
◆ 今年も「君が代」起立斉唱の命令が出る
志水です
大阪に、全国で唯一、公立学校の教職員に「君が代」起立斉唱を義務づける「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」が施行され、今年で12年目になります。
本年も1月20日、大阪府教育委員会はほぼ昨年通りの卒業式・入学式における「君が代」強制文書を府立学校の校長ならびに教職員に出しました。
昨年11月3日には、国連の自由権規約委員会が公表した「総括所見」において、学校における国旗・国歌強制問題に関して下記勧告が出たところですが、まるでそんなことはお構いなしです。
パラ38
当委員会は締約国における思想良心の自由の制約に関するレポートに懸念を持って留意する。当委員会は学校の儀式において国旗にむかって起立し国歌を斉唱することに対する静かで破壊的でない不服従の結果、教師が最高6ヶ月の停職を含む処分を受けたことを懸念する。更に儀式において生徒に起立を強制するために物理的な力が用いられたという申し立てに対しても懸念を抱く。(18条)
パラ39
締約国は思想良心の自由の実質的な行使を保障し、規約18条で許容された制約の厳密な解釈を越えてその自由を制約するいかなる措置をも控えるべきである。締約国は自国の法律とその運用を規約第18条に適合させるべきである。
(国際人権プロジェクトチーム 仮訳)
そもそも、昨年の「日の丸・君が代」強制反対大阪ネットの教員委員会交渉においても、私たちは、通知・通達における重大な過ちを指摘しました。
教育長通達には、次のような表現があります。
「国旗掲揚及び国歌斉唱は、児童・生徒に国際社会に生きる日本人としての自覚を養い、国を愛する心を育てるとともに、国旗及び国歌を尊重する態度を育てる観点から学習指導要領に規定されているものである」
これは、「大阪府における在日外国人施策に関する指針」に基づき、大阪府教育委員会が進める在日外国人教育の方針を真っ向から否定すると言っても過言ではありません。
とりわけ、教育委員会は「在日韓国・朝鮮人問題に関する指導の指針」を策定し、「在日韓国・朝鮮人児童・生徒が在籍している歴史的経緯や社会的背景を正しく認識させるとともに、朝鮮半島の文化や歴史についての理解を深めさせるよう努めること」とし、在日韓国・朝鮮人児童・生徒が本名を使用することが、「アイデンティティの確立にかかわることがらである」と示しています。
大阪の学校には、日本とは異なる民族的ルーツを持つ子どもたちが少なからず存在します。にもかかわらず、教育長の通達にある「日本人としての自覚を養い、国を愛する心を養う」との表現は、教育委員会自らが策定する在日外国人の指針に背反するものに他なりません。戦中に行われたいわゆる「同化政策」と軌を一にするものです。
また、「学習指導要領に規定されている」とありますが、これは誤りです。
学習指導要領の解説にはたしかにこのような記載がありますが、学習指導要領にはありません。そして学習指導要領解説は法的拘束力はないとするのがもっぱらの解釈です。
大阪府教育委員会は
これらの誤りを一向に認めず、
そして国際機関である国連の人権規約委員会の勧告にも耳を傾けず、
何より卒業生や入学生に対する一片の祝意もないままに、
ただ教職員に「君が代」起立斉唱の命令を与え、
卒業式や入学式を、その命令に従う場としています。
私たちは、本年も、あらゆる方法で、このような条例、通達、命令に対して多くの方々とともに抗していくつもりです。
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