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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「君が代」3次訴訟控訴審第1回:原告意見陳述

2015年05月27日 | 板橋高校卒業式
 ◎ 報復のように経済的負担を加重する「再処分」の不当性
   ~「戒告」を含むすべての処分を取り消す判決を!

2015年5月26日 氏名 I(原告)

 1.処分歴
 私はこれまでに、2004年2月に戒告処分、2006年3月に減給1月、2007年5月に減給6月、最高裁が減給1月の処分を取り消した代わりに都教委が科した戒告処分、今年1月に本訴訟で東京地裁が減給6月を取り消し、これを受けた都教委が代わりに科した戒告処分、通算で5回の処分を受けました。
 全て10.23通達に基づく職務命令違反が理由です。都の履歴上では戒告処分3回に訂正されていますが、都教委は減給処分取り消しの告知も、違法な処分を行った事に対する謝罪もしておらず、逆に再度の処分を公表しました。また、都教委は処分規定を改訂して元の減給処分以上の経済的不利益を課してきました。裁判で累積加重処分が違法だとされても、むしろ報復のように実質的な処分を累積し、経済的負担を加重してくるのです。
 都教委にこのような不当処分の繰り返しをやめさせるためには、戒告を含むすべての処分を取り消す判決が必要だと考え、陳述に立っています。
 2.これまでの経緯
 私は1961年に沖縄で生まれました。当時の沖縄は、日本に復帰する前で「戦後」が色濃く残っていました。そんな中で私は、戦争の愚かさ・平和の尊さ、そして基地の問題を自分なりに考えるようになりました。皇民化教育により、強制集団死すら受け入れるようになる戦前の教育の恐ろしさを身近な人から聞き、学ぶことも出来ました。上述の3度の不服従は、自分の生育と共に培われた信念と、過去の教育を反省する職務上の責任からなされたものです。
 「日の丸」「君が代」の強制を皮切りに、教育基本法改正、憲法解釈の変更、戦争賛美や、一部の立場に偏った教科書の推進など、行政の働きかけは明らかに戦争への道を地ならしするものになっています。そんな中、最高裁の「本件職務命令は憲法19条に違反するものではない」とする判断は衝撃的であり、残念でもありました。しかし、最高裁は思想・良心の自由に対し「間接的な制約になる」事は認めているのです。3度目の私に対する処分の半年前に予防訴訟の地裁判決が出され、その時の司法判断は、10.23通達は違憲であると明確に述べていました。私はこの判決に基づいて行動したのです
 3.再処分に関する都教委の姿勢
 2013年11月に事情聴取のために、都教委に呼び出されました。「裁判所により、処分が取り消されたので、新たな処分をするために弁明の機会を与える」というものでした。
 その際、都教委に対し「誤った処分を課された事による精神的な苦痛」に対する謝罪を求めましたが、「賠償請求は棄却されているのでその必要は無い」と言われました。裁判所の判断は「精神的苦痛に対する金銭による賠償は必要ない」であり、苦痛を与えた相手に対して謝罪をしなくとも良いという内容ではないと考えていた私は、都教委の態度に憤りを感じました。
 そして三次訴訟の地裁判決を受け、再度都教委に呼び出されました。「誤った処分をしたなら、その当時の処分を訂正するべき」と指摘をすれば「そのような規定が無い」と言い、「再処分を行う規程も無いだろう」と言うと「この場に全ての規定は持ってきていない」などと不誠実な答弁が繰り返されました。
 このような都教委の姿勢をどう考えるべきでしょうか?8年前の案件に関して再び処分を発令し、精神的苦痛と経済的な損害を与えようとする態度は、都教委の命令に従わない者を徹底的に叩いて屈服させようとする姿勢にしか見えません。このような態度は、最高裁判決の補足意見に付された「教育の現場においてこのような紛争が繰り返される状態を一日も早く解消し、これまでにも増して自由で闊達な教育が実践されていくことが切に望まれるところであり、全ての関係者によってそのための具体的な方策と努力が真摯かつ速やかに尽くされて行く必要がある」という意見や「教育行政担当者において、寛容の精神の下に可能な限りの工夫と慎重な配慮をすることが望まれるところである」とする意見を真っ向から否定していると見るべきではないでしょうか。
 4.再処分による不利益
 再処分の不利益は名誉回復がなされないことと、経済的な打撃を被ることです。
 私たち教員はタイムズという情報端末を使って普段の業務を行っています。ここには都教委からのメールによる「服務事故報告」があり、被処分者の所属校(氏名)や処分量定が記されます。「職務命令違反」が体罰やセクハラ等と同列に扱われることにも怒りを感じていましたが、何年も前の案件で再び被処分者として名前をあげられることに強い抵抗を感じます。しかも処分が誤りであったとの記述や、謝罪もありません。タイムズや都庁HPでの処分取り消しの告知と謝罪を求める私たちの要請は無視され、こちらの精神的苦痛だけがかさんでいきます。
 次に経済的な不利益についてです。都教委は懲戒処分に関する規則を改訂し、2006年に受けた減給処分よりも、現在受ける戒告処分の方が経済的不利益を被る内容にしました。その上で再処分という形で戒告を与えようとする態度は、前述と同様に司法の意見を真っ向から否定するものではないでしょうか。
 このような都教委の暴挙を止めるのは、「補足意見」としてではなく、司法の「判断」として戒告処分を含めた全ての処分を取り消す判決以外には無いと思います。
 5.結びとして
 人は様々な思想・信条をそれぞれの思考と経験を通して作り上げていきます。それは仮に少数の思想・信条であったとしても尊重されるべきものではないでしょうか?日本の憲法はそれを保障してくれていたのではないでしょうか?
 貴裁判所におかれましては、「10.23通達」や再処分に至る経緯の法制上の瑕疵だけを判断するのではなく、その内容に踏み込み、右傾化する今の時代を良い方向に導く判断を下して頂けるよう、切に願います。
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