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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

もっと多くの日本人に朝鮮学校の真実の姿を伝えたい

2020年04月15日 | こども危機
 ◆ 朝鮮学校を歩く
   ~長谷川和男さんの旅
(週刊新社会)

 元小学校教員(東京都)の長谷川和男さん(73歳)は、70歳の時に「朝鮮学校にも高校無償化を!」の旗を掲げて日本各地にある67の朝鮮学校を訪ね歩いた。その距離1100キロ156万歩に及んだ。
 ◆ 歴史に責任もち誠意を示したい
 長谷川さんは、「朝鮮学校のある場所は、なぜその地に学校がつくられたのかという歴史がある。70年以上の歴史に刻まれた在日朝鮮人の皆さんの『朝鮮学校を守りたい!』という熱い想いに触れて、もっと多くの日本人に朝鮮学校の真実の姿を伝えたい」と言う。
 長谷川さんのその「熱い想い」を聞こうと、「現代を考える連続講座」は2月28日に東京都内で開いた第42回の講師に長谷川さんを招いた。「講座」は、「様々な分野の講師と意見交換しながら考えを深め、ともに進む方向を探る」をテーマに活動している。
 長谷川さんは、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会共同代表、阿佐ヶ谷朝鮮学校「サランの会」代表を務めており、この日の演題は、「全国の朝鮮学校を訪問して-1100キロ/156万歩の旅から見えた真実の姿-」
 長谷川さんは2017年6月20日から12月22日まで、半年かけて全国の朝鮮学校を訪問したが、その記録は『朝鮮学校を歩く-1100キロ・156万歩の旅』として花伝社から出版されている(1800円十税)。
https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%82%92%E6%AD%A9%E3%81%8F%E2%80%951100%E3%82%AD%E3%83%AD-156%E4%B8%87%E6%AD%A9%E3%81%AE%E6%97%85-%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D-%E5%92%8C%E7%94%B7/dp/4763408933
 『朝鮮学校を歩く』のまえがき「一歩を踏み出す」で長谷川さんは、「朝鮮学校を大切に思っている日本人もいる!歩いて朝鮮学校を訪問しよう!過去の歴史に責任を持ち、朝鮮半島を植民地支配した日本人として誠意を示そう」と考え、全国67の朝鮮学校訪問を決意したと書く。
 「詳細な計画を立てようとすれば、ずるずると出発が延びてしまう。一歩踏み出せば道は開けると自分に言い聞かせ、福岡からスタートすることにした」という。
 そして、「一歩踏みだして、本当によかったと思う。現在休校している学校を含め全国67の朝鮮学校をすべて訪問することができた。子どもたちの真剣に学ぶ姿、部活動に打ち込む熱い情熱に触れて、ますます朝鮮学校が好きになった」。
 そして、「朝鮮学校の先生方が献身的に子どもたちを指導している姿は、私の心を熱くした。オモニやアボジ、地域の在日朝鮮人の皆さんが民族教育を支えるためにどれだけがんばっているかを目の当たりにし、全力で朝鮮学校を支えようという気持ちはさらに大きく燃え上がった」と言うのである。
 1100キロの行程は朝鮮学校での子どもたちとの交流や、学校を支える在日の人々の心温まる励ましが疲れた体を癒し、力をくれたが、道中、「そうなのだ!世の中、捨てたものではない」と感じる場面もたくさんあったという。
 山口県内を歩いていた時、孫を連れて散歩していた人が駆け寄ってきて、「私は高校教員でしたが、こんなこと(高校無償化排除)は絶対してはいけないことです。がんばってください!」と声をかけられ、感激したと書いている。
 ◆ ウリハッキョを支える在日の熱い思いと闘い (講演の骨子)

 「現代を考える連続講座」(2月28日、東京都内)で行われた長谷川和男さんの講演は、骨子次の通りです。(東京・町田)
 杉並(東京)の朝鮮学校、教員仲間と一緒に話し合う場を持ち、1975年から「建国記念の日」に交流し、活動してきた。
 中には、北朝鮮の影響が強くて支持できないという考えの人もいたが、45年間の日朝友好の交流で朝鮮学校の姿を見てきて、日本の学校とは違う、独立採算で給料が安いのに、若い先生が多く、続けてこられたのは何が違うのかと考えた。
 文科省前での高校無償化排除に反対する行動には、北海道や福島、神奈川などから生徒が参加し、懸命に自分たちのことを語り訴えている姿に感動し、本当にこれで良いのかと考えた。
 「朝鮮学校で教えてもらったから」と朝鮮学校の出身者は、教員志望が多い。しかし、学校には財力がないので給料は安い。結婚もどうしようかと悩んでいる若者もいる。
 「自分が自分として自立したのは、ウリハッキョ(私たちの学校)のお陰だ」という熱い思いを知って、全国の朝鮮学校を訪問してみたい、親たちを励ましたい、応援している日本の人たちにも会いたいと福岡朝鮮初級学校から、旗を立て20㎏の荷を背負い、行脚をスタートした
 新潟と福井は休校しているが、それぞれの学校には歴史があり、日本が大陸に侵略戦争を起こした1910年から45年まで朝鮮半島の主権を侵害し、言葉、文化、名前まで奪った。
 戦争の激化で、労働力として強制的に連れてこられた一世の人が全国に広がった。
 学校では、若い先生は泊まり込み、オモニが食事の世話をしてくれる。幼時からの自立を図るとして小さな子どもが手を休めず人形つくりをして、学校の運営費に充てる。
 バスの送迎は退職した校長先生がやっている。
 このように日本の学校とは比べようのない努力で学校の運営をしている。朝鮮学校は多くの人に支えられている。
 高校無償化を闘う裁判も続いている。
 裁判では激しい状況が続いているが、結果のいかんにかかわらず、朝鮮学校での民族教育は今日も続いている。
 全国行脚は、筋書の無いドラマだった。「筋書のないドラマ」ほど、わくわくするものはない。
 一歩踏み出す勇気がドラマチックな展開を生む。私の「全国行脚」は、間違いなく子供たちや先生方、保護者には伝わった。今度はいかに日本に伝えるかが問われている。
 「全国行脚」で私が得たものは、民族教育の素晴らしさだ。日本の文科省は学ぶべきだ。
 日本の教育現場では①教員の主体性を奪ったこと、②職員会議の議決機関化を排除したことが挙げられる。
 オモニたちや、子どもたちは負けない。闘い続ければ負けない。
 「私たちを育ててくれた学校『ウリハッキョ』。私たちは絶対に闘い続けます」と決意を述べてくれた。
 朝鮮学校はどこも開かれている。「朝鮮学校に行ったことがある」という日本人を増やしたい。
 そのためには、「イベント型」から「日常型」への転換が必要だ。地域に朝鮮学校に温かいまなざしを向ける陣地を築こう。地域に根差した、幅広い朝鮮学校理解者の陣地を築こう!
『週刊新社会』(2020年3月24日・4月7日)

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