◆ 道徳は“数値評価”できるのか
研究指定校“勇み足” (金曜アンテナ)
文部科学省は道徳の「特別の教科」化のため、学習指導要領等を改定。検定教科書の作成(小学校は2018年度、中学校は19年度使用)と評価導入を実施するが、生徒の“数値評価”は「行なわない」としている。
だが、この“数値評価”の実践を公立中学の校長が公的な場で発表していた。
文科省管轄の国立教育政策研究所(以下、国研)から研究指定を受けている京都市立双ヶ丘(ならびがおか)中学校の太田和男校長は2月3日、国研主催の研究協議会で、全生徒に毎授業後、振り返りシートの、①道徳的心情(共感・感動することがあったか)、②道徳的判断力(いろいろ考えることがあったか)、③道徳的実践意欲と態度(今後生かしていくか)の3項目を5段階で自己評価させている、と切り出した。
この自己評価に教員が一定の配慮を加え、生徒の授業での発言・観察等を踏まえ、現行指導要領の全24の内容項目ごとに「a」「b」の2段階で評価しパソコンのソフトに入力。「a」「b」の個数をもとに2段階の総評価が一覧表で出力される仕組みであると説明した。
ただ一覧表は、教員手持ちの補助簿であり、通知表には数値や記号の評価は付けていないとした。
道徳の評価は、国の考え方や一定の価値観の押し付けになるといった理由から根強い反対がある。
“数値評価”を実践した太田校長は筆者の電話取材に、「あくまでも授業改善のため。『c』は付けていない。『数値評価かと誤解を招きかねない。注意するように』と国研から指導された」と答えた。
その後、国研関係者は「双ヶ丘中の試みは現在、止めている」としている。
小渕朝男二松学舎大学教授(道徳教育)は「道徳性の評価は、道徳(良心)に従うより評価(権威や権力)になびく人間を生み出す惧(おそ)れがある」と指摘する。
なお、下村博文文部科学相は3月13日の会見で、「他教科のような評価はなじまないのが特別の教科という意味だ」としている。
『週刊金曜日』2015.3.27(1033号)
研究指定校“勇み足” (金曜アンテナ)
永野厚男(教育ライター)
文部科学省は道徳の「特別の教科」化のため、学習指導要領等を改定。検定教科書の作成(小学校は2018年度、中学校は19年度使用)と評価導入を実施するが、生徒の“数値評価”は「行なわない」としている。
だが、この“数値評価”の実践を公立中学の校長が公的な場で発表していた。
文科省管轄の国立教育政策研究所(以下、国研)から研究指定を受けている京都市立双ヶ丘(ならびがおか)中学校の太田和男校長は2月3日、国研主催の研究協議会で、全生徒に毎授業後、振り返りシートの、①道徳的心情(共感・感動することがあったか)、②道徳的判断力(いろいろ考えることがあったか)、③道徳的実践意欲と態度(今後生かしていくか)の3項目を5段階で自己評価させている、と切り出した。
この自己評価に教員が一定の配慮を加え、生徒の授業での発言・観察等を踏まえ、現行指導要領の全24の内容項目ごとに「a」「b」の2段階で評価しパソコンのソフトに入力。「a」「b」の個数をもとに2段階の総評価が一覧表で出力される仕組みであると説明した。
ただ一覧表は、教員手持ちの補助簿であり、通知表には数値や記号の評価は付けていないとした。
道徳の評価は、国の考え方や一定の価値観の押し付けになるといった理由から根強い反対がある。
“数値評価”を実践した太田校長は筆者の電話取材に、「あくまでも授業改善のため。『c』は付けていない。『数値評価かと誤解を招きかねない。注意するように』と国研から指導された」と答えた。
その後、国研関係者は「双ヶ丘中の試みは現在、止めている」としている。
小渕朝男二松学舎大学教授(道徳教育)は「道徳性の評価は、道徳(良心)に従うより評価(権威や権力)になびく人間を生み出す惧(おそ)れがある」と指摘する。
なお、下村博文文部科学相は3月13日の会見で、「他教科のような評価はなじまないのが特別の教科という意味だ」としている。
『週刊金曜日』2015.3.27(1033号)
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