《アクション・アンサンブル資料》
★ 高嶋伸欣さん要請書
委員長 木村 孟 殿
教育長 大原 正行 殿
貴委員会が、2010年度卒業式を含め、東京都立諸学校での教育活動について、「日の丸・君が代(国旗・国歌)」の取り扱い及び位置づけに関した校長職による個別職務命令書等の伝達などを、指示している点に対し、以下の根拠をもって、私は反対します。さらに、こうしたこれまでの指示を早急に撤回し、この間に誇りと権利を侵害された人々の名誉回復と損害の補償をすみやかに実施されることを、ここに要請します。
〈理由〉
教育基本法の全面改訂に合わせて大幅に改正された現行学校教育法に於いては、新たに「第2章・義務教育」の条項が設けられ、その第21条で10項にわたって列記した〈義務教育の目標〉の第1項において「公正な判断力」育成が明記されています。
この目標達成のためには、複数の見解・解釈等を児童・生徒に提示することが必須条件であることを、東京都教育委員会自身が東京地裁の法廷に提出した文書(2007年9月27日、平成18年(行ウ)第478号事件「準備書面(3)」)において明確に指摘しています。
学校教育は、教科教育だけでなく課外活動、特別教育活動などを通じて実施されるものであり、卒業式・入学式等の儀式においても、学校教育法の規定を遵守した教育の実施を保障する教育行政が義務づけられているはずです。
学校教育法は、国会審議を経て制定された法規であり、文部科学省による官報告示によってのみ法的拘束力を有するとされている学習指導要領よりも上位の法規です。
その上位の法規の規定に照らして不整合の状況を生じさせている学習指導要領の解釈と運用を強行している貴教育委員会の行政行為は職権乱用であり、違法です。
この認定は、第3次家永教科書裁判の東京高裁川上裁判長判決〈1993.10.20〉において示された判断基準であり、この基準に対して文部省(当時)はなんら反論できず、同裁判の最高裁判決(1997.8.29)においても、この判断基準によって国側の敗訴を確定させられ、国側は家永氏に対して国庫から40万円の賠償金を支払わせられたものです。
ちなみに、上記改正学校教育法は2007年に改正施行されたものです。にもかかわらず、東京都教育委員会は、第21条が新設された事態に即した対応を「日の丸・君が代」に関する教育行政において今日まで実行されていない点において、不作為の責任を問われかねません。早急に是正措置が必要であると思料されます。
また、上記、2の件は前出1で言及した東京高裁川上判決が職権乱用による違法行為と認定する基準とした厳密、厳格さ、が必須とされる法規を恣意的便宜的に解釈と運用をしている場合に該当する、と考えられます。法律が大幅に改正されたにもかかわらず、その解釈と運用を是正していないためです。
この点においても、貴委員会の最近数年間の「日の丸・君が代」に関する職務執行には違法の疑いが濃いと思料されます。
さらに、学習指導要領に一定程度の法的拘束力があると認定した「旭川学力テスト事件」最高裁判決(1976年5月21日)にしても、あくまで学習指導要領が大まかな大綱的規定にとどまることを前提にしたものです。
しかも同判決は、教育行政の行き過ぎを防止する意味で「例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上からも許されない」と明確に指摘しています。東京都教育委員会は、ここに例示された通りの「強制」を、「日の丸・君が代」に関する指示等でし続けているという点で、この最高裁大法廷の判例に違反していると思料されます。
以上の各理由項目の内容をもってするならば、改正学校教育法「第6章 高等学校」第51条の「高等学校教育の目標」第3項にある「健全な批判力」の育成を図るために、教材事例として、昨今の都教委による「日の丸・君が代」強制の行政実態は、きわめて好適な素材であると思料されます。
都教委が採択した扶桑社版中学社会科教科書をめぐる問題が、すでに現行版高校教科書に記載され、検定に合格している事実に鑑み、「日の丸・君が代」強制をめぐるこうした問題が高校教科書等に記載されるのも時間の問題と思われます。
大人以上に強い正義感を示すことの多い若者たちの「教室での審判」の場に東京都の恥が晒されることは、都民の一人として耐えがたい思いです。
主権在民の日本社会において、不条理な状況を放置したままにしてはならないことを、大人が若者から学ぶのは恥ずかしい限りです。私たち大人社会の責任で是正措置をただちに実行すべきです。
以上
★ 高嶋伸欣さん要請書
2011年3月9日
東京都教育委員会委員長 木村 孟 殿
教育長 大原 正行 殿
琉球大学名誉教授 高嶋 伸欣
東京都杉並区在住
東京都杉並区在住
要 請 書
貴委員会が、2010年度卒業式を含め、東京都立諸学校での教育活動について、「日の丸・君が代(国旗・国歌)」の取り扱い及び位置づけに関した校長職による個別職務命令書等の伝達などを、指示している点に対し、以下の根拠をもって、私は反対します。さらに、こうしたこれまでの指示を早急に撤回し、この間に誇りと権利を侵害された人々の名誉回復と損害の補償をすみやかに実施されることを、ここに要請します。
〈理由〉
教育基本法の全面改訂に合わせて大幅に改正された現行学校教育法に於いては、新たに「第2章・義務教育」の条項が設けられ、その第21条で10項にわたって列記した〈義務教育の目標〉の第1項において「公正な判断力」育成が明記されています。
この目標達成のためには、複数の見解・解釈等を児童・生徒に提示することが必須条件であることを、東京都教育委員会自身が東京地裁の法廷に提出した文書(2007年9月27日、平成18年(行ウ)第478号事件「準備書面(3)」)において明確に指摘しています。
学校教育は、教科教育だけでなく課外活動、特別教育活動などを通じて実施されるものであり、卒業式・入学式等の儀式においても、学校教育法の規定を遵守した教育の実施を保障する教育行政が義務づけられているはずです。
学校教育法は、国会審議を経て制定された法規であり、文部科学省による官報告示によってのみ法的拘束力を有するとされている学習指導要領よりも上位の法規です。
その上位の法規の規定に照らして不整合の状況を生じさせている学習指導要領の解釈と運用を強行している貴教育委員会の行政行為は職権乱用であり、違法です。
この認定は、第3次家永教科書裁判の東京高裁川上裁判長判決〈1993.10.20〉において示された判断基準であり、この基準に対して文部省(当時)はなんら反論できず、同裁判の最高裁判決(1997.8.29)においても、この判断基準によって国側の敗訴を確定させられ、国側は家永氏に対して国庫から40万円の賠償金を支払わせられたものです。
ちなみに、上記改正学校教育法は2007年に改正施行されたものです。にもかかわらず、東京都教育委員会は、第21条が新設された事態に即した対応を「日の丸・君が代」に関する教育行政において今日まで実行されていない点において、不作為の責任を問われかねません。早急に是正措置が必要であると思料されます。
また、上記、2の件は前出1で言及した東京高裁川上判決が職権乱用による違法行為と認定する基準とした厳密、厳格さ、が必須とされる法規を恣意的便宜的に解釈と運用をしている場合に該当する、と考えられます。法律が大幅に改正されたにもかかわらず、その解釈と運用を是正していないためです。
この点においても、貴委員会の最近数年間の「日の丸・君が代」に関する職務執行には違法の疑いが濃いと思料されます。
さらに、学習指導要領に一定程度の法的拘束力があると認定した「旭川学力テスト事件」最高裁判決(1976年5月21日)にしても、あくまで学習指導要領が大まかな大綱的規定にとどまることを前提にしたものです。
しかも同判決は、教育行政の行き過ぎを防止する意味で「例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上からも許されない」と明確に指摘しています。東京都教育委員会は、ここに例示された通りの「強制」を、「日の丸・君が代」に関する指示等でし続けているという点で、この最高裁大法廷の判例に違反していると思料されます。
以上の各理由項目の内容をもってするならば、改正学校教育法「第6章 高等学校」第51条の「高等学校教育の目標」第3項にある「健全な批判力」の育成を図るために、教材事例として、昨今の都教委による「日の丸・君が代」強制の行政実態は、きわめて好適な素材であると思料されます。
都教委が採択した扶桑社版中学社会科教科書をめぐる問題が、すでに現行版高校教科書に記載され、検定に合格している事実に鑑み、「日の丸・君が代」強制をめぐるこうした問題が高校教科書等に記載されるのも時間の問題と思われます。
大人以上に強い正義感を示すことの多い若者たちの「教室での審判」の場に東京都の恥が晒されることは、都民の一人として耐えがたい思いです。
主権在民の日本社会において、不条理な状況を放置したままにしてはならないことを、大人が若者から学ぶのは恥ずかしい限りです。私たち大人社会の責任で是正措置をただちに実行すべきです。
以上
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