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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

君が代不起立での処分430人関連裁判21件

2010年07月01日 | 暴走する都教委
 ◆ 職務違反での処分430人に
   君が代不起立など 関連裁判は21件


 都教育委員会は、今年4月の入学式で国歌斉唱時に起立を行わなかったことによる職務命令違反だったとして、都立高校の教諭3人を懲戒処分にした。これにより、式典での国歌斉唱時の起立徹底などを校長に求めた2003年10月の「10・23通達」以降の職務命令違反による処分者は、延べ430人になった。処分者ほ年々減ってきているものの、処分などから波及した関連訴訟は現在、21件が係争中だ。
 都教委は、2003年10月23日、都立高等学校長と都立盲・ろう・養護学校長あてに、入学式や卒業式などでの国旗掲揚、国歌斉唱の実施指針を盛り込んだ通達を出した。いわゆる「10・23通達」で、「学習指導要領に基づき、入学式、卒業式などを適正に実施すること」を求めている。
 実施指針は「国歌斉唱に当たっては、式典の司会者が『国歌斉唱』と発声し、起立を促す」「教職員は会場の指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」など行動を具体的に示しており、通達は「教職員が本通達に基づく校長の職務命令に従わない場合は、服務上の責任を問われることを教職員に周知すること」も合わせて求めた。
 この10・23通達が出された後、都教委では従来から実施していた卒業式や入学式における国旗掲揚・国歌斉唱・会場設営などに関する調査の項目に実施指針を反映させ、教職員の不起立などの状況も含めて調べるようになった
 都教委によると、10・23通達以降、不起立などの職務違反での処分者は延べ430人。初年度の03年度は周年行事で10人、卒業式で193人、翌04年度は入学式で40人、卒業式で53人が処分された。年々減少し、09年度には入学式で1人、卒業式で4人、10年度は入学式で3人と、ひとケタ台になっている。
 その一方、処分を受けるなどした教職員らが起こした通達関連の訴訟は、現在21件に上る。論点としては、▽起立斉唱を強制されることは思想・良心の自由などを侵害するとして、処分の事前差し止めなどを求めた「予防訴訟」、▽処分の取り消しを求めるもの、▽処分の結果、再雇用が不採用となったことなどを争うものの三つがある。
 また、裁判の段階別でみると、地裁で係争中が12件、高裁で係争中が5件、最高裁に上告されたのが4件となっている。
 21件のうち、高裁で係争中の5件は、「予防訴訟」を除く4件で都側が一審で勝訴。「予防訴訟」については一審では敗れ、「通達と一連の指導は、教育の自主性を侵害し、教育基本法10条1項所定の不当な支配に該当するもので違法。教職員の思想・良心の自由に対する制約となる」との判断が下された。
 最高裁にかかっている4件は、2件については一審も二審も都側勝訴だが、2件については一審が一部敗訴、二審で勝訴となっている。都教委では「一部敗訴といっても、再雇用での採用を期待していたのに採用されなかったという原告の期待権に反するというのが敗訴の理由。思想・良心の自由を定めた憲法19条に反するとされたわけではない」とする。
 「君が代」をめぐっては、ビアノ伴奏を拒否した教員への処分は憲法の思想・良心の自由を保障する憲法19条に反しないとする最高裁判決が07年2月に出されている。
 「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」では、「この事案は10・23通達以前の処分であり、通達後に出された処分とは本来、性質が違うが、この判決以後、地裁、高裁の下級審が追随する判決を出すようになり、我々にとっては厳しい局面。だが、今後、最高裁での逆転勝訴を目指す」と話す。
 過去の事例では、処分1回で戒告、2回で減給10分の1(1ヶ月)、3回で同(6ヶ月)、4回で停職(1ヶ月)、5回で同(3ヶ月)、6回で同(6ヶ月)と順に重くなっている。
 処分者の減少は、不起立などの教職員が減っていることの裏返しでもある。被処分者の会では「通達に反対、あるいは、いきすぎと考える教職員は非常に多い。しかし、1回の不起立で退職後の継続雇用の道を断たれた人は多く、失業への恐怖や、戒告、減給、停職で経済的不利益を被ることへの不安が強い。教育行政の締め付けが徐々に現場に浸透し、教員が自由にものを言えない状況が広がっている」と訴えている。
 『都政新報』(2010/6/11)

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