《interschool journal》
★ 23区 令和6年度当初予算案の発表相次ぐ
東京都23区で、令和6年度の当初予算案の発表が次々と行われている。
本記事は、各区の子ども・学校関連の事業を紹介する。
★ 23区全区で学校給食費完全無償化へ
今回の予算案のポイントは「給食費の完全無償化」。
23年度は23区中19区が給食費を完全無償化した。
残る4区のうち、中野区は給食費相当額を「価格高騰支援給付金」として給付した。
練馬区・新宿区も給食費を無償化する動きを見せたが、対象を第二子以降と限定して実施した。
渋谷区は給食費を無償化しなかった。
しかし、24年度の予算案では、渋谷区が給食費を無償化。
無償化対象を第二子以降に限定していた練馬区・新宿区も、給食費を完全に無償化した。
中野区も給食費相当額の給付による実質的な無償化から、正式に給食費の無償化を決定。
東京都の特別区全23区において、給食費の完全無償化が実現した。
また、新宿区・文京区・中野区・杉並区などは、私立学校に通う児童生徒の保護者に対しても給食費相当額を支給する。
★ 練馬区 放課後の居場所事業と学童保育の全区立小での早期実施目指す
練馬区は小学校内に放課後帰宅せず利用できる居場所を設ける「ひろば事業」と学童保育を一体的に「ねりっこクラブ」を全区立小学校で早期実施を目指し、令和6年4月に新たに7校で開設する。また、学童クラブにおいて、入会申請のオンライン化や、電子連絡帳の導入など、ICT化を進める。
また、練馬区は第2子以降の給食費を無償化していたが、都の給食費補助制度を利用し、給食費を全面的に無償化する。
その他、学校教育支援センター石神井台の開設、子ども家庭支援センターにヤングケアラーコーディネーターを配置するなど、不登校児やヤングケアラーへの支援も充実させる。
★ 板橋区 部活動の地域移行取り組み推進
板橋区では部活動の地域移行の取り組みを推進するため、「いたばし地域クラブ」の3クラブを正式クラブ化し、またクラブを新設するなど本格実施。また指導員を増員する。
その他、社会的養護経験者(ケアリーバー)やヤングケアラーへの支援、産前産後の支援の充実などを行う。
★ 千代田区 学用品の一部を補助へ
千代田区は区立小中学校のドリル等の教材費の一部を補助する。
また、教育ローンに関する利子を補給し、子どもの学びの機会を保証する。
その他、適応指導教室の受け入れ態勢の拡充や校内教育支援センターの設置、仮想空間を活用した居場所・学びの場の提供など不登校対策を推進する。
★ 足立区 夏休み期間の体験活動機会提供へ
足立区は子どもたちがスポーツ・文化、体験活動に参加できる機会を提供するため、夏休み期間(7/21~8/31)に、有料の体験講座等の無料化するとともに、区内スポーツ・文化施設、公園、銭湯の子ども料金を無料化する。
★ 品川区 学用品を完全無償化 区長部局でいじめ対応
品川区は授業で使うドリル・書道用具・絵具などの補助教材を公費負担し、完全無償化する。この取り組みは都内で初めてとなる。
また、区長部局にいじめの相談対応を行う部署を設置し、いじめ相談弁護士を常勤配置するほか、被害児童・生徒の転校費用やSNSでのいじめ等の発信者情報開示請求費用等の支援も行う。
その他、発達障害支援員の配置を拡大するほか、不登校児童・生徒への支援として校内別室指導員の全校への配置、メタバースを活用した学習支援・居場所づくりを行う。
★ 文京区 子ども預かり事業
文京区は、保育所等を利用していない生後4か月から2歳児クラスまでの子どもに対し、預かり事業を行う。
区立学校では、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実のため、指導員・支援員の配置を充実させる。
また、スクールソーシャルワーカーを全校配置するための体制を構築するほか、校内の別室で過ごす児童・生徒に対する支援を行う指導員を拡充する。
また、令和5年度9月から実施している区立小中学校の給食費無償化の継続に加え、国立、私立小・中学校等に通う児童・生徒の保護者に対し、給食食材費相当額を支給する。
その他、育成室(学童保育)の待機児童解消に向けた取り組みや、区立小学校の改築を進める。
★ 杉並区 こどもの権利条例制定目指す
杉並区は、子どもの権利擁護の推進のため、「(仮称)子どもの権利に関する条例」の制定を目指し、「杉並区子どもの権利擁護に関する審議会」を開催するほか、区の子ども施策について子どもが意見表明できる場として「子どもワークショップ」を設ける。
また、子どもが家庭や学校以外に居場所を作ることができるよう、「(仮称)杉並区子どもの居場所づくり基本方針」の策定を目指す。
区立小・中学校の給食費無償化に加え、国立・私立学校等に通う児童・生徒に対しても、給食費相当額の給付金を支給する。
その他、区立児童相談所の設置準備や、ヤングケアラーへの支援を行う。
★ 台東区 学童保育待機児童対策で民間施設の誘致・開設
台東区は、令和4年6月に成立し、今年4月に施行される改正児童福祉法において、区市町村は、全ての妊産婦・子育て世帯・こどもの包括的な相談支援を行う「こども家庭センター」の設置に努めるものとされる。これを受け、区は今年4月、母子保健と児童福祉の一体的に相談支援する「こども家庭センター」の機能を備えた支援体制を整備する。
こどもクラブ(学童保育)の申請数および待機児童の増加を受け、民設こどもクラブを誘致・開設するほか、放課後子供教室の実施校を拡大する。
グローバル教育の推進のため、区立中2校をグローバル教育重点校とするほか、コロナ禍で中止していた中学生海外短期留学派遣事業を再開する。
また、従来小学6年生を対象としていた体験型英語学習施設での校外学習の対象に、小学5年生を新たに加える。
★ 墨田区 保健所・子育て・教育複合施設を開設
墨田区は、保健所・子育て・教育の機能を持つ複合施設「すみだ保健子育て総合センター」を今年11月に開設し、包括的な支援機能を強化する。
また、同複合施設内に教育センターを開設し、不登校児童・生徒への支援や幼児教育の支援などを行う。保健衛生部門や子育て支援部門とも連携し、効果的な支援を図る。
また、「墨田区子ども・子育て支援総合計画」と「子ども・若者計画」を含めることを想定した「(仮称)墨田区こども計画」を策定する。
その他、児童館の整備・改修や、待機児童解消のための学童クラブの拡充、自閉症・情緒障害等特別支援学級の開設に向けた準備などを行う。
★ 中野区 こどもたちを中心とした学校づくり こどもの意見に予算付け反映へ
中野区は、子どもたちが表明した意見、考え、思いを尊重し、子どもたちの意見等を生かした教育活動・環境改善を実施する。学校を良くするためにこどもたちが出した意見を実際に移せるためのシステムを作る。予算額は区立小学校1校当たり20万円、区立中学校1校あたり30万円。
また、子どもが文化・芸術に触れる機会を増やすため、文化・芸術の鑑賞・体験機会となる事業の認定制度を開始するとともに、(仮称)子ども・若者文化芸術振興基金を創設する。また、子どもの文化・芸術活動や区内学校の部活動に対して、ホールなどの区有文化施設すべての利用料を減額する。
区立小・中学校の給食費を区が全額補助するとともに、区立学校に在籍していない学齢期の児童がいる世帯に対し、給食費相当の支援を行う。
その他、離婚前の実質ひとり親家庭も含んだひとり親家庭に対し、転居費用や初期費用など、住まいの確保を経済的に支援するほか、経済的な困難を抱える家庭に対し、子どもの高等学校への入学時にかかる費用にあてるための支援金を支給する。
★ 豊島区 幼稚園・保育所での性被害防止対策
豊島区は、幼稚園・保育所等における性被害防止対策のため、簡易更衣室等の設置やカメラによる保育の記録などを行う。
小学校において、モニター等に表示しながら授業できるほか、動画コンテンツも充実している指導者用デジタル教科書を導入し、学習効果の向上を図る。
また、利用されていない道路予定地や区有地を活用し、子どもたちがのびのびと遊べるイベント等を計画する。
その他、学校給食の無償化を令和6年度も継続する。
★ 江東区 放課後待機児童対策で学校内に新たな活動場所
江東区は、長期化する食材費の高騰を受け、昨年10月から開始した学校給食の無償化を令和6年度も継続する。
また、学校内の放課後児童クラブの定員超過や保留児童の発生を受け、学校内に新たな活動場所を確保するほか、改修に併せた増築により、育成室を新たに確保する。
その他、ICT教育の推進や、未就園児の定期的な預かり保育、病児・病後児保育施設の新たな設置などを行う。
★ 新宿区 生活困窮世帯児童に訪問支援 学習支援対象を高卒まで拡大
新宿区は、令和6年度4月から、区立小中学校の給食費を無償化するほか、私立小中学校の生徒に対しても区立学校給食費相当額を年3回支給する。支給額は小学生が年間51,000円、中学生が年間63,000円。
また、生活困窮世帯の子どもに対する支援として小4から高校卒業までの子どもを対象に訪問支援を開始。
従来中1から中3の生徒を対象としていた学習支援「新宿進学さぽーと教室」の対象を高校卒業まで拡充する。
そのほか、部活動等の全国大会に出場する高校生への助成、子どもが在籍する団体に対する区立スポーツ施設の料金の割引、部活動指導員の配置の拡充、教員の負担軽減のための区立学校への人員配置等を行う。
★ 渋谷区 日本一美味しい学校給食目指す
渋谷区は、区立小・中学校の給食費を区が全額補助し、保護者負担を無償とする。
また、給食費の単価を昨年度比で135%増加させ、給食のメニューの工夫・グレードアップさせ、日本一美味しい学校給食を目指す。
また渋谷区立小中学校すべてで午後の授業を「探究学習」に変更する。
その他、部活動の地域移行を拡充させるほか、区立小中学校の建て替え計画や設計、仮校舎の建設工事を進める。
★ 荒川区 フリースクール授業料支援
荒川区は生活指導上の課題を抱える子どもたちに対する支援を強化するとともに、フリースクール等に通う児童生徒に対する授業料支援を実施する。
また、小学校において外国人英語指導員の配置の拡充や、小学6年生の体験型英語学習施設での英語学習体験など、英語教育を強化する。
その他、ICT教育の充実、学童クラブの充実、ひとり親家庭の支援などを実施する。
★ 世田谷区 生活保護世帯出身の大学生に給付型奨学金
世田谷区は、大学進学率の低い生活保護世帯出身の大学生等に対し奨学金を給付し、国の制度の狭間にあり、大学進学率の低い生活保護世帯出身の若者の進学を支援する。
また、意見表明等支援員が、一時保護所・児童養護施設等に訪問し、児童相談所が関わる子どもの意見表明や意見形成を支援する。
その他、不登校児童・生徒への支援を拡充する。
★ 中央区 学童クラブ待機児童対策
中央区は、学童クラブの待機児童や人口増加に対応するため、小学校内に新たに学童クラブを開設し、既存の放課後子ども教室と一体的に運用するほか、民設民営の学童クラブを誘致する。
また、区立幼稚園において弁当給食を開始し、希望者に対し無償で弁当を提供する。
その他、学校図書館支援センターの開設準備や、区立幼稚園・小中学校の標準服のリユース事業を開始する。
★ 北区 こども向けアンガーマネジメント教育導入 児童館に校外指導員配置で不登校対策
北区では今年4月1日に『(仮称)東京都北区子どもの権利と幸せに関する条例』を施行する予定。
また、児童・生徒が怒りや悲しみなどの感情をコントロールする力を育成するため、アンガーマネジメント教育を導入する。
不登校児童・生徒への支援として、児童館3館に校外別室指導員を週5日配置する。
その他児童相談所等の複合施設の開設に向け整備、中学校部活動の地域連携の推進等を行う。
★ 大田区 学びの多様化学校を開室
大田区は令和6年度も区立小中学校の給食費の無償化を実施する。
また、不登校対策への推進のため、小学校1校に分教室型の学びの多様化学校を開室するほか、特別支援の推進のため自閉症・情緒障害特別支援学級を設置する。
その他、国際教育を推進するほか、小5・小6を対象とした区独自教科の新設に向け研究をすすめる。(編集部)
『interschool journal』(2024年02月06日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/34983545archives/20240206html
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