が開催されたこともあり、チャンスでもあった。
今年の都議会第1回定例会で東京都こども基本条例(案)が議員提出議案として厚生委員会に付託され、ネットも共同提案者。
3月15日の厚生委員会では修正案について様々議論されたが、最終的にまとまり、26日の本会議で全会派一致で可決された。
◆ 森田明美さんから成果と今後の課題について
本来ならば条約ができてこの32年間、本気で子どもの権利の具体化に大人の責任として向かっていかなければいけない。
20世紀の終わりに大きな問題になったのが虐待。
子どもの権利の視点がなかったら様々な政策、様々な事業の方向性がゆがむ。東京都が条例を作ったときに基礎自治体はどうするのか。キャッチボールをしていくことが大事。
児童相談所が各23区につくられるときに、少なくとも誰が児相の評価をしているかにもよるが、そこで子どもの権利侵害をしているかもしれない。その時に東京都が子どもの権利をきちんと監視し、時には各自治体に指導勧告できるくらいの権限をもつことで、具体的に子どもを救済したり、事業の変更を迫ることができる。
今コロナの問題もあるが、21世紀に入って少子化、子どもたちの虐待、ひきこもり、不登校を含めたくさんの問題が子どもたちに襲いかかっている。だからこそ各自治体が児童相談所を持つ。
しかし残念ながら子どもの施策に関しては子ども自身が権利の主体にならない限りは子どもが「間違っている」ということすら言うことができない。子どもコミッショナーというしくみをこの中に活かすことが大きな課題。
子どもたちは「あれもこれもダメ」と言われ必死になってこの青年期に爆発したい気持ちを押さえている。こんな時に彼らの発言がこれほど大事な時はないと思うが、何も聞いてもらえない、何の説明も受けられないという状況の中で疎外されている、大人社会の言うがままにしなければならない。
一番大事なのは子どもたち、若者たちが今を生きているパートナーであり、未来を作り出していく私たちのパートナーでもあるという基本的な考え。
真っ先にやることはこの条例を子ども若者たちに伝え、子どもたちとともにこの条例を活かす方法を考えること。
条例を今まで頑張ってくれている若者たちや子どもたちにひとつのお礼のあかしとして渡して欲しい。
そしてこの条例を活かすかどうかは結局都議会がどうするかということと、各自治体の政治家、行政、市民がこれをどう使うかにかかっている。
ようやくできた「東京都こども基本条例」。
「つくって終わり」ではなく、これから練馬区でどう活かしていくか、子どもや若者と一緒に考え意見を聞き、課題について条例の付則にある「3年後の見直し」にも反映できるよう活動していきます。
https://kimigaki.seikatsusha.me/blog/2021/04/12/9036/
令和3年第1回定例会
◎ 東 京 都 こ ど も 基 本 条 例
こどもは、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である。
社会の宝であるこどもは、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がある。
こどもの権利条約(児童の権利に関する条約をいう。以下同じ。)では、こどもに対するあらゆる差別の禁止、こどもの最善の利益の確保、生命・生存・発達への権利及びこどもの意見の尊重を一般原則としている。
全てのこどもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならない。
「こどもを大切にする」視点から、こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもの目線に立った政策を推進していくことは、様々な人が共に暮らす、多様性に富んだ国際都市東京の使命である。
また、新型コロナウイルス感染症は人々の生活に大きな変化をもたらし、とりわけこどもへの影響は顕著である。いかなる状況下においても、こどもの幸福を追求していくことが何より重要であり、東京都がなすべき責務を明らかにしなければならない。
こうした認識の下、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取り組むべき施策の基本となる事項を定め、こどもの健やかな成長に寄与することを目指し、この条例を制定する。
(目的)※東京都こども基本条例(PDF形式:84.4キロバイト)
第一条 この条例は、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都(以下「都」という。)が取り組むべき施策の基本となる事項を定めることにより、こどもの健やかな成長に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において「こども」とは、十八歳に満たない者をいう。なお、こどもに関する施策の実施に当たっては、次条の基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとする。
(基本理念)
第三条 こどもは大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であるとの認識の下、こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもを権利の主体として尊重し、こどもの最善の利益を最優先とすることで、全てのこどもが、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体でこどもを育む環境を整備していかなければならない。
(こどもの権利)
第四条 都は、こどもの権利条約を踏まえ、こどもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとした、こどもの権利を尊重し、擁護するための施策を推進するものとする。
(こどもにやさしい東京の実現)
第五条 都は、社会全体でこどもを育み、こどもにやさしい東京を実現するため、こどもの目線に立った施策を率先して推進するものとする。
(こどもの安全安心の確保)
第六条 都は、こどもを犯罪、事故その他の危害から守るため、こどもの安全と安心の確保に必要な施策を推進するものとする。
(こどもの遊び場、居場所づくり)
第七条 都は、こどもが伸び伸びと健やかに育つことができるよう、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)と連携して、こどもが過ごしやすい遊び場や居場所づくりなど、環境の整備を図るものとする。
(こどもの学び、成長への支援)
第八条 都は、こどもの学ぶ意欲や学ぶ権利を尊重し、こどもの可能性を最大限に伸ばすことができるよう、一人一人の個性に着目し、自立性や主体性を育むために必要な環境の整備を図るとともに、こどもに寄り添ったきめ細かな支援に取り組むものとする。
(子育て家庭、こどもに寄り添った多面的支援)
第九条 都は、様々な不安や悩みに直面する子育て家庭を支援するため、特別な支援や配慮を要するこども及び社会的養育を必要とするこどもへの施策をはじめ、多様な子育てと働き方のための環境の整備、専門的な相談、情報提供その他の状況に応じた適切な取組等、多面的な支援に努めるものとする。
(こどもの意見表明と施策への反映)
第十条 都は、こどもを権利の主体として尊重し、こどもが社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図るものとする。
(こどもの参加の促進)
第十一条 都は、こどもが社会の一員として尊重され、年齢及び一人一人の発達段階に応じ、学校や地域社会等に参加することができるよう、必要な環境の整備を図るものとする。
(こどもの権利の広報・啓発)
第十二条 都は、こどもの権利及び利益の尊重に関する広報その他の啓発を推進するものとする。
(こどもからの相談への対応)
第十三条 都は、こどもの不安や悩みを解消できるよう、こどもからの相談に対応する体制の充実並びに家庭、学校、地域社会及び関係機関等との連携強化に努めるものとする。
(こどもの権利擁護)
第十四条 都は、こどもの健やかな成長を支援するため、権利侵害その他の不利益を受けた場合等において、専門的知見に基づいて適切かつ迅速にこどもの救済を図ることができるよう、国、区市町村その他の関係機関と連携し、社会状況の変化に応じ、こどもの権利及び利益を擁護するための体制の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
(こどもに関する計画の策定)
第十五条 都は、こどもに関する計画を策定するに当たっては、第三条の基本理念にのっとるものとする。
(こども施策を総合的に推進する体制の整備)
第十六条 都は、こどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な体制を整備するものとする。
(財政上の措置)
第十七条 都は、こどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和三年四月一日から施行する。
(検討)
2 この条例の施行後三年を経過した場合において、この条例の施行の状況及びこどもを取り巻く状況等について検討し、時代の要請に適合するものとするために必要な措置を講ずるものとする。
3 前項の検討を行うに当たっては、こどもの意見を反映させるため、こどもの意見を聴く機会を設けるものとする。
(提案理由)
こどもの笑顔があふれる社会の実現に向け、こどもの健やかな成長に寄与するため、この条例を制定する。
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/bill/2021/download/crights.pdf
『東京都議会議会局管理部広報課』
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/bill/2021/crights.html
≪「東京都こども基本条例」制定の日の都議会の様子を伝える報道≫
※ 都議選見据えた「子どものけんか」 午前4時の条例案可決、全会一致も怒号飛ぶ
『東京新聞』(2021年3月23日 21時19分)
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