パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「共謀罪法」実働化に向け、自己増殖する戦争・治安機関に警戒を怠るな

2018年09月13日 | 平和憲法
 ☆ 準備が進む戦争・弾圧機関
   圧殺される表現の自由
(週刊新社会)
石橋新一(破防法・組対法に反対する共同行動)

 ◆ 「共謀罪法」の強行以降
 共謀罪適用にあたっては、法務大臣に逐一報告を求める、所轄署ではなく都道府県警示部が指揮する、などの通達が出たこともあってか、今のところ共謀罪による弾圧はない
 しかし共謀罪法を実働化するという観点から見たとき、危険な動きが続いている。共謀罪法実働化のためには、まず何よりも、捜査前倒し・事前捜査強化のための警察・検察の態勢整備と共謀罪立証に向けた司法整備が必要になる。
 既に盗聴強化やスパイ潜入、GPS・ビッグデータ活用などの網羅的捜査手法、ネット閲覧&ブロッキング強制や刑事免責・司法取引が初適用されている。
 さらに共謀罪法の本格的実働化のためには、共謀罪逮捕以降の密告奨励、再犯防止・組織離脱や転向強要の司法手続き・行刑の広範な整備が必要になる。
 法制審議会で検討中のこの策動は、来春の通常国会への刑法・刑事訴訟法・刑事施設収用法等全面改悪案上程で、刑務所-市民社会に一挙に全面化する。
 それは国家権力に「テロリスト」「犯罪者」「厄介者」の「正常な社会」への保護観察による再包摂と転向強要・排除に大きな武器を与える。
 改めて、治安維持法思想犯保護観察法とセットで猛威をふるったことを教訓化する必要がある。
 共謀罪「何度でも未決拘禁が可能となる」(内田博文九州大学名誉教授)からだ。
 ◆ 都・区の公園施設使用制限
 新宿区長が6月12日、デモの出発地としての区立公園使用は「本来の使用目的ではない」と見直しを表明、6月20日に柏木公園、花園西公園、西戸山公園の貸出しをやめ、デモ出発は中央公園のみ時間制限で認めると決定した。
 しかも決済したみどり土木部長は、ヘイト規制の名分すらかなぐり捨て、商店会から「知らない人がかなり集まるのは住民にとって嫌な状況」との要望を受けた処置だと「デモ迷惑」論を展開した。
 かつて最高裁がデモ「潜在的暴徒」論で公安条例合憲判決を打ち出したが、今度は行政の専断で集会・デモの権利を破壊するということだ。
 集会を開くための場所が確保できなければ、集会の自由を行使することはできない。
 こうした規制は、安倍政権誕生以降、新宿区のみならず千代田・中央・渋谷・豊島・港区や全国に広がっている。
 ひとつだけ例をあげる。5月31日、宮下公園廃止に反対するデモが、中央区で唯一デモ出発を許される常盤公園で開かれた。その際、何と区の職員数人が公園内に入り「集会類似の行為をしない」誓約書に反していないか監視活動を行った(公安警察は公園外から監視)。
 抗議し追い出したが、状況次第ではマイク使用・集会禁止すらあり得る状況であつた。戦前猛威を振るつた治安警察法による「弁士!中止」すら彷彿とさせる。
 ◆ 新たな国家権力再編が進む
 朝鮮・中国脅威論を煽り立て、東京五輪成功を口実に、戦争・治安管理の急激なエスカレートが続いている。
 最近でも、両国花火大会で多数の機動隊車両が「トラック・テロ」を防ぐために近辺道路をバリケードで塞ぐ、白昼公然と大分・玖珠道を自衛隊の戦車が轟々と走るなど、華々しい。
 治安・戦争組織の再編も進んでいる。
 「世界一安全な日本創造戦略」のもと、内閣官房・国家安全保障会議など国家中枢を警察官僚が牛耳り、内閣官房と消防庁がタッグを組んでJアラート訓練など、一切の権力が戦争・治安の観点で再編成されつつある。
 そして今、新たな国家権力再編が始まろうとしている。

 中央省庁は01年に現在の1府12省庁体制に再編されたが、安倍は今年3月、再編の検証を指示、いま自民党中央省庁再編法案の19年国会上程を検討している。
 巨大化した厚労省の分割が目玉だが、「防災・原子力防災や復旧、復興に関する司令塔としての組織が必要」ともされる。
 念のために付け加えておけば、政府の言う「災害」には、自然災害だけではなく戦争災害・テロ災害も含まれている。また今秋の臨時国会に出入国管理強化、在留管理一元化のために入管庁を設置する法案が出される。
 19年には敵基地攻撃力をもつ新自衛隊が登場する。
 年末の新国防大綱と次期中期防のみならず、陸海空3軍を統合した作戦司令部を創設し、南西諸島司令部も新たに創る。
 「テロ」対策も強化されている。
 8月1日、国家安全保障会議国際テロ情報集約室に国際テロ対策情報共有センターを設置し、内閣官房、警察庁、法務省、公安調査庁、外務省、防衛省など11省庁の課長らが一堂に常駐し、テロ情報交換・分析にあたる。
 19年には警視庁が海上警備部隊を創設、東京国際空港テロ対処部隊庁舎を建設、SAT〔特殊急襲部隊〕も増強する。
 また17年の警視庁公安部・サイバー攻撃対策センター新設に続き、本年4月に生活安全部などのサイバー捜査部門を集約したサイバー部隊を創設し、今年度末には官民合同の内閣官房セキュリティ情報センターを創る。
 戦争・治安機関は自己増殖する。警戒を怠ってはならない。

『週刊新社会』(2018年9月4日)

コメント    この記事についてブログを書く
« 10・23通達関連訴訟団が... | トップ | オリンピックを口実とした不... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

平和憲法」カテゴリの最新記事