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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

12・21内山健三さんのお別れ会

2008年12月23日 | 平和憲法
 12月21日、現職教員で亡くなられた内山健三さん(49)のお別れ会が日本教育会館で行われ、70名以上の同僚・仲間が集まり故人を偲んだ。故郷柏崎から御尊父のメッセージも届けられ、一同悲しみを新たにした。


 ☆ 「赤シャツ」と「うらなり君」をこれ以上増やすな
--不当な人事異動を阻止するための闘いをどのように組み立てるか--

内山健三

<都立高校的である坊ちゃんの世界>
 赤シャツがマドンナに横恋慕した。うらなり君と婚約中のマドンナにである。父の死によって経済的に困窮し、少しでも増給をと頼みに来た母親の心情を利用した赤シャツは、校長の狸を裏で操り(おそらくは)、うらなり君を松山から遠い延岡に異動させ、マドンナを奪うことにまんまと成功した。給料は今のままで良いから残してくれという本人の懇願は拒絶された。ついで対立する山嵐も、喧嘩騒ぎに巻き込まれたことを口実にこれまた表面的には狸を動かして免職を迫った。
 立腹した坊っちゃんは、山嵐と二人で温泉町の升屋に泊まりこみ、赤シャツと子分の野だいこを見張り続けた。夜明け方、角屋を出てきた二人を途中でつかまえ、さんざんぶちのめした。山嵐と坊っちゃんは、その日の内に狸に辞表を書いて郵送し、意気揚々と松山を離れた。
 夏目漱石の「坊っちゃん」は、主人公の義憤の原因の一つが同僚に対する管理職の「恣意的異動」という点で極めて「都立高校」的であり、漱石の先見の明にあらためて感心せざるを得ない。彼は、近代の推進者とは赤シャツの様な権力と狡智を併せ持つ官僚であること、官僚の重要な職務はうらなり君や山嵐の様な「異分子」排除にあることを誰よりも見抜いていた。

<教員を機械の部品にしか見ない校長が多くなっている>
 異動問題に関し、某日の本部委員会では、残留希望や、希望と異なる異動先の是正はかなり実現しているとの報告が執行部からあったという。組合が、残留や、希望地域・希望課程の異動を実現させたのは、「人事構想調書からはずし」を分会が撤回させたか、もしくは「職場残留」などを校長具申させた場合に限定されるのである。一方で、人事構想はずしを撤回させられなかったり、有利な具申を校長にさせられなかった場合、「組合がいくら人事部に申し入れても、撤回は極めて困難」であることも執行部は明言している。
 何のことはない、校長具申までを職場が実現させてはじめて是正が実現するのであって、職場の取り組みにのっかった執行部の取り組みが「自賛」されているのである。では、取り組みができなかった職場はどうなるのか。
 「制度とはそういうもの。職場の力量不足の問題だから、あきらめなさい」ということか。確かに、不当な異動を画策した校長の人事構想を職場を挙げて闘い撤回させた例はいくつもあるだろう。しかしながら、「自分の経営方針に逆らう者は学校から出てもらう」ことに異常な執念を燃やし、職場や本人の反対に頑として応じない校長も少なからず存在するのだ(そうした職場が、抗議・撤回に向け全力で取り組まなかった訳では断じてない)。
 自ら進めようとする学校経営の機械の部品位にしか教職員をとらえていない校長にとって、飛ばしたい教員がたとえまだ1~2年目だろうが、本人希望がなかろうが、担任途中だろうが、教務や生徒部できちんと仕事していようがなかろうが関係ないのである。大量に異動させて翌年の学校運営に少なからぬ支障が生じ、教職員や保護者、果ては副校長からさえ非難を浴びてもなお、「自分に逆らわない、イエスマンの様な『部下』を侍らす方が有益」と考える校長は全都に一人や二人ではないのである。「そんな校長のもとで学校がうまく機能するはずがない」のは当然だが、うまく機能しないことを自らの責任とみなす感性が皆無なのだからどうしようもない。

<人事構想の段階で、職場と本部が一体となった闘いを!>
 現場の混乱は文字通り(自分以外の)現場教員に押しつけ、恬として恥じない校長が多い。そして都教委はそんな校長の存在を知らないか、知っていて放置するか、擁護するか、なのである。人事構想からはずされ、不本意ながら少しでも生活条件に合う勤務校を希望する「条件闘争」に切りかえた組合員も少なくない。実際、学校から出せば『本人希望』は出来るだけ尊重しますよと猫なで声を出す校長も結構多い。異動問題に関する、職場と執行部との「実感」のずれが、年々顕著になって来ている様に思う。
 人事構想調書作成の2学期段階から、明らかに不当な校長に対しては都高教をあげて謝罪や撤回を要求する、必要なら執行部がのり込む、もしくは都教委からの指導を要求するといった、取り組みの再構築を切に望む。
 「学校運営の適正化」「人事構想調書」「改悪異動要項」これらが二重・三重に結びつき、互いに補完しあっている今日の状況と根本的に対峙しなければ異動問題の展望は開けない。それはすなわち、都立高校の中に、ひたすら都教委の顔色を伺い保身の道を邁進する「赤シャツ」と、撤回する術もないまま悄然と松山を去る「うらなり君」を大量に生み出すということなのである。

『YOU SEE』(2007年3月6日 No206)

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