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国際人権法から見た「日の丸・君が代」強制の問題点

2008年08月20日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ★ 国際人権法から見た「日の丸・君が代」強制の問題点
  7・26大泉ブラウス裁判市民講演会報告

渡辺厚子


「世取山学習会」 《撮影:平田 泉》

 7月26日、ハイプラザ板橋において、新潟大学の世取山洋介さんより3時間に及ぶお話をいただきました。国際人権活動日本委員会の山口さんにも話しに加わっていただき、約100名が参加し、会場いっぱい熱気ある市民講演会となりました。
 参加くださった皆さん、ありがとうございました。被処分者の会をはじめ予防訴訟、被解雇者の会、藤田さんの会など(略称ですみません)たくさんの団体に賛同協力していただいたこと感謝いたします。忙しい中討議してくださり、快諾いただいたこと重ねてお礼申し上げます。
 私たち「良心・表現の自由を!」声をあげる市民の会がお願いに回るのは、お飾り的に団体名を連ねる為や大きく見せようということではありません。あらためて関係を深め、力を合わせ運動を広めようという意味からです。今回は北部の労働組合を重点的に一軒一軒歩きました。地道な努力が底力をつくっていくと信じています。

 さて、当日の講演内容についてですが、世取山さんは国連提訴の可能性について実に明快に提起をしてくれました。

 国連機構のどのルートもしくは仕組みを使うのか、国際人権文書のどの条項違反を主張するのかという点について、結論から言うと二つの道、一つは人権理事会のテーマ別手続きを利用する方法もう一つはILOにある教員の地位に関する勧告専門委員会へ申立をする方法、これらが最も考えられるものであること、そして前者の場合は人権B規約18条19条違反を主張、後者の場合は教師のアカデミックフリーダム違反を主張することになる、とのことでした。

 「日の丸・君が代」問題を国連の人権保障システムに乗せるためには様々な問題があり、まず、国連の機構、人権保障の現システム、総会で採択されている人権条約に基づく保障システム、大泉ブラウス事件の場合に使えるもの等を克明に解説され、そもそも「日の丸や君が代」問題は国際人権からみて何が問題なのか、郵便配達夫は官報の記載内容に反対しているからといって配達を拒否できないのに、なぜ教師は命令されたメッセージを伝達しなくてよいのか、という挑戦的な質問をされたあと、教師の職務上の自由の問題であること、そしてそれについて国際的には大きく二つのアプローチがあり(アメリカ型公民教育法型、日本型人間教育法型)、これらは国連の人権保障システムの中でいずれをとるべきか未だ先例がなく、今回国連提訴ということになれば、日本人民が主体になって法形成することになる、国連への提訴の意義は国際法形成の主体となるという決意表明であり、国家間法としての国際法に修正を迫るということなのだ、と強調されました。いささか身のすくむ、しかし大きな意義ある仕事であることがよくわかりました。
 国連を動かすには気長にやること、また何の効果もないように表面は見えても日本政府に確実にボディブローのようにきいていくこと、そして提訴し国連を動かすには何よりも声を一つにして集団の力でやることが大事であるとまとめられました。新たな運動的視点の広がりを得、早速実践していきたいと考えています。共に頑張りましょう。

『被処分者の会通信』(2008/8/9 第47号「共に闘おう」)

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