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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

全動労裁判で勝利判決

2008年02月05日 | 平和憲法
 ◎ 採用差別 全動労裁判 損害賠償命じる
 東京地裁 旧国鉄の不法を認定


 1047名のJR不採用事件の早期解決をめざして闘い続けてきた全動労争議団・原告団と遺族58名が、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備機構(鉄道運輸機構)を相手に損害賠償を求めていた裁判で、東京地裁民事11部(佐村浩之裁判長)は1月23日、被告の不法行為を認定、原告一人当り550万円(遅延損害金を含め総額6億3800万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。
 全動労争議団・原告団と弁護団、争議団・原告団が所属する全日本建設交運一般労働組合、全労連国鉄闘争本部は同日、連名で鉄道運輸機構と政府に対し、「採用差別事件の全面解決のための交-渉テーブルに着くことを強く求める」という声明を発表した。

 全動労裁判は2004年12月27日に提訴。賃金・退職金・年金の経済的損害に精神的損害を加え、一人当り5500万円(総額31億9000万円)の損害賠償請求裁判だ。3年間の弁論は11回に及び、原告10名が分割・民営化当時の北海道9箇所の元職場における状況と総論について、証人尋問を行った。
 そのなかから、判決の判断基準となった争点は①JR採用名簿に選定しなかったのは不法行為に当たるか否か、②損害賠償請求権は民法724条により時効が消滅したか否かの2点に絞られた。

 そして判決は、不選定の不法行為性について、分割・民営化に協調的だった動労と比較し、「労働組合の所属関係を採用候補者の選定判断に反映させることは、国鉄が負う中立保持義務に反する」とし、「本件不選定は民法上の不法行為に当たる」と判断した。
 また、消滅時効の成否について、原告らが「損害」を知った時期は、JRに救済を求めた労働委員会命令の取消訴訟が03年12月22日の最高裁判決により確定した時点とし、1987年4月のJR移行時点をもって時効は成立しているとする被告の主張を退けた。

 判決を受けて、同日直ちに鉄道運輸機構に対する強制執行が行われた。立ち会った弁護団によると、金庫はからっぽ、そのため代表理事、役員、監事らのデスク、ソファ、ロッカーに差押えシールが貼られた。鉄道運輸機構は同日、控訴。全動労側も控訴する。
 今回の全動労判決によって救済の流れは固まった。国労組合員に対する不当労働行為を認め、一人500万円の慰謝料支払いを命じた05年9月15日の鉄建公団訴訟判決を引き継ぎ、「解決」への展望と希望、自信を確かなものにした。
 次は、鉄道運輸機構訴訟判決(民事19部、中西茂裁判長)が3月13日にある。

  ◎ JR採用差別全動労裁判
 「団結を強め解決へ」


 「勝利判決です」「不当労働行為認定です」。国鉄分割・民営化で全動労を差別しJRに採用しなかったのは不法とする1月23日の東京地裁判決が伝えられた瞬間、氷雨の中を地裁前で待機していた建交労や国労の組合員、共闘関係者らの間に歓声があがった。鉄建公団訴訟判決から2年半、待ちに待った「いい判決」だ。
 夜の文京区民センターでの報告集会には250名が集い、「納得のいく解決をめざし、団結強化に力を尽くし、労組の良心と労働運動の再生をかけて闘う」ことを誓い合った。

 不安から一転、ほっと安堵の朗報だった。しかし、「喜ぶのはまだ早い」。建交労が抱えるもう一つの大闘争「全国トンネじん肺根絶原告団」の船山友衛団長が引き締めた。
 全動労の過去4回の判決で、初めて『不当』を使わなかったと笑う全動労弁護団の加藤健次弁護士。「鉄建公団判決をフォローし、より固めた。全体の政治解決に大きな役割を果たした」と判決の意義を語った。
 国労弁護団の福田護弁護士は、今回の判決が03年12月の最高裁判決の時効論を踏まえたこと、1987年4月の分割・民営化時点からの遅延損害金を認めたことを取り上げ、「これからのスタンスとなる」と指摘した。
 鉄建公団訴訟弁護団の加藤晋介弁護士は、「完全な勝利ではない」と述べ、その理由として「国鉄改革法23条の完全救済を否定し、地元JR採用の権利はないと言い切っている」ことを挙げた。しかし、「救済の流れは固まった。高裁の和解勧告でも、政治解決でも、問題はどうやってきちんと解決させるかだ」と闘いを鼓舞した。
 連帯のあいさつが続いた。国労本部の高橋伸二委員長は、「おめでとうと言うにはまだ早い。4者4団体が信頼を強固にし、この判決を礎に、一気呵成に政治解決へもっていきたい」と、解決へ強い意欲を見せた。
 国鉄共闘会議二瓶久勝議長は、「鉄建公団判決が突破口となった。当事者には解決金・雇用・年金で不満だろう。老後の不安を残さないために、3本の案を勝ち取ることを確認したい」と激励した。
 また解決行動委員会を代表して鉄運機構原告団の川端一男さんは、紋別闘争団の須藤俊春さん(55歳)の訃報を伝え、3月13日の判決に向けて大衆行動を組むと報告した。
 このほか、首都圏連絡会、学者・文化人、通信労組、全厚生、じん肺根絶原告団が連帯した。これを受けて、全動労争議団の梅木則秋団長代行が「この判決で、亡くなった者を含め63名の名誉が回復された。鉄道運機構と政府を攻め上げる」と決意を表明。遺族の渡部理子さんは、「この人生は夫から私に与えられたプレゼントです。命を削ることはやめましょう」と訴えた。

『週刊新社会』(2008/2/5火)

「国鉄闘争教頭会議HP」

http://www7b.biglobe.ne.jp/~tomonigo/

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