《実教教科書裁判 都教委を訴える会ニュース》
◆ 都教委裁判(実教出版「日本史教科書」違法排除問題)の現況について
1 2013・6・27の都教委による横暴極まる本件問題の狙いは明らかです。
それは、行政権力による教科書の実質国定化への地固め的強行であり、かつ、都教委の推進する違憲違法な日の丸君が代教育推進の挺子である。
この違法な攻撃の悪しき効果は、当時直ちに危惧されたとおり、他の自治体の教科書行政への飛び火となり、また、実教出版への萎縮効果chilling effectとして現れている(「一部自治体での強制の動き」との全くの真実の記述が、本年自ら削除されてしまった・・・)。
文科省すら認めている「強制性」に関しての、この都教委のなりふり構わない姿勢の有する、反憲法的危険性(日の丸君が代教育政策・教育統制等)・次世代の主権者である高校生へのイデオロギー的攻撃性は改めて言うまでもない、
我々は、これに対して可能な限りの闘争を行わねばならない。
2 我々はこのように考え、2014年1・2月に東京地裁に行政訴訟(国賠訴訟を付帯)を提起した。しかし、ここには多くの困難性が存在していた。
すなわち、
①本来は直接の被害者である実教出版(株)ないしそこで働く労働者自身による都教委に対する闘争が開始されるべきであった。しかし、それは労働組合によっても、一定の抗議集会は別として殆ど全くなされなかった。そこで我々は、
a 自身が東京都の主権者である立場から東京都・都教委に対し声を挙げ
b たとえ外野勢力としてではあっても、見識ある教科書である実教出版の本件教科書防衛のために都教委に対する闘いを挑んだのである。
②しかし、法律的には、その立場の間接性、およびこれに規定された法的闘争戦術の一定の迂遠性ゆえに、種々工夫はしたが、どうしても限界があった。
3 戦前の明治憲法下の行政訴訟法学・訴訟制度の影響の強い、日本の行政訴訟法規は、人民が主権者として行政権力を監視し、違法不当な行政行為を規制するには、種々の不当な制約が設けられている。
例えば、本件なども我々が都教委の行為について直接に争うことは不可能とされている。そこで、住民監査請求関連訴訟という形式をとらざるをえなかったのであった。
4 受訴裁判所である(行政事件集中中部)東京地裁民事51部(小林宏司裁判地長)はそれでも、本件を行政訴訟として構成し、審理を進めた。
しかし最終的には、東京都の立場に立ちきり、「強制性」に関する都教委の逃げ口上を許容する一方、我々に対する不当な立証制限を行った(本件にあっては、最低限、佐藤昭夫先生・高嶋伸欣先生の人証調が必須であった。しかし、裁判所はこれを不当に拒絶した)。そして一方的な結審を強行し、判決日の指定まで行ってしまった。
このような訴訟経過・裁判所にあっては公正な訴訟を期待できないことが明らかであるので、我々は本年2月22日に、係属部の3人の裁判官に対する忌避申立を行った。
東京地裁民事11部がこの忌避申立を不当に却下したので、現在東京高裁に即時抗告申立中である。
仮に、この抗告も不当に却下された場合には、進行が停止していた民事51部での手続が復活するに至り、判決期日が指定されることになる(抗告却下決定に対しては特別抗告を行う予定であるが、これには不当にも原決定に対する執行停止力が認められていないので、地裁の手続が再開される場含が多い)。
5 判決に至った場合、その重要論点は、
①都教委〈10・23通達〉による学校現場の状況について、「強制性がある」との明言が判決中でなされるか否か。
②原告の精神的損害について、法益侵害性を認めるか否か等である。
遺憾ながら現在の司法状況にあっては、狡猾な裁判所がっまらない「理由」を述べ立てて、①についての明言から逃避しようとする可能性も少なくないが、そのときは高裁・最高裁まで、粘り強く「NO」の声を挙げてゆく必要があるであろう。
本件にあっては、何よりもまず、この違法不当極まりない「実教出版教科書」問題に対して、主権者である都民を中心として、これに対する鮮明な「NO」の声が挙げられ、大衆的に抗議闘争が取組まれたということの意義が大きい。
<何をやってもやり放題、ということでは絶対にないのだぞ!>ということが、現実的な形を以て突き出されるということは、歴史に於いて極めて重要である。あくまで声を挙げ続けるということで、確実に進んでゆきたいと考える。
6 なお、その憲味では、今回提起したハイヤー支出問題に関する訴訟(※第二次訴訟)が、大きい意義を有している。
実に、2013・6・27を強行するため官僚的伏線として、この違法支出が行われていた事が、「都教委を訴える会」の増田都子氏の努力によって暴露されたのである。
我々は、これに対して住民監査請求を行い、更に行政訴訟を提起した。今回の問題は、その財務会計性が明白である。
7 しかるに、受訴裁判所である民事第51部は、一定の煩項な理由を述べ立てて国賠請求訴訟を分離して民事第四に移送し、残る行政訴訟を却下してしまった(第一次訴訟の小林裁判長に比して、その更なる反動性・反主権者性が明らかである)。
8 なお、現在提訴準備中である第二次訴訟の2次提訴(国賠訴訟のみに絞り、原告を都民に限定しない)も地裁民事第4部に配点されることになる可能性が高いと考えられるので、結果的に、全体で1箇の国賠訴訟として全員で取組む形になるだろうと予想されます。
行政専門部ではない一般部で審理された方が、事件の進行・展開について、より可能性があるとも言えないわけではない。このようにして更に、都教委に対して継続的・総合的に闘ってゆく陣形が、是非形成されるべきであると考えます。
『実教教科書裁判 都教委を訴える会ニュース 第5号』(2016年4月20日)
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◆ 都教委裁判(実教出版「日本史教科書」違法排除問題)の現況について
2016・4・3 弁護団 大口昭彦
1 2013・6・27の都教委による横暴極まる本件問題の狙いは明らかです。
それは、行政権力による教科書の実質国定化への地固め的強行であり、かつ、都教委の推進する違憲違法な日の丸君が代教育推進の挺子である。
この違法な攻撃の悪しき効果は、当時直ちに危惧されたとおり、他の自治体の教科書行政への飛び火となり、また、実教出版への萎縮効果chilling effectとして現れている(「一部自治体での強制の動き」との全くの真実の記述が、本年自ら削除されてしまった・・・)。
文科省すら認めている「強制性」に関しての、この都教委のなりふり構わない姿勢の有する、反憲法的危険性(日の丸君が代教育政策・教育統制等)・次世代の主権者である高校生へのイデオロギー的攻撃性は改めて言うまでもない、
我々は、これに対して可能な限りの闘争を行わねばならない。
2 我々はこのように考え、2014年1・2月に東京地裁に行政訴訟(国賠訴訟を付帯)を提起した。しかし、ここには多くの困難性が存在していた。
すなわち、
①本来は直接の被害者である実教出版(株)ないしそこで働く労働者自身による都教委に対する闘争が開始されるべきであった。しかし、それは労働組合によっても、一定の抗議集会は別として殆ど全くなされなかった。そこで我々は、
a 自身が東京都の主権者である立場から東京都・都教委に対し声を挙げ
b たとえ外野勢力としてではあっても、見識ある教科書である実教出版の本件教科書防衛のために都教委に対する闘いを挑んだのである。
②しかし、法律的には、その立場の間接性、およびこれに規定された法的闘争戦術の一定の迂遠性ゆえに、種々工夫はしたが、どうしても限界があった。
3 戦前の明治憲法下の行政訴訟法学・訴訟制度の影響の強い、日本の行政訴訟法規は、人民が主権者として行政権力を監視し、違法不当な行政行為を規制するには、種々の不当な制約が設けられている。
例えば、本件なども我々が都教委の行為について直接に争うことは不可能とされている。そこで、住民監査請求関連訴訟という形式をとらざるをえなかったのであった。
4 受訴裁判所である(行政事件集中中部)東京地裁民事51部(小林宏司裁判地長)はそれでも、本件を行政訴訟として構成し、審理を進めた。
しかし最終的には、東京都の立場に立ちきり、「強制性」に関する都教委の逃げ口上を許容する一方、我々に対する不当な立証制限を行った(本件にあっては、最低限、佐藤昭夫先生・高嶋伸欣先生の人証調が必須であった。しかし、裁判所はこれを不当に拒絶した)。そして一方的な結審を強行し、判決日の指定まで行ってしまった。
このような訴訟経過・裁判所にあっては公正な訴訟を期待できないことが明らかであるので、我々は本年2月22日に、係属部の3人の裁判官に対する忌避申立を行った。
東京地裁民事11部がこの忌避申立を不当に却下したので、現在東京高裁に即時抗告申立中である。
仮に、この抗告も不当に却下された場合には、進行が停止していた民事51部での手続が復活するに至り、判決期日が指定されることになる(抗告却下決定に対しては特別抗告を行う予定であるが、これには不当にも原決定に対する執行停止力が認められていないので、地裁の手続が再開される場含が多い)。
5 判決に至った場合、その重要論点は、
①都教委〈10・23通達〉による学校現場の状況について、「強制性がある」との明言が判決中でなされるか否か。
②原告の精神的損害について、法益侵害性を認めるか否か等である。
遺憾ながら現在の司法状況にあっては、狡猾な裁判所がっまらない「理由」を述べ立てて、①についての明言から逃避しようとする可能性も少なくないが、そのときは高裁・最高裁まで、粘り強く「NO」の声を挙げてゆく必要があるであろう。
本件にあっては、何よりもまず、この違法不当極まりない「実教出版教科書」問題に対して、主権者である都民を中心として、これに対する鮮明な「NO」の声が挙げられ、大衆的に抗議闘争が取組まれたということの意義が大きい。
<何をやってもやり放題、ということでは絶対にないのだぞ!>ということが、現実的な形を以て突き出されるということは、歴史に於いて極めて重要である。あくまで声を挙げ続けるということで、確実に進んでゆきたいと考える。
6 なお、その憲味では、今回提起したハイヤー支出問題に関する訴訟(※第二次訴訟)が、大きい意義を有している。
実に、2013・6・27を強行するため官僚的伏線として、この違法支出が行われていた事が、「都教委を訴える会」の増田都子氏の努力によって暴露されたのである。
我々は、これに対して住民監査請求を行い、更に行政訴訟を提起した。今回の問題は、その財務会計性が明白である。
7 しかるに、受訴裁判所である民事第51部は、一定の煩項な理由を述べ立てて国賠請求訴訟を分離して民事第四に移送し、残る行政訴訟を却下してしまった(第一次訴訟の小林裁判長に比して、その更なる反動性・反主権者性が明らかである)。
8 なお、現在提訴準備中である第二次訴訟の2次提訴(国賠訴訟のみに絞り、原告を都民に限定しない)も地裁民事第4部に配点されることになる可能性が高いと考えられるので、結果的に、全体で1箇の国賠訴訟として全員で取組む形になるだろうと予想されます。
行政専門部ではない一般部で審理された方が、事件の進行・展開について、より可能性があるとも言えないわけではない。このようにして更に、都教委に対して継続的・総合的に闘ってゆく陣形が、是非形成されるべきであると考えます。
『実教教科書裁判 都教委を訴える会ニュース 第5号』(2016年4月20日)
☆ あなたも「都教委を訴える会」の会員に!
年会費1,000円
特別会員(新設)募集しています。年間10,000円
連絡先/むさん法律事務所内「都教委を訴える会」事務局
〒105-0003 港区西新橋1-9-8南佐久間ビル2
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