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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(2017年6月22日)

2017年06月27日 | 暴走する都教委
  《根津公子の都教委傍聴記》
 ◆ 東京は管理職だけでなく教員のなり手もいない! (レイバーネット日本)

 公開議題は報告4点、そのうちの3点について(①来年度使用高校用教科書の調査研究資料について ②高校入学者選抜英語検査改善検討委員会の設置について ③都公立学校教員採用候補者選考の改善策について)報告します。
 非公開議題には2件の懲戒処分議案と懲戒処分報告、そして、「いじめ防止対策推進法」第30条第1項に基づく報告が上がっていました。「いじめ防止対策推進法」第30条第1項は、「教育委員会は重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない」というもの。昨年も何度か「重大事態」に関する議題が上がっていましたが、その後、学校や都民に周知徹底した様子はありません。しっかり知らせるべきです。
 ①来年度使用高校用教科書の調査研究資料について
 毎年夏に行われる高校用教科書採択に向け、昨年度新たに教科書検定に合格した213点の教科書について、都教委が調査研究・作成した「教科書調査研究資料」(639ページ)が配られ、報告がされた。
 各教科・科目の目標等を踏まえ、調査項目を設定しその結果を数値と具体的な内容で示したとのこと。
 全教科において
  「防災や自然災害の扱い」
  「オリンピック、パラリンピックの扱い」について、
 また、一部の教科で
  「わが国の領域をめぐる問題の扱い」
  「国旗・国歌の扱い」
  「北朝鮮による拉致問題の扱い」
  「一次エネルギー及び再生可能エネルギーの扱い」
  「性差等に関する表現」
  「性差・家族に関する表現」
 に関して調査研究を行ったとのこと。
 いつもながら、都教委の好みが強調される調査項目には腹が立つ。

 「日本史B」を例に紹介すると――。
 教科書は5社8冊(山川は3冊、実教は2冊)。
 調査項目は
  a「.時代区分別(古代、中世近世、明治、大正・昭和戦前期、戦後以降)のページ数及び全体に占める割合」
  b.「地域の文化遺産、博物館や資料館の調査・見学などを取り入れるよう工夫している学習の箇所数と内容」。
 これが一覧表になっている。
  a「戦後以降」が多いのは実教「高校日本史B」の13,3%、少ないのは明成社の4,3%。
  bでは、実教「高校日本史B」が「登戸研究所資料館というのがあったので、軽い気持ちで見学した。そうしたら、教科書には書かれていない戦争の様子や、かくされていた登戸研究所のことを市民・高校生が解明したことを展示していた。その内容におどろき興味をもった。」と高校生の視点で書くなど、各社の内容・違いが読み取れる。
 「わが国の領域をめぐる問題の扱い」「国旗・国歌の扱い」「北朝鮮による拉致問題の扱い」「一次エネルギー及び再生可能エネルギーの扱い」では、明成社実教の取り上げ方の違いが鮮明だ。
 国旗・国歌の項で「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述した実教「高校日本史A」「高校日本史B」について、都教委は2012年採択で同教科書を選定した学校に執拗に圧力をかけ、2013年採択では「都教委の考え方と異なる」との「都教委見解」を各学校に通知し、両教科書の記述が変わる2016年採択まではこれらを採択させなかったことの記憶は新しい。
 今年の学校選定・採択にあたっては同記述がないことから都教委が圧力をかけることはないだろうが、国旗・国歌についての同社の「記述の概要」を一部紹介したい。「政府見解」が少ないなどの検定意見をつけて、今後、文科省が検定を合格させない事態も杞憂されるので。
 「教育現場に日の丸掲揚、君が代斉唱を義務づけることに反対する運動もおきた。」
 「国旗・国歌法を巡っては、日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由、とりわけ内心の自由をどう保障するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。」(実教「高校日本史B」)
 「国旗・国歌法成立後、学校などでは、日の丸掲揚・君が代斉唱が徹底させられ、内心の自由の保障が問題となっている。」
 「1967年の建国記念の日制定、1979年の元号法制定、現職首相の靖国神社参拝や国旗国歌法の制定などは、復古的ナショナリズムのあらわれといえよう。」(実教「日本史B」)
 生徒たちに使ってほしい教科書である。
 ②高校入学者選抜英語検査改善検討委員会の設置について
 「東京都英語教育戦略会議報告書」(2016年9月)の提言《「聞く事」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の、「話すこと」を含めた4技能を測る入試方法について検討する》を受けて、今年7月から11月までに4回程度の検討委員会を開き、今年度内に「『話すこと』を評価するための具体的な方法」についての提言をまとめるとの報告。
 「やっています!」を見せようと都教委は次々に検討委員会等を立ち上げるが、その結果、子どもたちは翻弄され、負担をかけられる。
 ③公立学校教員採用候補者選考の改善策について
 東京では管理職のなり手がないだけでなく、教員になりたい人が極端に少ないことは、これまでの定例会で度々報告に上がってきたところである。
 現在、中学校・高校教員の年齢構成は50歳代半ばがピークであることや、今後児童生徒数の増加もあり、「受験者数を確保し、競争倍率を高めていくこと」が喫緊の課題となっている。危機感を持った都教委は、説明会や宣伝に力を入れ、2009年度からは仙台市での選考も始めた。昨年度は神戸市、福岡市でも実施している。
 しかしその結果は、都教委の意に反して、地方での合格者の辞退率は東京での合格者の4倍、教員になってからの退職率も2倍と、志望者の減少に全く歯止めがかかっていない。
 そこで今後は、「東京の教員になるとこんないいことがある」などとさらに宣伝を強化し、また、「資質・能力の高い教員」を確保するために、書類審査で採用してきた「大学推薦」などの受験者に対しても筆記試験を課すとの報告。
 小手先の策を講じるのではなく、その原因をしっかり考えるべきではないか。
 教員をただの歯車としか考えていない今の都教委、そして「日の丸・君が代」の強制に象徴的に表れている「思想の強要」を若者たちは敏感に感じ取ってしまっているからではと思われるがどうであろうか。
『根津さん河原井さんらの「君が代」解雇をさせない会』(2017-06-26)
http://www.labornetjp.org/news/2017/0622nezu
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