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東京「君が代」第3次訴訟12・24第3回口頭弁論 陳述要旨<1>

2010年12月27日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 《東京「君が代」第3次訴訟12・24第3回口頭弁論 陳述要旨<1>》
 ◎ 第2 「日の丸・君が代」に対する反論


「報告集会参加弁護団」 《撮影:平田 泉》

 1 国旗・国歌の機能と「日の丸」・「君が代」に固有の事情について

 (1) 被告は、「日の丸」・「君が代」について、個々人の歴史観等から異なる思いが存することを認めつつ、「日の丸」・「君が代」に日本国憲法の下において国民主権等の理念の象徴としての役割が期待されていることを理由として、原告らに対して日の丸掲揚に伴う起立や君が代斉唱等を命じる行為を正当化しようとしています。
 (2) しかし、この被告の主張は、戦前我が国において「日の丸」・「君が代」が,国民に国家・天皇に対する忠誠を誓わせる政治的役割を果たし、ついには幾多の戦争の惨禍をもたらしたという歴史的事実から目を背け、無理にその歴史的連続性を切断するものであり、その主張の前提に誤りがあります。
 (3) 被告も認めるように,日の丸・君が代に対する意見・評価の対立が国民の間に存在し,その点こそが本件訴訟の根本原因なのであり,このことは、本件紛争の解決に当たって銘記されなければなりません。
 原告が問題としているのは、このように国民の間で評価が分かれているものについて、被告という公権力が、卒業式等という公的儀式の場で、出席者に対し、一律に起立、斉唱という特定の価値観を伴う行為を強制するという、被告の行為そのものです。
 2 国旗・国歌の有する機能と卒業式等の学校における儀式的行事における「日の丸」及び「君が代」について
 (1) また、被告は、児童・生徒が国際社会で尊敬・信頼される日本人として成長していくためには、国旗・国歌に対し正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てることが重要であることを指摘し,入学式等において原告らに対して日の丸掲揚に伴う起立や君が代斉唱等を命じる行為の正当化根拠をその点に求めています。
 (2) しかし、児童・生徒に国旗・国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを尊重する態度を育てるということと、入学式等の場で日の丸を掲揚し、君が代を斉唱することとの間には必然性は全く認められません
 (3) 被告も認めるように,「日の丸」・「君が代」については、個々人の歴史観等から異なる思いが存する以上,生徒が国旗国歌についての「正しい認識」をもつためには、生徒自身が自ら判断することができる条件の下で、国旗国歌の機能や、「日の丸」、「君が代」に関する歴史的事実等を伝えることが必要であり,特定の価値観を伴う行為を一律に強制することによってはその達成は不可能です。
 (4) 尚、この点については、被告の釈明を待って、更に主張する予定である。

 ◎ 第3 被告の憲法19条に関する主張への反論及び追加主張
 1 まず,本件通達及び本件各職務命令は国旗・国歌に対し特定の態度を強制するものであり,違憲である

 そもそも、国旗・国歌は、国家の象徴ですから、公権力が国民に対し、国旗・国歌に対する特定の態度を強制することは、特定の思想を強制することと同義であり、まさに国民の思想・良心の自由を侵害する行為です。この結論は、強制の対象となる国民の思想内容如何やその身分・職業等よって異なりません。したがって、公権力である被告が、卒業式等において、原告らに対し、懲戒処分をもって日の丸に対する起立・君が代の斉唱・伴奏を義務づける本件通達及び本件各職務命令は、原告らの拒絶理由を問わず、憲法19条に違反します
 2 また,本件通達及び本件各職務命令は、原告らの思想・良心の内容にまさに反する行為を強制するという面でも、違憲である
 (1) 訴状においても述べたとおり、原告らが、起立・斉唱・伴奏という行為を拒否する背景には、様々な思いがあります。
 しかし、原告全員において共通しているのは、「日の丸・君が代に対する評価が国民の間でも分かれており、また多国籍の生徒や、様々な宗教を信仰する者がいる可能性のある状況の中で、公権力である被告が、公立学校における卒業式等という公的儀式の場で、起立・斉唱・伴奏といった、日の丸・君が代を尊重する行為を強制することは許されない」という、強制に対する『否定的評価』です。
 そして、この『否定的評価』は、国旗・国歌という国家の象徴に対し、公権力がどのようにあるべきかという、個人の信念・信条であり、憲法19条が保障する思想・良心の内容を、どう解するかにかかわらず,これに含まれるものです。
 (2) そして、被告が原告らに対し、卒業式等において、日の丸に対する起立,君が代の斉唱・伴奏を、懲戒処分をもって強制する本件通達及び本件各職務命令は、まさに、原告らのこの『否定的評価』という思想・良心を真っ向から否定するものです。
 原告らの思想・良心の自由に対し、このような直接的抑圧を加えることを正当化するだけの合理的な理由がない以上、本件通達及び本件各職務命令は、この面でも憲法19条に違反します。
 3 外部的表出行為と憲法19条の保障について
 (1) なお,被告は、原告らの不起立等を、原告らの思想・良心が外部的に表出した行為と捉えた上で,そのような外部的行為の規制の問題には憲法19条の保障が及ばないと主張しています。
 (2) しかし、憲法が21条において表現の自由を保障しつつ,戦前の我が国における思想弾圧の経験に鑑み、憲法19条で思想良心の自由を保障し,公権力による個人の思想・良心に対する外部からの制約を厳しく禁止している趣旨に照らせば,外部からの命令等に対し、取られた外部への表出行為が、①そこから思想・良心とのつながりが明らかに推知され、両者が不可分の関係にある場合に、②専ら消極的・防衛的・受動的な性質のものである限り、自己の思想・良心を守るために取られた行為として憲法19条により保障されると考えるべきです。
 (3) この点,①前述した原告らの強制に対する『否定的評価』と、その外部的表現である不起立・不斉唱・不伴奏とは、まさに後者によって前者が明らかに推知され、両者が不可分の関係にあると認められますし、②本件原告らの不起立等の行為は、純粋に消極的・防衛的・受動的な拒否行為にすぎません。
 したがって、前述の基準に照らし、原告らの行為は、憲法19条により保障されるものである以上,仮に、外部表出行為が憲法19条により保障されるかという観点から検討したとしても、本件通達及び本件各職務命令が違憲であることに変わりはありません。
(続)

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