★ 「君が代」強制を国連へ
良心・表現の自由を!声を上げる市民の会
ブラウス裁判で昨年7月20日、最高裁に上告を棄却された渡辺厚子・都立北特別支援学校教諭を支援する「良心・表現の自由を!声を上げる市民の会」は国際機関に訴え、異常な都教委の施策を変えようと7月26日、東京・板橋区内で世取山洋介・新潟大准教授、山口弘文・国際人権活動日本委員会事務局長を招き、講演・学習会を開き、約100人が参加した。
ブラウス裁判とは、02年の大泉特別支援学校の入学式で、"君が代"強制に抗し、ブラウスの右胸に「赤丸に斜線」のマークを付けて出席し、上着着用の校長の職務命令違反を理由に、都教委に不当処分(戒告)された取消しを求めたもの。
講演で世取山さんは、文部省時代から、学校への"君が代"強制の根拠にしている学校指導要領(小中高校とも)について、学校行事の中の「儀式的行事」での「国旗掲揚、君が代斉唱実施」を、「望ましい」としていた78年版では、その内容を「清新な気分を味わい」に留めていたが、「するものとする」と強制した89年版以降、「厳粛で」の3文字を加筆し、「他国のものも含む国旗国歌の尊重」を表面上謳いつつ、国家忠誠宣誓儀式として位置付けられるようになった、と分析した。
この後、世取山さんは、「国際人権規約」のB規約が、「市民的及び政治的権利」を保障している、と説明。
そして、教員への"君が代"強制を国際人権法から問題視していくのに、①政府が"公民教育"を公教育の第一目的に設定していることを不問に付した上でB規約を活用し、教育の特質性を直視し、教員が個人として有している市民的自由の保障を校内にも及ぼし、"君が代"強制拒否の権利を認める、②ILO「教員の地位に関する勧告」第61条の保障する、「教員の職業上の自由としての教育の自由」や「学問上の自由」に基づき強制の違法性を訴えるの2つのアプローチがある、と提起。
ただし、教師に関わっては歌・旗という国家の象徴絡みでの先例はなく、今後、日本の市民が主体となり、国連を動かすには、この課題で闘っている人々の声を一つにして、質の高い申立書を作り上げ、"日の丸・君が代"強制の人権破壊を是正させる勧告を出させるための法形成をする、共同体制の構築が重要だと強調して締め括った。
一方、都労委労働側委員も務める山口さんは、日本の労働現場・政治運動等での人権侵害を国際世論に訴え、国連の人権専門審査機関(本部・ジュネーブ)での、日本政府の報告書審査の実効性を高める活動を十数年続けてきた。10月に開かれる5回目の政府報告に対する審査会に、過労死、政治ビラ弾圧、"日の丸"強制など26項目のカウンターレポートを出した、と報告。この内、"日の丸・君が代"問題では、日本国憲法や国際人権規約を活用し、人権問題として取り組んでいる、と述べた。
(東京・永野厚男)
『週刊新社会』(2008/8/19)
良心・表現の自由を!声を上げる市民の会
ブラウス裁判で昨年7月20日、最高裁に上告を棄却された渡辺厚子・都立北特別支援学校教諭を支援する「良心・表現の自由を!声を上げる市民の会」は国際機関に訴え、異常な都教委の施策を変えようと7月26日、東京・板橋区内で世取山洋介・新潟大准教授、山口弘文・国際人権活動日本委員会事務局長を招き、講演・学習会を開き、約100人が参加した。
ブラウス裁判とは、02年の大泉特別支援学校の入学式で、"君が代"強制に抗し、ブラウスの右胸に「赤丸に斜線」のマークを付けて出席し、上着着用の校長の職務命令違反を理由に、都教委に不当処分(戒告)された取消しを求めたもの。
講演で世取山さんは、文部省時代から、学校への"君が代"強制の根拠にしている学校指導要領(小中高校とも)について、学校行事の中の「儀式的行事」での「国旗掲揚、君が代斉唱実施」を、「望ましい」としていた78年版では、その内容を「清新な気分を味わい」に留めていたが、「するものとする」と強制した89年版以降、「厳粛で」の3文字を加筆し、「他国のものも含む国旗国歌の尊重」を表面上謳いつつ、国家忠誠宣誓儀式として位置付けられるようになった、と分析した。
この後、世取山さんは、「国際人権規約」のB規約が、「市民的及び政治的権利」を保障している、と説明。
そして、教員への"君が代"強制を国際人権法から問題視していくのに、①政府が"公民教育"を公教育の第一目的に設定していることを不問に付した上でB規約を活用し、教育の特質性を直視し、教員が個人として有している市民的自由の保障を校内にも及ぼし、"君が代"強制拒否の権利を認める、②ILO「教員の地位に関する勧告」第61条の保障する、「教員の職業上の自由としての教育の自由」や「学問上の自由」に基づき強制の違法性を訴えるの2つのアプローチがある、と提起。
ただし、教師に関わっては歌・旗という国家の象徴絡みでの先例はなく、今後、日本の市民が主体となり、国連を動かすには、この課題で闘っている人々の声を一つにして、質の高い申立書を作り上げ、"日の丸・君が代"強制の人権破壊を是正させる勧告を出させるための法形成をする、共同体制の構築が重要だと強調して締め括った。
一方、都労委労働側委員も務める山口さんは、日本の労働現場・政治運動等での人権侵害を国際世論に訴え、国連の人権専門審査機関(本部・ジュネーブ)での、日本政府の報告書審査の実効性を高める活動を十数年続けてきた。10月に開かれる5回目の政府報告に対する審査会に、過労死、政治ビラ弾圧、"日の丸"強制など26項目のカウンターレポートを出した、と報告。この内、"日の丸・君が代"問題では、日本国憲法や国際人権規約を活用し、人権問題として取り組んでいる、と述べた。
(東京・永野厚男)
『週刊新社会』(2008/8/19)
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