★ <東南アジアからの報告2>
今も世代を超えて継承されている天皇の軍隊の戦争責任追及の姿勢
皆さま 高嶋伸欣です
先送りにしていた<東南アジアからの報告②>をお届けいたします。
東南アジアではウクライナのことを気にしながら、日本の戦争責任を忘れずに語り継ぐ取り組みがマスク生活のコロナ禍の下でも継承されていました。
そうした取り組みの中の一つの話題を報告します。
最初にクイズです。
<Q1> 添付資料1は、私が1993年に横浜地裁に提訴することになった『新高校現代社会』(一橋出版)の1992年度検定で、集中的に検定意見を付けらた2頁ですが、この中に検定官が「絶対に認めない!」と強硬に問題にした部分があります。
それは、どの部分でしょうか?
*教室では<Q>を生徒に投げかけて、反応を示せなくなると生徒は「先生、ヒント!」と要求してきます。
そこでヒントです。
<ヒント> 添付資料2の写真は、今年8月14日(日)にマレーシアのネグリセンビラン州で挙行された日本軍による住民虐殺犠牲者追悼式の会場に置置かれたスローガンの幕です。
このスローガンと添付資料1の内容とを照合して見て下さい。
<絵解き1> 注目して頂きたいのは、両方にある「蝗軍」の2文字です。
<Q2> この2文字が日本軍(天皇の軍隊)を表すものとして、用いれていることはお分かりと思いますが、「蝗」の文字は普段目にすることはあまりありません。
さて、「蝗」の意味は?
*高校の授業でもこの「蝗軍」という見出しのあるマレーシアの新聞記事をプリントにして配り、生徒にこの問いをなげかけました。
生徒はまた沈黙の時間に陥りまさす。けれどもしばらくすると「うーん、もしかするとイナゴかなあ?!」というような声が挙がるので、それまで待ちます。
生徒は漢字に強いのではなく、中学までの学習で日本軍が中国戦線で焼き尽くし奪いつくす「三光作戦」と呼ばれる蛮行をくりかえしたことを学習していて、それから「蝗」の虫へんとをむすびつけるという連想を逞しく、やってのけていました。
<絵解き2とその後> 「蝗」は「イナゴ」です。
この解答が分かった途端に教室中は「すごい」「なるほど」「うまい」「ピッタリの表現だ」「さすが漢字文化」などの声が飛び交って大騒ぎです。
*こうした反応を何度も経験していたので、「現代社会」教科書にも好適な教材として盛り込んだのが、添付資料1の紙面です。
ところが、検定官は前出のようにこの「蝗軍」の2文字を教科書に記載するのは、絶対に認めないという姿勢でした。
<Q3> 検定官はなぜ「蝗軍」表記にこだわったのでしょうか?
<解答3> 「生徒が強い関心を示す極めて効果的な教材であることが分かってるのに、なぜそんなこだわるのですか」という問いに、検定官は横を向いて「皇(すめらぎ)に虫けらの虫へんを付けた文字で日本軍を表すなんてなんだ」とつぶやいたのです。
<検定の結末>
検定の場で執筆者は「蛇に睨まれたカエル」同然で、どんな理不尽な検定意見であろうと、意見の1件に抵抗して拒否しただけで教科書全体が検定不合格となり、白表紙本(検定申請本)作成までの1千万円ほど(当時)をどぶに捨てたと同じになりますから、「蝗軍」の2文字を含む新聞の見出しは削除するしかありませんでした。
これが、1990年代前半に理不尽な圧力に押し切られた苦い体験です。
<今年の東南アジアからの教材用資料提供>
その苦い思い出に結び付く「蝗軍」の表記が、マレーシアでは現在で今も世代を超えて継承されている場面に今回出会いました。
それが、前出の添付資料2の写真です。
マレーシアでは、この写真の場合だけでなく、住民虐殺などにちなむ話題を伝える新聞記事では「蝗軍」の2文字が繰り返し使われているとのことです。
*今回は、現地でも外出を控えていたので新聞の入手が思うようにできませんでした。次の機会には確認をするよいうにします。
以上 何か学習会もどきの展開にしましたが、「蝗軍」表記に係る幾つかのエピソードを一挙に盛り込もうとしたためです。
分かりにくいところがありましたら、凝り過ぎの結果としてご容赦下さい。
以上<東南アジアからの報告2>です。
ご参考までに 転送・拡散は自由です
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます