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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

◆ 東京「君が代」裁判五次訴訟、東京地裁で10回目の口頭弁論

2023年07月23日 | 「日の丸・君が代」強制反対

  《『被処分者の会通信』から》
 ◆ 五次訴訟第10回・口頭弁論報告

原告・川村佐和(元美原)

 6月1日(木)、五次訴訟第10回口頭弁論が開かれました。天気にも恵まれ、多くの支援者が駆けつけてくださり、傍聴席は満席。入廷できなかった方もいました。久しぶりの法廷では、右陪席が交代していました。
 前回弁論で原告側は、処分説明書において、当該処分をした「理由付記の不備」という手続きの瑕疵があったことについての追加主張を準備書面(12)として提出し、これに関する求釈明を行っていました。
 これに対して都側は{今回の口頭弁論に先立って準備書面(2)【原告準備書面(12)への反論】と書証(乙B9~12号証)を提出していました。被告側は準備書面(2)において、原告側の求釈明には応じないとしています。

 今回の法廷では原告・弁護士の弁論はなく、原告側が事前に提出していた立証計画についての協議が行われました。
 平松弁護士は「意見書の作成が遅れていて、行政法についての完成は秋以降、国際法の意見書については夏ごろ完成の見込み。弁論期日は10月に入れていただいて、その後進行について協議をする場をいただきたい」と説明。
 被告側から「意見書の提出だけですませられないか」という意見も出ましたが、裁判長は「意見書の内容を見てからでないと尋問の必要があるかどうかなど、立証計画の検討はできない。10月10日までに、提出できるものは提出してほしい」と発言。
 次回期日は10月16日(月)13時30分からに決まりました。

 法廷の後は、久しぶりに弁護士会館で報告集会が開かれました。原告・支援者は40名、弁護団からは7名の参加で、充実した内容の集会になりました。
 まず平松弁護士から

行政法の研究者に、処分、とりわけ再処分が裁量権を逸脱乱用しているという点について意見書をお願いしている。セアートと国連自由権規約委員会の勧告が、日本の裁判の中でどのように位置づけられて活かされる必要があるのかという点についての意見書もお願いしている。四次訴訟控訴審で作成していただいた宗教学の島薗進先生の意見書も提出する。これらの意見書をもとに証人尋問を申請する予定だということを今回裁判所に示した」

 と、立証計画について説明がありました。
 会場から求釈明に関する質問があり、平松弁護士は「我々が求釈明で回答を求めているのは、再処分に関わって、どのような事項が考慮されて、どのような事項が考慮されなくて再処分が決められ、戒告という処分が選択されたのかという事情を明らかにしてほしいということ。処分に関わった教育庁職員課長などの証人尋問を改めて求めていくことになる」と説明しました。

 金井弁護士は、行政法の意見書のポイントは、

①理由付記の問題、
②当初の処分が出された時点での戒告処分よりも、再処分されたときの戒告処分が重くなっていること、
③セアートと自由権規約委員会勧告を、裁量権逸脱乱用の主張として組み入れる際、行政法の専門家としての組み入れ方、

 の三つであると説明しました。

 澤藤弁護士

憲法論だけではなく、裁量論でも勝ちたい、戒告処分も裁量権逸脱だと問いたい。処分をする場合、どうしてそういう処分をしたのかということを付記しなければならない。理由付記が不備であれば、それだけで処分取り消しの理由になるというのが判例の立場であるし、行政手続法が定めるところ。あの時に正しい処分をしていればこうなったはず、という不利益よりも過大な不利益があっては絶対にならないというのが大原則。また、最初から戒告処分にするというのは重すぎるのではないかということを、原点に立ち戻って考えたい。戒告処分はやはり重い。たくさんの実害が生ずる。もっと程度の軽い制裁もある。原告の不利益の重みを考えてこういう処分に至ったのかということを、当時処分を出した担当職員(敵性証人)を呼び出して問いただしたい。意見書を作成した3人の学者証人、敵性証人、原告証人という三つの塊で今回立証計画を出した」

 と熱く語ってくださいました。

 山本弁護士からは

「条約に法的拘束力があるというのは政府も認めているし、裁判所も前提にしている。ただ自由権規約の条文の第一義的解釈の権限はそれぞれの国にあるので、勧告自体に法的拘束力はない。裁判でも争いになっているのはその部分。条約加入国である日本で国際機関から勧告を受けてそれを無視していいのかということが今回問題になっていることで、それはおかしいということを学者に書いていただく。裁判官に対しては、それだけ重要な文書だから法解釈によって、きちんと考慮して判断すべきだということを言いたい」

 と、国際人権の意見書についての説明がありました。

 多くの質問意見が出ましたが、中でも一次訴訟元原告の方からの、訴訟進行に関する厳しい感想には、大いに励まされました。
 私たち五次訴訟の原告はたったの15人ですが、この裁判には一次訴訟から四次訴訟までの原告たちの思いがこもってることを改めて感じました。今後ともご支援をよろしくお願いします。

 第11回口頭弁論10月16日(月)
 13時傍聴希望者集合(先着順裁判所前で案内あり)
 13時30分開廷 地裁631号法廷

『被処分者の会通信 第144号』(2023年6月16日)


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