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「君が代」3次訴訟控訴審第1回:代理人意見陳述

2015年05月27日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◎ 10.23通達および職務命令の「真の目的」に正面から向き合って欲しい
2015/05/26
控訴人ら代理人弁護士 植 竹 和 弘

 控訴人らは、本件訴訟に際し、訴状の冒頭において、愛媛玉串料訴訟大法廷判決尾崎行信裁判官の「今日の滴る細流がたちまち荒れ狂う激流となる」との警句を踏まえた補足意見、及び、ナチスへの抵抗運動を担ったマルティン・ニーメラー牧師の詩を引用し、「思想・良心の自由」と「権力の教育への介入阻止」のために、国民が裁判所に負託した重い職責を全うされるよう要請しました。
 また、一審での最終準備書面の末尾においては、最高裁判所の起立斉唱判決の多くの裁判官の補足意見も、控訴人らのやむにやまれぬ職務命令違反とそれに対する懲戒処分の応酬が教育環境を悪化させ、自由闊達な教育が損なわれることを憂慮していること、その原因が10.23通達とそれに基づく職務命令を発した都教委に起因しているからこそ、
 「強制や不利益処分も可能な限り謙抑的であるべき」(須藤裁判官補足意見)、「教育行政担当者において、寛容の精神の下に可能な限りの工夫と配慮を望む」(同)、「謙抑的な対応」(鬼丸裁判官補足意見)を都教委に求めているのであって、裁判所には、自由闊達な教育を取り戻すため、全ての処分が違憲違法であることを認定することを望みました。
 しかしながら、原審判決は、残念ながらその職責を果たすことをせず、恣意的な争点整理、10.23通達発出の目的の争点はずし、控訴人らの主張の歪曲、問題意識や心情に真摯に向き合おうとしない姿勢に終始しています。
 その認定判断の誤りについては控訴理由書において主張したとおりで、ここで繰り返すことはしませんが、特に問題なのは、控訴人らが中心的に主張してきた10.23通達およびそれに基づく職務命令の真の目的について、正面から検討せず、都教委の主張をそのまま認定している点です。
 控訴人らは、巻意見書・証人尋問に基づき、その真の目的は「国旗・国歌に対する敬意の表明、国旗・国歌によって象徴される国家それ自体に対する敬意の表明を、教員を媒介して、本来強制しえない生徒に対し、実質的に逆らえないものとして強制すること、あるいは自然なものとして刷り込むこと、すなわち、『刷り込み式愛国心教育』にあること」を明らかにしました。
 真の目的が刷り込み式愛国心教育にあることは、10.23通達以降の都教委の対応や画一的な実施によって、生徒に判断の余地がなくなったこと、内心の自由の説明が禁止されたこと、特別支援学校に対しても裁量の余地を認めなかった事、内心の自由という基本的人権を説明した教員らに厳重注意、注意、指導を行ったことからも明かでしょう。
 しかも、反対教員の処分を目的として、通達に基づく職務命令を校長に出させ、不起立教員にはこれまで累積的加重処分を行ってきました。累積加重処分の積み重ねは、反対教員の懲戒免職にまで至ります。10.23通達発出時の教育委員であった鳥海巌が反対教員をがん細胞にたとえ、徹底的に排除する旨を発言していたように、その目的は反対教員の炙り出し、排除にあることは明かです。
 流石に最高裁もこの累積的加重処分は認めませんでしたが、反対教員は決して許さないという都教委の強い意思は、最高裁判決によって減給以上の処分が取り消された教員に対する戒告の再処分を繰り返していることからも明かです。
 本件控訴人の内、原審において減給処分の取消が確定した21名の内、9名の現職教員については、早々に給与精算手続きを済ませた上、この3月から4月にかけて戒告の再処分がなされました。再処分の対象になり得ない退職者12名に対しては未だに給与精算が完了していません。このことからも、ひたすら再処分にのみ邁進する都教委の姿勢が鮮明になっており、10.23通達の真の目的が、学習指導要領の国旗国歌条項の適切な実施とか、式典の秩序維持という明示された目的を超え、反対教員の炙り出し、排除にあることが明かでしょう。
 安倍政権によって憲法が破壊されようとしている今日、控訴審においては、「思想・良心の自由」「専門職としての教師の教育の自由」「権力の教育への介入阻止」を実現するために、国民が負託したその重い職責を全うされるよう、強く要請するものであります。
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