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1時間の団交が強要未遂に 「がくろう神奈川」弾圧

2011年11月27日 | 平和憲法
 『週刊金曜日』<メディア一撃>
 ◆ 1時間の団交が強要未遂に 「がくろう神奈川」弾圧
中嶋啓明(なかじまひろあき・共同通信社記者、「人権と報道・連絡会」会員)

 10月26日、知人逮捕の報に接し驚いた。労働組合の団体交渉が「強要未遂」にでっち上げられたと聞いて、また驚いた。
 だが、もっと驚いたのは、メディアの対応だった。後に入手した各紙は、容疑事実を次のように伝えている。
 《学校事務職員労働組合神奈川の幹部だった4人は2009年3月12日、横浜市栄区の市立中学校長室で、当時の校長(●)に団体交渉を申し入れ、同校で勤務する○○容疑者についての08年度の人事評価を上げるよう要求。退室しようとした校長を阻止し、「組合としてあらゆる手段を講じる」「校長の職権乱用」などと大声を上げながら約1時間にわたって強要した疑い。》(『読売新聞』、原文では●は年齢、○は実名)
 「人事評価で強要未遂容疑公立校職員ら4人逮捕」と二段見出しをつけたこの記事が掲載されているのは、横浜地域版。
 在京大手紙・ブロック紙で本紙に記事を載せた新聞はなく、いずれも地域版で、『朝日新聞』や『東京新聞』はべタ記事だ。共同通信などは記事にしていなかった。
 「約1時間」の「団体交渉」で「組合としてあらゆる手段を講じる」などと迫ったことが、「強要未遂」???。
 小野浩司(おのこうじ)警部補ら神奈川県警公安三課と栄署は、二年半も前の団体交渉を事件化し、自宅や職場にまで家宅捜索を強行して組合ニュースなどを押収した。
 あからさまな政治弾圧であることは、発表内容からだけでも容易にわかりそうなものだが、この扱い。
 違法、不当な権力行使で大きなニュースだと思うのとらだが、各メディアの捉え方は、紙面の埋め草程度の小さな事件というもののようだ。
 いずれも通常の逮捕報道のパターン通り警察の発表を右から左に垂れ流し、『読売』や『毎日新聞』は逮捕された四人全員の名前を、住所、年齢とともに書いた。
 四人が参加する組合「がくろう神奈川」や岡部玲子弁護士らによると、団体交渉は組合側からの申し入れを元校長が受け入れて行なわれたもので、人事評価についても交渉の議題にすることは当事者同士が事前に承知していたという。
 労使交渉で両者の主張が平行線をたどれば厳しい議論になるのは避けられず、使用者の側が一方的に交渉を打ち切ろうとすれば抗議し、以後の取り組みの強化を通告して追及するのは当然のことだ。
 そもそも人事評価制度に反対しているがくろう神奈川は、組合員が受けた著しく低い不当な評価を、せめて標準的なものに修正するよう要求したにすぎない問題の人事評価は、市の教育委員会からさえも不適切と指摘され、一部が訂正されたほどのものだった。
 がくろう神奈川は、手続き的にも道義的にもまったく正当な労働組合活動に対する警察権力の不当介入、不当弾圧そのものだと訴えている。
 木田佳央人(きだかおと)裁判官の決定を受けて身柄勾留された四人は九日目の11月2日、勾留理由開示の直前に釈放された。嫌がらせのための身柄拘束、逮捕のための逮捕だったことは明らかだ。
 釈放は『朝日』などが同じく地域版で小さく報じただけで、『読売』などはまったく無視
 釈放されると思い、最初から記事にしなかったという記者もいたようだが、批判意識が欠けていると言われても仕方ない。
 知人は「組合活動の重要性に対する認識が希薄で、政治的なフレームアップ事件に対する感度が鈍い。警察発表をうのみにし、権力チェックの姿勢が欠けている。実名報道の被害を理解していない対応は、警察よりタチが悪いとも言える」とメディアを批判している。

『週刊金曜日』(2011/11/18 第872号)

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